今週土曜日にイタリアで開催されるミラノ〜サンレモで、チームスカイはエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)で勝負する。ボアッソンは脹ら脛を痛めてティレーノ〜アドリアティコを途中リタイアしている。しかしチームからの信頼は変わらない。

2009年ジロ・デ・イタリア ステージ優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、当時チームコロンビア)2009年ジロ・デ・イタリア ステージ優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、当時チームコロンビア) photo:Kei Tsuji「今のチーム状況を見ると、エドヴァルドがエースを担うのは理にかなったことだ」とチームスカイのロッド・エリングワース監督は語る。

2008年にジロ・デ・イタリアのステージ優勝とヘント〜ウェベルヘム制覇を果たしたボアッソンは現在23歳。今シーズン初戦のツアー・オブ・オマーンを総合2位で終えたが、1週間後のクールネ〜ブリュッセル〜クールネで脹ら脛を痛めた。それが原因でティレーノ〜アドリアティコを途中リタイアしている。

エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Makoto Ayanoエリングワース監督は「少し怪我の状態が気になったのでリタイアさせた。それほど大きな問題じゃないけど、ティレーノ〜アドリアティコで無理をして怪我を悪化させるわけにはいかない。クールネで落車し、クリートがずれた状態で走り続けたことが原因だと考えられる」と語る。

クールネで優勝したクリストファー・サットン(オーストラリア)の発射台を務め、自身も8位でフィニッシュしたボアッソン。その翌日のトレーニングライドで違和感を感じ、クリートが原因であることを突き止めた。

エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Cor Vosチームスカイは現在ミラノ近郊に宿泊し、ミラノ〜サンレモに備えている。ボアッソンをサポートするのは、ティレーノ〜アドリアティコに出場していたクルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー)、トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)、フアンアントニオ・フレチャ(スペイン)、イアン・スタナード(イギリス)。

更にブラドレー・ウィギンズ(イギリス)、マイケル・ロジャース(オーストラリア)、マイケル・バリー(カナダ)がティレーノ組に合流する。

ツアー・オブ・オマーンの山岳ステージで2位に入ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)ツアー・オブ・オマーンの山岳ステージで2位に入ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:A.S.O.2009年にマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)がミラノ〜サンレモ初優勝を飾ったとき、勝利に大きく貢献したのがボアッソンだ。チームスカイに移籍した昨年は、初めてエースとしてレースに挑戦。ティレーノ〜アドリアティコ最終ステージで勝利して好調をアピールしていたが、精彩を欠いて106位に終わった。

「昨年よりも調子は良い。絶好調とは言えないけど、ミラノ〜サンレモで上位に絡むコンディションであることは間違いない。彼自身も前向きな姿勢を崩していない。若い選手は『今からビッグレースに挑むんだ』という意気込みが先走り過ぎて、過剰なプレッシャーで本来の力を発揮できないことが多い。でもエドヴァルドはそんな状況を乗り越えてきている。脹ら脛も快方に向かっているし、調子も良いので心配はしていない」。

ボアッソンの前に立ちはだかるのは、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)、オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)という過去の優勝者たち。今年はトル・フースホフト(ノルウェー)とタイラー・ファラー(アメリカ)のガーミン・サーヴェロ勢も手強い。

「ミラノ〜サンレモは完全にエドヴァルド向きのレースなんだ。彼の脚質に完璧にマッチしている。仮にビッグスプリンターを含む大集団のスプリントに持ち込まれれば、勝機は少ないと思っている。彼の強みは、他のスプリンターよりも優れた登坂力を有していることだ。(チプレッサやポッジオの)登りでアタックに食らいつき、他のスプリンターたちを振るい落とすことができればチャンスが回ってくる。そんな展開に持ち込む自信はある」。エリングワース監督はそう分析する。実際にボアッソンは標高1235mの頂上ゴールが設定されたツアー・オブ・オマーン第4ステージで、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)に次ぐステージ2位という成績を残している。

ミラノからサンレモまで、298kmの超ロングコースで行なわれるミラノ〜サンレモ。リヴィエラ海岸を見下ろす終盤のチプレッサとポッジオの登りが勝負を分つキーポイントだ。ポッジオの頂上はゴールから6.2kmしか離れていない。強力なメンバーを有するチームスカイは先手を打って攻撃を仕掛けてくるだろう。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji

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