ツール・ド・ムンバイに参戦中のロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)らは、第2戦が開催されるムンバイに自走で向かった。欧米諸国と明らかに異なるライド環境。マキュアンはインド風味溢れるライド環境の中、ムンバイまで安全に走り切った。

レディオシャック、チームボニタス、モーターポイントの隊列が進むレディオシャック、チームボニタス、モーターポイントの隊列が進む photo:Gregor Brown「ここのライド環境はとてもユニークだ。景色、臭い、音、全てがユニーク。人が乗る馬や牛車、3人乗りのバイクが道路上で入り乱れている。これまでのプロ16年間で何もかも見て来た気でいたが、それが間違いだということに気付かされた。」経験豊かなマキュアンにとっても、インドでは新たな発見の連続のようだ。

ナーシクからムンバイまでの約135kmを走ったのは、レディオシャックの他、イギリスのモーターポイント、南アフリカのチームボニタスの選手たち。

パンクによりタイヤ交換するロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック)パンクによりタイヤ交換するロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック) photo:Gregor Brown途中ロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック)がパンクするトラブルに見舞われながらも全員完走。選手たちはバスに連れられてムンバイの雑踏を抜け、市内の五つ星トライデントホテルにゴールした。

ライドに同行したモーターポイントのチームマネージャー、マルコム・エリオット氏は満足した表情で語る。「素晴らしいライドだった。でもムンバイの市内まで走るのは自殺行為だ。バスのおかげでなんとかホテルにたどり着いたよ。」

マルコム・エリオット氏とロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)マルコム・エリオット氏とロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック) photo:Gregor Brownマキュアンも初めてのインドを満喫中だ。「今回のインドでは素晴らしい経験をさせてもらっている。お土産のTシャツも買ったし、すでに今回のインド渡航に充分満足している。明日勝つことができたらなお一層素晴らしい。」

マキュアンとエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)は、日曜日に104kmで開催される第2戦の優勝候補だ。マキュアンは金曜日の第1戦でヴィヴィアーニに敗れている。

インドを満喫するロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)インドを満喫するロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック) photo:Gregor Brown国際的にも知名度が高いマキュアンは、ロードレース大使としての役割も担う。「クリケットと違って、ロードレースは無料で観戦が可能。スタジアムに詰め込まれたスポーツではなく、観客のためのスポーツだ。ここインドには大勢の観客がいる。」

レースディレクターを務めるデーヴィッド・マックエイド氏(UCI会長の息子)も、インドのポテンシャルの高さを認める。「確かにロードレースは特殊なスポーツだ。でもまた来年もここでロードレースを開催したい。」

牛車が走るムンバイ市内牛車が走るムンバイ市内 photo:Gregor Brown今年2年目を迎えるツール・ド・ムンバイ。市内の雑踏は決して安全とは言えないが、レースは滞りなく順調に進んでいる。マキュアンらがインドを受け入れ、自らムンバイまでのライドを選択したことにマックエイド氏は喜びを感じている。「ムンバイまで走ることをアラン・ギャロパン(レディオシャック監督)に持ちかけられた時は戸惑った。でも選手たちがそう望んでいた。インドに溶け込もうとする彼らの気持ちが嬉しかったよ。だから彼らのライドを全面的にバックアップした。」

「マキュアンは大使として素晴らしい役割を果たしている。彼らの助言はレースをパワーアップさせる。来年もっと多くのファーストディビジョンのチーム(プロチーム)を招待するかって?もちろんそうしたい。でもそのためにはもっと多くの賞金を捻出する必要がある。」

ツール・ド・ムンバイはUCI公認のワンデーレースが2つ組み合わさった特殊なレース。UCI非公認だが総合成績も争われ、総合優勝者には6000ユーロの賞金が与えられる。

text&photo:Gregor Brown in Mumbai, India
translation:Kei Tsuji