約10年ぶりに北海道で開催されたJシリーズ公式戦。小野寺健(TEAM SPECIALIZED)が2008年以来の優勝し、山本和弘(キャノンデールレーシングチーム)は最後尾から追い上げて表彰台獲得。地元出身の二人が繰り広げる闘いに、涼しい北の大地の会場は熱くなった。

地元北海道でスタッフとして参加した堂城賢地元北海道でスタッフとして参加した堂城賢 photo:Akihiro NAKAO7月3日、JシリーズXCO第3戦ニセコ花園が北海道倶知安町で行われた。昨年度はJ3で開催され、今年からJ1に格上げされた。

北海道でのシリーズ戦は約10年ぶり。過去には小樽・天狗山で公式戦が開催されている。ニセコ花園はスキー場として外国人観光客も多く、総合リゾート施設としてMTBにも力を入れるべく、Jシリーズの開催を決めた。

エリート男子スタートエリート男子スタート photo:Akihiro NAKAO北海道らしい雄大な風景が美しい。羊蹄山が会場を見下ろすコースは新設で、元MTBプロライダーで北海道出身の堂城賢がスタッフとして参加した。

ゲレンデを利用したコースには、MTBライド用のバーム・ロックセクション・ジャンプ台や川渡り区間などの仕掛けがたっぷり施され、ヒルクライム区間とダウンヒル区間が交互に現れる変化に富んだコース。エリート男子はこの5kmコースを6周回で行われた。

エリート男子は小野寺健の復活勝利

トップグループで走る大江良憲(TEAM轍屋)と辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)トップグループで走る大江良憲(TEAM轍屋)と辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) photo:Akihiro NAKAO通常のシリーズ戦とはタイムスケジュールが異なり、先にエキスパート、続いてエリート女子という順でスタート。エリート男子は11:00にスタートが切られた。ゲレンデからの吹き下ろしの風が会場を包み込み、本州とは違う涼しさが心地いい。

1周目で小野寺・辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)・斉藤亮(チームコラテック)の3名が先行し、少し遅れて大江良憲(TEAM轍屋)・門田基志(TEAM GIANT)と続く。注目されていた山本はスタート直後に転倒し、一時は最後尾まで後退。しかし1周目完了時点で先頭から1分遅れ・10番手以内まで上がる。

中盤は辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) ・門田基志(TEAM GIANT)と大江良憲(TEAM轍屋)の争い中盤は辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) ・門田基志(TEAM GIANT)と大江良憲(TEAM轍屋)の争い photo:Akihiro NAKAO大江がゲレンデの登りで先頭に立つと歓声が上がったが、その後再び先頭に立った小野寺が独走態勢に入る。2番手グループの辻浦・斉藤・門田・大江の争いは目が離せない展開に。そして山本がこの後で追撃するまでに追い上げてきた。

4周目に斉藤が遅れ、辻浦・門田・大江の後に山本が20秒まで迫る。5周目から先頭の小野寺も含めて全体のペースが上がり、最終周回で辻浦がパンクして門田が2番手に。コースの約1/3ポイントにあるフィードゾーンで、山本が大江・斉藤・辻浦を抜いて3番手まで上がった。

エリート男子優勝 小野寺健(TEAM SPECIALIZED)エリート男子優勝 小野寺健(TEAM SPECIALIZED) photo:Akihiro NAKAO小野寺はそのままゴールして優勝。2008年以来3度目の優勝を、レース解説担当の堂城と喜び合う。2位に今季2度目の表彰台の門田。そして怒濤の追い上げで山本が3位に入った。

小野寺は「久しぶりの優勝を地元で飾れてこの上ない結果が残せました。移籍してから徐々にコンデションが上がって来て、全日本前に優勝できてこのままもう一段階上げて望めたらいいなと思います」と語る。次戦は7月17日の富士見で行われる全日本選手権。王者山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)に対する各選手の闘いが見れるだろう。

エキスパート男子は1週間前の全日本選手権ロードレースU17+U15レースで優勝したばかりの横山航太(CLUB Grow)の独走勝利。2位にはシクロクロスで活躍する松井正史(シマノドリンキング)が入った。エリート女子は田近郁美(GOD HILL)。今回は北海道のチーム「Team BG8」が30名の大所帯の参加で格クラスで活躍した。

羊蹄山が見下ろすニセコ花園リゾート羊蹄山が見下ろすニセコ花園リゾート photo:Akihiro NAKAO

エリート男子
1位 小野寺健(TEAM SPECIALIZED)    1:34:24.17
2位 門田基志(TEAM GIANT)         +2:06.78
3位 山本和弘(キャノンデールレーシングチーム)+2:42.77
4位 大江良憲(TEAM轍屋)           +2:55.98
5位 斉藤亮(チーム コラテック)       +2:56.14
6位 辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) +4:42.29
7位 松本駿(TREK)              +4:43.77
8位 Na Sanghoon(TEAM BICLO)       +5:49.56
9位 鈴木智之(ckirin.com)          +7:49.34
10位 江下健太郎(over-do)          +8:55.39

エリート女子
1位 田近郁美(GOD HILL)         1:22:22.91
2位 広瀬 由紀(ckirin.com)         +9:07.17
3位 西尾美子(焼鳥山鳥R)          +11:04:81
4位 重兼みゆき(焼鳥山鳥R)         +11:44:32

エキスパート男子
1位 横山航太(CLUB Grow)        1:05:03.66
2位 松井正史(シマノドリンキング)      +5:09.58
3位 水谷裕太(シマノドリンキング)      +5:27.73
4位 西田尚平(Team BG8)          +6:31.27
5位 松尾純(国際自然環境アウトドア専門学校) +6:53.33

スポーツ男子
1位 澤木紀雄(T-serv)           0:36:09.79
2位 本田彬(Green Grips)            +0.99
3位 栄田富夫(cannondale)           +20.68

スポーツ女子
1位 中村このみ(Team BG8)         0:31:28.68
2位 佐藤聖美(Team BG8)            +22.45
3位 宮崎友希(Team BG8)            +26.36

text&photo:Akihiro NAKAO