レーシングタイヤのアイコンになることを目指して開発されたマキシス IKON(アイコン)は、MTB 3C(トリプルコンパウンド)テクノロジー、ハイボリュームケーシングと転がり抵抗の軽減のためのトレッドデザインなどにより、クロスカントリーにおけるあらゆるコンディションにおいて威力を発揮する軽量レーシングタイヤだ。

マキシス IKONマキシス IKON (c)インターテック

IKON に採用されるテクノロジー

3C トリプルコンパウンド テクノロジー
トリプルコンパウンドテクノロジーは、マキシスの限られた上位グレードのMTBタイヤだけに使用される技術だ。硬めのコンパウンド(70a)を使用したベースレイヤーは転がり抵抗の軽減を最大限の目的としつつ、各ノブのねじれ剛性を高めている。

センターノブには少し柔らかめのコンパウンド(58a)を配したことで、高いレベルでのトラクションをもたらす。それと同時に摩擦の軽減によるタイヤ寿命のアップを実現している。そしてサイドノブには、最も柔らかいコンパウンド(50a)を採用することでコーナリング時に絶妙なトラクションを発揮する。

3C トリプルコンパウンド テクノロジー解説図3C トリプルコンパウンド テクノロジー解説図 マキシス EXOプロテクション解説図マキシス EXOプロテクション解説図

EXOプロテクション
耐カット及び耐摩耗性に優れた素材をサイドビードに挟み込んだその構造は、トレイルでの激しい衝撃に耐えるだけでなく、軽量かつしなやかなフィーリングを実現。タイヤの能力を失うことなくライディングの幅を広げてくれる。




インプレッション

軽い走りとブロック設計の絶妙さが光る

第一印象は極めて軽い踏み出しだ! と感じた。いままで数多くのMTBタイヤを使ってきた経験から評価すると、ハードパック(硬く締まった路面)からルーズな路面に対応して作られているタイヤとはいえ、踏み出しの軽さはトップクラスにある。

軽さを感じるのはとくに加速時が一番大きく、巡航スピードに移行するに従って軽さは印象に残らなくなっていく。これは“3Cトリプルコンパウンドテクノロジー”の硬めのベースレイヤーが加速時のブロックの捩れを少なくして軽い踏み出しを演出しているのだと思う(舗装路の高速巡航になるとブロック間の隙間から発生するロードノイズが大きい)。

「ドライコンディションでは走りの軽さとブロック設計の的確さが光るXCレーシングタイヤ」(鈴木祐一)「ドライコンディションでは走りの軽さとブロック設計の的確さが光るXCレーシングタイヤ」(鈴木祐一)

MTBの場合、路面抵抗が大きく、平坦区間での使用が少ないため、ペダリングは“加速”を常にかけていくような力強いペダリングが求められるため、この踏み出しにおける軽さは武器になる。実際にオフロードで走ってみるとクランクがスッと回っていくためケイデンスが維持しやすく、重い路面状況でも軽快なペダリングが可能だった。

ケーシングが演出するしなやかさもICONのもうひとつの大きな特徴で、2.2インチ幅(実測幅:52mm)とXCレースでは標準的な太さであるが、ケーシングの質がゴワゴワした感じがなくしなやかで、路面の追従性が高い。
エアー圧をライダーに適した空気圧にコントロールする事で、砂利のような細かな凹凸路面であってもタイヤが弾かれることなく凹凸を包み込むようにタイヤが転がっていく。同時に、滑りやすい砂利のコーナーリングも石を包んでいくようにタイヤが変形していくので接地面積を多く保つことができ、安定したコーナーリングが可能になる。

一見、特に大きな特長を持たないように見えるブロックパターンも、実はしっかりと考えられている。
高さが3mmほどのブロックに対し、ブロックの大きさとブロック間の隙間が絶妙で、泥詰まりの起きにくい高さと大きさ、そして間隔と、3点のブロック比率が素晴らしい。

基本的にはドライな路面条件で性能が発揮されるタイヤではあるが、ひとたび山道に入れば湿った路面や水溜りも存在する訳で、少しばかりの湿った路面であっても泥詰りを起こしにくいブロックパターンによってタイヤ性能が安定するので“晴れ”で想定される路面条件であれば、加速・コーナーリング・減速という自転車の基本動作(走る・曲がる・止まる)が安定して行うことができるのは、ライダーにとって大きなメリットになるだろう。

マキシス IKON(アイコン)
(サイズ、カラー、コンパウンド、TPI 、ビード、重量、価格)
26×2.2 BLK 70a/58a/50a 120 フォルダブル 535g ¥7,140円
29×2.2 BLK 70a/58a/50a 120 フォルダブル 575g ¥7,140円
※工業製品につき、タイヤ重量についてはカタログ値±5%以内の誤差があります。

インプレライダーのプロフィール
鈴木祐一鈴木祐一 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド



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