中盤以降、シマノレーシングは出場7名全員が前へ出てペースを上げる。増田成幸(宇都宮ブリッツェン)との戦いに持ち込んだラスト、エースの畑中勇介がしっかり決めて全日本選手権のリベンジを果たした。

3周目、柿沼章(宇都宮ブリッツェン)に奈良基(ボンシャンス飯田JPT)が合流3周目、柿沼章(宇都宮ブリッツェン)に奈良基(ボンシャンス飯田JPT)が合流 photo:Hideaki.TAKAGI12周目、シマノ全員が前でペースを上げる12周目、シマノ全員が前でペースを上げる photo:Hideaki.TAKAGI最終周回、抜け出した初山翔(宇都宮ブリッツェン)ら5人最終周回、抜け出した初山翔(宇都宮ブリッツェン)ら5人 photo:Hideaki.TAKAGI最終周回上り、ハイペースを維持する西薗良太(シマノレーシング)最終周回上り、ハイペースを維持する西薗良太(シマノレーシング) photo:Hideaki.TAKAGI優勝の畑中勇介(シマノレーシング)優勝の畑中勇介(シマノレーシング) photo:Hideaki.TAKAGIJツアーリーダーの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)Jツアーリーダーの増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki.TAKAGI7月9日(土)、群馬CSCでJプロツアー8戦目となる群馬CSCロードレースが行われた。本大会のレイティングはAAであり、全日本実業団ロード(輪翔旗)の次に位置づけられるランクのものだ。
群馬CSCの6kmコースは、アップダウンに加えタイトな下りカーブなどの多いテクニカルなもので、スピードのあるオールラウンダータイプが今までの優勝者に多い。

柿沼と奈良が60kmの逃げ
P1クラス(JPT)はここを20周する120km。気温も湿度も高い中スタート。
1周目は西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)がほぼ1周を先頭固定で引っ張る。2周目に入り澤田賢匠(CIELVO NARA PRO CYCLINGTEAM)と大久保陣(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)が逃げるが吸収、代わって柿沼章(宇都宮ブリッツェン)が単独逃げる。
3周目にメイン集団から奈良基(ボンシャンス飯田JPT)が抜け出して柿沼に合流、2人で逃げ始める。この逃げは結局12周目まで続くことに。
2人の逃げとメイン集団の構図のまま推移する。時折メイン集団からアタックやペースアップの動きがあり、人数をやや減らしながら周回する。

中盤にシマノレーシングが怒涛の進撃
11周目、シマノレーシングが参加7名全員先頭に集結してペースを上げる。そして次の12周目、上り区間でついに柿沼と奈良を吸収、振り出しに戻す。シマノレーシングはその後もペースを上げ、集団の数を一気に減らす。
13周目に中村誠(宇都宮ブリッツェン)がさらにペースを上げてこの動きで先頭集団は15人に絞られる。
この15人からは幾度かアタックがかかるが吸収されて17周目へ。この頃になると厚い雲に覆われあたりは暗くなる。雨こそ降らないが雷鳴が遠くにとどろく。

西薗の動きで先頭は5人に
この17周目、上りで鈴木譲(シマノレーシング)がペースを上げて心臓破りの坂を越える。一列棒状の先頭は中切れを起こし、さらに西薗良太(シマノレーシング)が下りにかけてペースを上げる。この動きで先頭は5人になる。畑中、西薗、平塚吉光のシマノレーシング3人と増田、初山翔の宇都宮ブリッツェン2人だ。

シマノの波状攻撃
18周目の上りで西薗がペースを上げると初山がここで千切れる。平塚も追いつきシマノ3人対増田に。シマノ3人はそれぞれアタックをかけて増田を揺さぶる。いっぽうで天候はさらに悪化、落雷の恐れのため1周回減らして19周回のレースに決定。選手たちへも次が最終周回と伝えられる。
最終周回、ここまで粘った増田だったが、最後の上りで西薗がアタックすると増田が離れる。そして畑中は単独で後方からアタックして先頭に。畑中と西薗が間隔を置いてゴールへ。
最後は畑中が逃げ切り、優勝。2位西薗、3位増田に。この順位は6月の広島での西日本ロードクラシックと同じだ。またしてもシマノの強さ、そして増田の驚異的な粘りが光ったレースに。

