アデレード空港に降り立つと、青いペンキで塗りたくったような空と、乾いた暖かな空気が迎えてくれた。南半球に位置するオーストラリアは当然夏真っ盛り。寒波に見舞われている日本を抜け出したので、カラダが驚いているのが分かる。着ていた長袖を脱いで半袖になると、心まで軽くなった。

アデレードは快晴 気温は30度前後アデレードは快晴 気温は30度前後 photo:Kei Tsuji現在オーストラリアでは、同国北東部に位置するクイーンズランド州の記録的な大洪水が話題を独占している。

昨年12月からラニーニャ現象の影響で雨が降り続き、観測史上最大の降水量を記録。州都ブリスベンを始め、同州南部の街が大打撃を受けた。ニュース番組や新聞を見ても、茶色い水に覆われた街の様子ばかりが映し出されている。

アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji日本で「来週からオーストラリアなんです」と言うと、決まって「洪水は大丈夫?」「洪水に巻き込まれないように」「洪水でワイン畑がダメージを受けていないか見て来てくれ」というアドバイスをいただいた。

でも大丈夫。心配ない。オーストラリアは日本人が考えているよりずっとずっと広い。同国南部に位置するアデレードの街は雲一つない快晴だ。太陽は燦々と照りつけ、最高気温は30度まで上昇。カラっとしていて実に過ごしやすい。シクロワイアードにも寄稿しているグレゴー・ブラウンが「早く仕事を終わらせてビーチに行こう」としつこく言ってくる。

ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)のサインをもらえて大興奮ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)のサインをもらえて大興奮 photo:Kei Tsujiと言っても、天気が良くなったのは最近の話で、先週までずっと曇り&雨、そして低温のコンディションが続いていたそう。この時期にしては珍しく、これも一連の異常気象の影響だと現地オーストラリア人は言っていた。

クイーンズランドを襲った大洪水の支援として、初日のクリテリウムの賞金12000豪ドル(約100万円)を全額寄付することに全チームが合意。1999年の第1回大会から欠かさず出場(!)しているクイーンズランド州出身のアラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)は「黙って何もしないのはオーストラリアの精神に反する。少しでも役に立ちたいと思ったんだ」と語る。

チームプレゼンテーションを待つBMCレーシングチームの選手たちチームプレゼンテーションを待つBMCレーシングチームの選手たち photo:Kei Tsuji賞金の他、全チームがメンバーのサイン入りのジャージを提供。それらは現在eBayのオークションにかけられており、売上金が復興支援に寄付される。開幕前日に行なわれた記者会見で「最後になったけど、オークションの告知をお忘れなく」とデーヴィスに念を押されたのでしっかりと書いておく。オークションは1月23日20時まで。ちなみに17日の午前8時現在、最も高い値を付けているのはレディオシャックのジャージで、価格は2752豪ドル(約22万6000円)。

そのレディオシャックのランス・アームストロング(アメリカ)とロビー・マキュアン(オーストラリア)は、支援金を募るため、Twitterを介してグループライドを呼びかけた。生憎現地入りが遅れたため取材出来なかったが、4000人がランスらとグループライドを楽しんだそうだ。

スピードが上がり、縦に長く伸びるメイン集団スピードが上がり、縦に長く伸びるメイン集団 photo:Kei Tsuji


地元アデレードの大勢の観客に見守られ、レースは進む地元アデレードの大勢の観客に見守られ、レースは進む photo:Kei Tsuji初日のチームプレゼンとクリテリウムの会場であるライミルパークには、今年も実に108,000もの観客が詰めかけた。前年度比プラスマイナスゼロ。老若男女が仲良く肩を寄せ合って、沿道に幾重もの人垣を作っている。

過去に2度ツアー・ダウンアンダーで総合優勝しているスチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)は人気者だ。少し青みが増した新ジャージを着るサクソバンク・サンガードの選手がオグレディを見つけて「アイミスユー!」と叫ぶ。地元アデレード出身なので、いつも報道陣に囲まれ、チームプレゼンテーションでは一番の歓声を受けていた。

集団前方に位置するマーク・レンショー(オーストラリア)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)集団前方に位置するマーク・レンショー(オーストラリア)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) photo:Kei Tsujiクリテリウムはゴスが余裕の勝利を飾ってみせた。カヴェンディッシュが落車の影響で遅れていなくても、HTCはゴスで勝負していたかも知れない。初めてこんな早くにシーズンインしたカヴェンディッシュとは違って、ゴスはすでにコンディションのピークを迎えている。1月に国内選手権を迎えるオージーならではのスケジューリングだ。

過去にツアー・オブ・ジャパンでステージ優勝しているゴスは、年を重ねる毎に遠い存在になっている。昨年ジロでステージ優勝した時よりも一段と精悍さを増した。でも今も昔も、その柔らかな物腰は変わらない。

優勝を飾ったマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)優勝を飾ったマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード) photo:Kei Tsuji実質的なHTCのエースはゴスだ、と思う。「場合によるけど、これからもカヴと2人でスプリントに挑む。自分1人にエースを託されるのは少し荷が重い。まあどちらかがステージ優勝出来ればそれでいいんだ。総合優勝?それはあまり考えていない。まずはステージ優勝を狙う」期待度の大きさに少々戸惑っているような感じ。

ツアー・ダウンアンダーは休息日を挟んで火曜日から6日間のステージレース本戦がスタートする。「今日のレースはあくまでもクリテリウムだから」とはカヴェンディッシュの言葉。そう、あくまでもツアー・ダウンアンダーは火曜日から。クリテリウムで勝負出来なかったチームがトレインを組んでゴールに突進するはずだ。

text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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