真夏のオーストラリア・アデレードでツアー・ダウンアンダーが開幕。カヴェンディッシュやグライペル、ファラーらが落車の影響で足止めを食らう中、マシュー・ゴス(オーストラリア)で勝負に挑んだHTC・ハイロードがワンツー勝利を収めた。3位にはロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)が入っている。

逃げるゴルカ・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル)やマーティン・モルテンセン(デンマーク、レオパード・トレック)ら5名逃げるゴルカ・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル)やマーティン・モルテンセン(デンマーク、レオパード・トレック)ら5名 photo:Kei Tsuji初日のキャンサーカウンシル・クラシックは、オーストラリア国内で癌に対する啓蒙運動を続ける「キャンサー・カウンシル(癌協会)」が後援するクリテリウムレース。顔見せ的な意味合いが強く、18日からのUCIワールドツアー初戦ツアー・ダウンアンダーの総合成績には反映されない。

コースはアデレード市内のライミルパークを囲むように設置された1.7kmのフラットな周回。合計30周・51kmで行なわれ、5周毎にスプリントポイントが4つ設定されている。

逃げを見送ったメイン集団はペースダウン逃げを見送ったメイン集団はペースダウン photo:Kei Tsujiなお、同国クイーンズランド州を襲った記録的な大洪水の支援として、このクリテリウムの賞金12000ユーロ(約135万円)が全額寄付されることが決まっている。

暖かな太陽が傾き始めた夕方6時45分にレースはスタート。1周目からゴルカ・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル)、マーティン・モルテンセン(デンマーク、レオパード・トレック)、マルケル・イリサール(スペイン、レディオシャック)、アレクサンダー・クチンスキー(ベラルーシ、カチューシャ)の4名が飛び出し、遅れてルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、UniSA)が合流。メイン集団は追走の動きを見せず、すぐに5名の逃げが決まった。

懸命にハイスピードを維持するマーティン・モルテンセン(デンマーク、レオパード・トレック)ら5名懸命にハイスピードを維持するマーティン・モルテンセン(デンマーク、レオパード・トレック)ら5名 photo:Kei Tsuji5名は最大40秒のリードを得たが、集団スプリントに持ち込みたいオメガファーマ・ロットとHTC・ハイロードが集団コントロールを開始するとタイム差は縮小傾向に。5周毎に設定されたスプリントポイントはダーブリッジやイサギーレが分け合った。

やがてモルテンセンとクチンスキーが先頭から脱落し、イサギーレ、ダーブリッジ、イリサールの3名が逃げを継続。しかし人数を揃えてメイン集団を率いるスプリンターチームの勢いには敵わず、ゴールまで5周回を残して逃げは全て吸収される。ここからハイスピードな主導権争いが始まった。

観客が詰めかけた周回コースを駆け抜ける観客が詰めかけた周回コースを駆け抜ける photo:Kei Tsuji

オメガファーマ・ロットとHTC・ハイロードがコントロールするメイン集団オメガファーマ・ロットとHTC・ハイロードがコントロールするメイン集団 photo:Kei Tsujiオメガファーマ・ロット、HTC・ハイロード、クイックステップが集団先頭に上がってスピードを上げ、最終周回が近づくとチームスカイが先頭に。昨年の勝利を彷彿とさせる走りで、チームスカイが主導権を握る。

しかしゴールまで約600mを残した鋭角な左コーナーで、4番手を走行していたチームスカイのグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)がクラッシュ。この影響でベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)、クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)、マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)、ゴスの4名が飛び出した形に。

レンショーに発射されたマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)がスプリント開始レンショーに発射されたマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)がスプリント開始 photo:Kei Tsuji先頭の4名は数メートルのリードを得てラスト200mの最終コーナーをクリア。発射台役のレンショーが力強い加速でチームスカイの2人を抜き去り、ゴスを最高のポジションで発射した。

昨年の最終ステージ覇者であるサットンのスプリントは伸びず、ゴスが後方を確認しながらの余裕のスプリントでゴールに向かう。後方からマキュアンが飛び出したが届かず、HTC・ハイロードの2人が両手を広げてゴールに飛び込んだ。

両手を挙げてゴールするマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)両手を挙げてゴールするマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード) photo:Kei Tsujiゴスはタスマニア島出身の24歳。AIS(オーストラリア国立スポーツ研究所)出身で、2005年のツアー・オブ・ジャパン大阪ステージで優勝を飾っている。チームCSCに3年間所属し、2010年から現HTCチームに所属。昨年ジロ・デ・イタリア第9ステージGPウエストフランス・プルエーで勝利し、一気にブレイクした。

ゴスは1月上旬にオーストラリアで開催されたジェイコ・ベイクラシックでステージ2勝を飾って総合優勝に輝き、オーストラリア選手権ロードで2位に。波に乗った状態だったのは間違いない。「いつも1月は調子が良いんだ。こんなスタートを切ることが出来て本当に嬉しい。自分にとってもチームにとっても、素晴らしいシーズン幕開けになったよ」と喜びを噛み締めながら語る。

勝因を語るマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)勝因を語るマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード) photo:Kei Tsuji落車の影響で減速したカヴェンディッシュは30秒遅れの集団でゴール。ゴスは、HTC・ハイロードの戦略がカヴとゴスのダブルエース体制だったと打ち明ける。「レンショーの後ろにカヴが付き、その後方に僕が付く。そんな2つのオプションを用意していた。でも最終周回の落車の影響で、カヴが減速してしまった。そこから僕がレンショーのホイールにしがみついたんだ。完璧なリードアウトだった」

好調ゴスは、ツアー・ダウンアンダー本戦でもステージ優勝候補だ。さらに総合優勝の候補にも挙げられる。ゴスは「地球の自転を狂わすようなパワーが今のHTCにはある」と自信を見せており、オメガファーマ・ロットやチームスカイとの再戦に注目が集まる。



ツアー・ダウンアンダー2011キャンサーカウンシル・クラシック結果
1位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)    1h05'12"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)
3位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
5位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
6位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)
7位 ダヴィデ・ヴィガノ(イタリア、レオパード・トレック)
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
9位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
10位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)

text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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