畑中勇介(シマノレーシング)「エースは最初から自分だった」
実はこのレース、シマノレーシングにとっては珍しく出走前からエースを畑中に決めていた。シマノレーシングは育成チームの位置づけのため、絶対エースを置かないチームで、レース終盤に勝てる位置に最も近い選手が今まで勝ってきた。ではなぜ今回エースを決めていたのか?その理由を畑中が説明する。
「全日本選手権ではいつものレースのように強気の走りをして結局失敗した。今日はレースをチームでコントロールするという目標で戦った。ここで成功しなければどこでもできない。エースは最初から自分。非常に緊張感があった。途中にチームメイトがあれほど動いたので。展開にこだわって動けば勝てるというのがわかったのが収穫」

3位増田成幸(宇都宮ブリッツェン)のコメント
シマノが強い中でシマノ3人対ブリッツェン2人に持ち込めたのは進歩と思う。シマノは自分達の力を使って集団を小さくしていったので本当に強かった。初山はもともと強い選手で、熊野の怪我などから戻ってきてくれて嬉しい。最後は2対1で自分は上りで離さなければならないのに、アタックをされて脚が動かなかった。もっとトレーニングを重ねていきたい

F1/2 4周目F1/2 4周目 photo:Hideaki.TAKAGIE3優勝の木下智裕(EQADS)3日後にはフランスへ渡るE3優勝の木下智裕(EQADS)3日後にはフランスへ渡る photo:Hideaki.TAKAGI女子は豊岡英子、E3は木下智裕が優勝
女子は2周目以降に3人の戦いとなる。序盤から西加南子(LUMINARIA)が仕掛けたり豊岡英子(パナソニックレディース)が逃げるなど積極的な運びに。上り区間では高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)がアタックを繰り返すなどするがどれも決定的なものにならない。最終周回の上りで抜け出した豊岡と高橋のスプリント勝負となり、豊岡が優勝。

E2 ゴールE2 ゴール photo:Hideaki.TAKAGIE1優勝の佐藤信哉(VC Fukuoka)E1優勝の佐藤信哉(VC Fukuoka) photo:Hideaki.TAKAGIE3はE2と2分差のスタートになるが、両クラスともに先頭の選手は逃げる。E3の木下智裕(EQADS)はE2集団に追いつき、後続も追いつくが木下が先頭でゴール。
木下は浅田顕監督のプログラムのもとフランスで走っており、全日本選手権のタイミングで一時帰国していた。優勝しながらも「大差をつけてゴールできなかったことがだめです」と自分に厳しい。高強度練習のままレースに参加したが「このレースのための調整はいらない」と語り、目指すものの高さを意識させる。今年の目標は「エリートカテゴリーで結果を出すこと、そしてパリトゥールU23に出場し結果を出すこと」と言う。チーム内のセレクションから勝ちあがらねばならない高いハードルがある。3日後からフランスへ戻る。今後の木下の活躍に期待だ。

2日目 Day-2
翌7月10日(日)、P1クラスを除く各クラスでレースが行われた。
女子は事実上、豊岡英子(パナソニックレディース)と高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)の一騎打ちに。しかし牽制状態となりレースはスローペースに。おもに高橋が豊岡をマークし、豊岡もそれを意識する。最終周回の上りもスローペースのまま4人で越え、ゴールスプリントへ。先行した豊岡を高橋がかわして優勝。嬉しい勝利を挙げた。
まるでトラックレースのスプリント競技のような牽制が24kmの間、続いたと言ってよいレース。次回は前へ出て行くレースを見たいところだ。

