アルデンヌ・クラシックとツアー・オブ・ターキーを目前に控えた4月13日、スキル・シマノの土井雪広はレース中に落車した。コンディションがピークを迎えたこの時期に、土井は少なくとも1ヶ月は戦線を離れる。膝蓋骨骨折を負った土井は、再起を懸けてリハビリ期間に入る。

自らクルマを運転して病院へと向かう土井雪広(日本、スキル・シマノ)自らクルマを運転して病院へと向かう土井雪広(日本、スキル・シマノ) photo:Kei Tsuji4月13日のブラバンツ・ペイルで落車した土井は途中リタイアを喫した。全身に擦過傷を負い、左膝を打ち付けた土井。しかし翌日から普段通りのトレーニングをこなした。「380wアベレージで6分登りメニューを楽に走っていた。でも今思い出すと確かに左膝が痛かったのは覚えている」。

膝の痛みは日々増幅。左脚に体重をかけられず、真っすぐ歩けないほど悪化していた。土井は当初出場予定だったフレーシュ・ワロンヌ2日前の4月17日にチームドクターの診断を受け、総合病院でMRI検査を受けた。

日本への一時帰国を決めた土井雪広(日本、スキル・シマノ)日本への一時帰国を決めた土井雪広(日本、スキル・シマノ) photo:Kei Tsujiそこで判明したのが膝蓋骨骨折。オランダでの検査では膝の皿の下部にヒビが見つかっただけに留まったが、日本での精密検査の結果、完全に折れていることが判明した。「どうやって打ち付けたか記憶には無いけど、膝蓋骨の下部が骨折している」。

今シーズン、土井は2月にスペインで開催されたブエルタ・ア・アンダルシアで集団スプリントに絡んで2度トップ10入り。その後も順調に調子を上げ、オランダ・リンブルグ地方で4月2日に開催されたヘル・ファン・ヘット・メルヘラントでは、最後まで集団に残り、チームメイトをアシストして17位に入った。

「今年はいつになく絞れている」という自信を見せ、最終調整レースとして出場したブラバンツ・ペイルで落車。目標に掲げていたフレーシュ・ワロンヌやツアー・オブ・ターキーを前に、コンディションがピークを迎えたタイミングで、戦線離脱を余儀なくされた。


土井雪広(日本、スキル・シマノ)の左膝土井雪広(日本、スキル・シマノ)の左膝 photo:Kei Tsuji土井は「せっかく付けた筋肉が落ちていく」と表情を曇らす。しかしその気持ちはすでに切り替わっている。

土井はリエージュ〜バストーニュ〜リエージュが開催された日曜日の便で日本へ帰国。バイクトレーニングからは遠ざかるが「今のうちに、今しか付けることができない他の箇所の筋肉をつける。水泳トレーニングを入れながら、体幹の筋力アップを目指す。3〜4週間日本で過ごしてリハビリに励み、膝の回復を図るとともに周囲の筋肉を強化していく」と話す。「バイクトレーニングに戻るのは3週間後からで、レースペースで走れるまでに復活したところでオランダへ。全ては膝の回復具合によるけど、復帰戦は早くて6月17日のルート・ドゥ・スッド」。

ツール・ド・フランス出場を逃したスキル・シマノ。しかしまだブエルタ・ア・エスパーニャ出場の可能性が残されている。「次の目標は決まってる。今は膝蓋骨を治す事に全力を尽くし、この悔しさを大きなバネにして、自分の道をまっすぐ進んで行ければと思います。今回の出来事が、自分をさらに強い場所へと引き上げてくれると感じています」。土井は諦めずに前を向いて進んでいる。

text&photo:Kei Tsuji

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