第14ステージはカオスと言えるほど混乱した。主催者であるRCSスポルトは最後から2番目の山岳モンテ・クロスティスを昨夜のうちに除外した。さらにファンの抗議によって、レース中に突然コースを20km短縮せざるを得なかったのだ。

ゾンコランのステージオーガナイザーのエンツォ・カイネロ氏ゾンコランのステージオーガナイザーのエンツォ・カイネロ氏 ジロ・デ・イタリアは、北西イタリアのドロミテにそびえ立つ1730mのモンテ・ゾンコランの頂上ステージを迎えたこの日に、奈落の底に落ちたのかもしれない。第14ステージは、スペイン人が支配した。イゴール・アントンがステージ優勝し、アルベルト・コンタドールが総合でのタイム差を広げたのだ。そして、レースの運営陣は、このステージに影を落とした。

「連絡を受けたのは昨夜の21時30分。ステージがキャンセルされたんだ、21時30分に!」とステージオーガナイザーのエンツォ・カイネロ氏は報道陣に語った。
「クロティスの道は整地していたし、代替策もあった。昨年10月からずっと取り組んできたんだ。夜の9時半に“レースをやらない”と電話してくるなんて、どういうつもりだ?」

報道によると、カイネロ氏はチーム監督たちからの圧力に立腹しているという。とくにサクソバンク・サンガードのビャルヌ・リース監督と、彼のチームのスターであるコンタドールからの圧力に対してだ。

リース監督は水曜日にレースディレクターのマウロ・ヴェーニ氏との会合で、ジロの新しい登りであるクロスティスをカットすべきだと強硬に主張していた。

「ほんとうの理由は安全性なんかじゃない、わかるだろう?」とカイネロ氏は言う。

ゾンコラン周辺のコース図 テュアリス峠へのループも観客の抗議によりカットされたゾンコラン周辺のコース図 テュアリス峠へのループも観客の抗議によりカットされた クロスティスの登りは1982mあるが、ゾンコランへの下りに対して各チームが不安を感じていた。頂上には6kmの未舗装路、その後には狭い道と急カーブが続く。道の横は断崖だ。

「この登りは知らないから、正確なことは言いにくい。しかし、結局のところレースの安全性や事故の発生原因、そして不運について考えるべきだ」とリース監督は言う。

一部の観客たちは、クロスティスのキャンセルを知らずに、ジロの応援準備のためにクロスティスに登ってしまっていた。キャンセルが知らされると、彼らのうちの一部は、クロスティスの替わりとなったテュアリス峠への道を封鎖した。この抗議行動により、レースディレクターはテュアリス峠の登りもキャンセルすることにした。コースの約20km近くを短縮し、最後の10.1kmにあるゾンコランの登りに直接向かわせることにしたのだ。

「たぶん、そうするだけの大きな理由だったのだろう」とリース監督はつけ加えた。

エンツォ・カイネロ氏(中央)はじめステージオーガナイザーたちは、昨年10月からこのステージの運営に尽力してきたエンツォ・カイネロ氏(中央)はじめステージオーガナイザーたちは、昨年10月からこのステージの運営に尽力してきた コース変更に対してか、あるいはドーピング疑惑によるものか不明だが、観客たちはゴール地点でコンタドールにブーイングを浴びせた。イタリア人をメッタ打ちにするほどコンタドールが強すぎたからかもしれない。

「観客がぼくたちに怒りを向けず、ぼくたち選手が人間であることを理解してほしい。あとひとつくらいの山は登れたけど、仲間のひとりになにか起きて欲しくないんだ」とHTC・ハイロードのマルコ・ピノッティは説明する。

「クロスティスの状況がどれだけ悪くなっていたかはわからない。でも、運営陣は悪天候に備えた代替策を持っておくべきだった。山ではいつ天気が悪くなってもおかしくない。今朝は晴れてたけど、今は雨だ」

「選手は人間なんだ。それに尽きる」

ガーミン・サーヴェロのクリストフ・ルメヴェルや総合成績の有力選手たちは、ゾンコラン対策を再修正しなければならなかった。テュアリス峠が突然カットされたので、選手たちはゾンコランまでの時間と逃げの3名を捕まえる時間を大きく失ってしまったのだ。

「ひどすぎる。残り距離のキロ数がわからないんだよ。“いつゾンコランに入るんだ?”って訊いてたら、いきなり始まったんだ!」と、ルメヴェルは言った。
「めちゃくちゃなレース、それがジロだ。だけど問題はないよ。これがまさにイタリア人気質だからね」



By Gregor Brown in Monte Zoncolan
translation : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI

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