E1はアタックがかかるも吸収され、最後は集団スプリント。これをトラックレースでも実績のある西山知宏(Tacurino.net)が制した。
E2は合田正之(サイクルクラブ3UP)と山口公一(ALFELI)の2人が序盤から逃げ続けそのままゴール、合田が優勝。
E3は速いペースで進み、2分前スタートのE2のメイン集団に追いつく。ゴールはその集団前方でスプリント勝負となり増子徳雄(チーム・フォルツァ!)が優勝。
女子優勝の高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)女子優勝の高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin) photo:Hideaki.TAKAGIE1 ゴールE1 ゴール photo:Hideaki.TAKAGI
E2 ゴールE2 ゴール photo:Hideaki.TAKAGIE3 ゴールE3 ゴール photo:Hideaki.TAKAGI


1日目 Day-1 結果
JPT 114km
1位 畑中勇介(シマノレーシング)2時間51分20秒
2位 西薗良太(シマノレーシング)+12秒
3位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+23秒
4位 平塚吉光(シマノレーシング)+30秒
5位 初山翔(宇都宮ブリッツェン)+35秒
6位 鈴木譲(シマノレーシング)+1分17秒
7位 中村誠(宇都宮ブリッツェン)+1分20秒
8位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)+1分21秒
9位 岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)
10位 栂尾大知(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+1分22秒

F1/2 30km
1位 豊岡英子(パナソニックレディース)54分20秒
2位 高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)
3位 西加南子(LUMINARIA)+11秒

E1 60km
1位 佐藤信哉(VC Fukuoka)1時間30分03秒
2位 岡泰誠(spacebikes.com)
3位 江本泰輔(なるしまフレンド)
4位 内山巧崇(EQADS)
5位 高田雄太(たかだフレンドレーシング)
6位 阿部健弥(チームスキップ)

E2 42km
1位 中村龍太郎(信州大学Racing team)1時間05分30秒
2位 小竹俊輔(EQADS)+01秒
3位 塙寿明(オッティモ)+04秒
4位 石澤賢(竹芝サイクルレーシング)+06秒
5位 武井望(なるしまフレンド)
6位 佐藤慎也(郡山サイクルフレンズ)+08秒

E3 42km
1位 木下智裕(EQADS)1時間03分35秒
2位 真坂哲平(ブラウ・ブリッツェン)
3位 渡辺洋平(立教大学自転車競技部)
4位 中鶴友樹(竹芝サイクルレーシング)+01秒
5位 今田裕一(DOKYU レーシングクラブ)+02秒
6位 坂大恵太(チームオーベスト)+03秒

2日目 Day-2 結果
F1/2 24km
1位 高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)44分26秒
2位 豊岡英子(パナソニックレディース)
3位 野中優子(TEAM YOU CAN)+01秒

E1 36km
1位 西山知宏(Tacurino.net)53分53秒
2位 江本泰輔(なるしまフレンド)
3位 景山昭宏(クラブシルベスト)
4位 佐藤信哉(VC Fukuoka)
5位 堀孝明(ブラウ・ブリッツェン)
6位 高田雄太(たかだフレンドレーシング)

E2 30km
1位 合田正之(サイクルクラブ3UP)46分53秒
2位 山口公一(ALFELI)
3位 大場重幸(ブラウ・ブリッツェン)+44秒
4位 渡辺洋平(立教大学自転車競技部)+45秒
5位 片山右京(宇都宮ブリッツェンTeamUKYO)+47秒
6位 真坂哲平(ブラウ・ブリッツェン)+48秒

E3 30km
1位 増子徳雄(チーム・フォルツァ!)45分56秒
2位 福本滝男(Honda R&D 栃木)
3位 三浦喜明(竹芝サイクルレーシング)
4位 星野秀太(Team FITTE)+01秒
5位 岡篤志(spacebikes.com)
6位 坂大恵太(チームオーベスト)

photo&text:高木秀彰
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