アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)がジロ・デ・イタリアで他を圧倒している。風向きが大きく変わらない限り、日曜日にミラノで総合優勝を迎えるはずだ。2008年ジロの優勝者が、先週の山岳三連戦(グロースグロックナー、モンテ・ゾンコラン、ガルデッチャ)を制し、総合での優位を確実にしている。

第18ステージのレースが行われている最中の5月26日、CASは本記事中にある事情聴取の日程を遅らせることをプレスリリースで発表した。詳しくは追ってニュースでお伝えします。

マリアローザを守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)マリアローザを守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) 24日の時点で、コンタドールはライバルたちに対してさらに34秒の差を広げた。2位のミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)とは4分58秒という、5分近い差がある。3位には5分45秒遅れでヴィチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)、4位には7分35秒差でジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)が続いている。

「落ち着いて集中し続けなくてはならない」と、サクソバンクのビャルヌ・リース監督は言う。「まだ先は長い。10分もリードしているわけではないのだから」

たしかにコンタドールのリードは10分もあるわけではない。それでも彼は、総合1位の座をしっかりと手にしている。日曜日の総合優勝は、ジロでの3年ぶり2度目の勝利であり、ツール・ド・フランスでの3勝(2007、2009、2010年)と、2008年のブエルタ・ア・エスパーニャでの1勝に花を添えることになるだろう。

彼がリカルド・リッコを下してジロで優勝したのは2008年。ジロ初出場での偉業だった。今回のマリアローザは2008年に比べると色あせたものになるだろう。来月、ドーピングによる出場停止処分を受けるかもしれないからだ。この場合、昨年のツールの総合優勝と、ジロも含めた今年のレースでの優勝すべて失ってしまうかもしれない。

コンタドールから禁止薬物であるクレンブテロールの陽性反応が検出されたのは、ツールの2度目の休息日のポーでのことだ。

RFEC(スペイン自転車競技連盟)は2月15日に彼の無罪を決定したが、UCI(国際自転車競技連盟)とWADA(世界アンチ・ドーピング機関)は、スペインの決定について、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に異議を申し立てた。

CASの裁定はまだ下ってはいないが、コンタドールが有罪となれば、ジロでの勝利も疑わしいとして、すべて剥奪されるかもしれない。昨年、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)は、CASがドーピング違反という裁定を下した後で、ツール・ド・ロマンディを含む複数の勝利を剥奪されている。

「上訴について、誰もがその意味を知っている。だが、その結果は誰にもわかっていないんだ」

「今は何も言えない。これはすべて推測なんだ。もしそういう事態になるのだったら、スタート地点にいるべきではないのだろうか?」とリース監督はジロの開幕前に語った。

別のドーピング捜査のために、主力選手を出場させなかったチームもある。モビスター(マルツィオ・ブルセギン)とBMC(アレッサンドロ・バッランとマウロ・サンタンブロジオ)だ。

ともあれ、コンタドールはミラノに向けてレースを走る。今のところ、4賞のうち3賞を獲得する見込みがある。残る新人賞のマリアビアンカは、対象年齢を過ぎているので着られないのだ。総合優勝に加えて山岳賞とポイント賞を同時に獲得した選手は、エディ・メルクス以来現れていない。彼の前にはあと2つの山岳ステージ(27日のマクニャーガと、28日のセストリエーレ)と、最終日のミラノでのタイムトライアルがある。これらのステージではタイム差を広げる機会がある。山岳三連戦のステージを通じて毎日のように差を広げていったのと同じことだ。

ガルデッチャの後で、スカルポーニが言った。「コンタドールの走りは強力だ。格が違いすぎる」

ガルデッチャでは、コンタドールはスカルポーニに14秒、ニーバリに2分近くの差をつけた。ゾンコランでは11秒、その前日のグロースグロックナーでは1分29秒の差をつけている。

「ミラノでは価値のある時間が過ごせそうだ」と、コンタドールは言う。「そう思うとうれしいよ」

ミラノでの31.5kmのタイムトライアルまでに、コンタドールが2位と10分差をつける可能性も大いにありうる。マクニャーガとセストリエーレはどちらも、ジロでの圧勝を決定づける機会になるだろう。CASの事情聴取の前に勝利数が2つ増えるかも知れないのだ。

先週、CASはコンタドールの事情聴取の3日間の日程を決定した。6月6日から8日まで――ジロのわずか1週間後だ。

※第18ステージのレースが行われている最中の5月26日、CASは本記事中にある事情聴取の日程を遅らせることをプレスリリースで発表した。詳しくは追ってニュースでお伝えします。


translation : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI