全10戦で開催される関西シクロクロスの第7戦が、1月9日、滋賀県の希望が丘文化公園で行なわれ、世界選手権出場が決定している丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)が優勝。また、この日もジュニア全日本チャンピオン沢田時(ENDLESS/Pro Ride)の走りが光った。

C1 スタートC1 スタート photo:Hideaki.TAKAGI前日まで降り続いた雪が、真っ白なコースを作り出した。レースの舞台は、滋賀県南部、琵琶湖から10kmほど入った山間に位置する希望が丘文化公園。シングルトラックや林道の登り、急坂など、変化に富んだコースが用意された。

過去には全日本選手権が開催されたコースであり、“シクロクロスらしさ”が存分に味わえる名コース。当日は気温が約8度まで上がったため降り積もった雪は融け、コースは泥だらけに。選手たちは冷たい雪解け水に大きく体力を削がれることとなった。

C1 トップを維持したまま40分間の最終周回に入った沢田時(ENDLESS/Pro Ride)C1 トップを維持したまま40分間の最終周回に入った沢田時(ENDLESS/Pro Ride) photo:Kei Tsuji前回の第6戦丹波に引き続き、長野から丸山厚が遠征出場した。丸山は日本代表として世界選手権出場が決まっており、調整として精力的にレースに出場している。

他にも、年間シリーズ王者を目指す辻善光(宇都宮ブリッツェン)や、関東から遠征する池本真也(和光機器タムラクラブ)が出場。ジュニア全日本チャンピオンで、世界選手権ジュニアに出場予定の沢田時(ENDLESS/Pro Ride)は今回も40分間の時間制限付き(エリートは60分間)の出場だ。

レースは1周目から沢田がリードする。しばらく丸山が食らいついたが、パワフルで勢いのある沢田がその距離を広げて行く。沢田は丸山を1分以上引き離し、規定通り40分間(5周回)でフィニッシュ。エリート選手を圧倒した。

C1 4周目、落ち着いて沢田を追う丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)C1 4周目、落ち着いて沢田を追う丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS) photo:Kei TsujiC1 6周目、辻善光(宇都宮ブリッツェン)C1 6周目、辻善光(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki.TAKAGIC1 6周目、池本真也(和光機器タムラクラブ)C1 6周目、池本真也(和光機器タムラクラブ) photo:Hideaki.TAKAGI

C1 5周目、丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)C1 5周目、丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS) photo:Hideaki.TAKAGI沢田のゴール後、先頭に立った丸山は落ち着いた走りで周回を重ねて行く。最終的に後続を1分近く引き離す走りで、8周回のレースを終えた。

「気温が上がって雪が融け、冷たい水が全身にかかったので、レース中もずっと寒かったです。ドイツの世界選手権は寒いだろうと予想して、グローブ無しでスタートしましたが、それは失敗。あまりにも冷たくて変速もままならなかったので、途中ピットスタッフからグローブを受け取りました」優勝した丸山は寒さに震えながらそう振り返る。

「来週末は信州シクロクロスの最終戦に出場します。それから1月20日に出発してまずはオランダへ。代表チームと合流して、24日にオランダで開催されるワールドカップ(ホーヘルハイデ)に出場します」

C1 8周目、トップをひた走る丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)C1 8周目、トップをひた走る丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS) photo:Kei Tsuji

C1 表彰C1 表彰 photo:Hideaki.TAKAGI「踏めたのは登り区間だけ。あとはテクニカルで、タイムを稼げなかった」と語るのは、池本との2位争いを制した宇都宮ブリッツェンの辻だ。辻は落車で順位を落としながらも、最終周回で池本をパスして2位に。毎レース着実にポイントを稼ぎ、年間シリーズランキングの順位を上げている。

「レース中盤にクラッシュして、ブレーキが壊れてしまった。何とか走り出したけど(池本選手に抜かれて)3位に後退。そこからひたすら前を追い、何とか最終周回で追いつき、最後のセクション手前でパス。2位に入ることが出来ました」

この希望が丘を最後に「丘(山)」シリーズが終わりを告げる。関西シクロクロスは残り3戦。第8戦野洲川、第9戦堺、第10戦桂川のコースはいずれも平坦基調で、テクニック以上に地脚が問われる。「次戦からは平坦なので、ロード選手の脚力が活きるはず」年間シリーズ王者を目指す辻は、残る3戦で優勝を狙う。

CM1 先頭のビンセント・フラナガン(PEDALFORTH.com)CM1 先頭のビンセント・フラナガン(PEDALFORTH.com) photo:Hideaki.TAKAGICL1 優勝の宮内佐季子(CLUB Vient)CL1 優勝の宮内佐季子(CLUB Vient) photo:Hideaki.TAKAGIC2 優勝の後呂有哉(岩井商会レーシング)C2 優勝の後呂有哉(岩井商会レーシング) photo:Hideaki.TAKAGI


C1
1位 丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS) 1h05'19"
2位 辻善光(宇都宮ブリッツェン)           +55"
3位 池本真也(和光機器タムラクラブ)        +1'05"
4位 伊澤優大(岩井商会レーシング)         +1'58"
5位 稲益拓也(DARK BLUE BIKERS)        +2'33"
6位 松井正史(シマノドリンキング)         +2'50"
7位 久保伸次(岩井商会レーシング)         +3'18"
8位 景山昭宏(クラブシルベスト)          +3'39"        
9位 徳田鍛造(北桑田高校)             +3'47"
10位 濱由嵩(MUUR ZERO)             +3'48"

CM1
1位 ビンセント・フラナガン(PEDALFORTH.com)  39'02"
2位 大河内二郎(シルクロード)           +22"
3位 佐野光宏(ストラーダR)            +50"
4位 巳波一郎(Euro-Works)           +1'30"
5位 細川公志(Bee Club)            +1'42"

CL1
1位 宮内佐季子(CLUB viento)         36'57"
2位 埜真賢美(Teamクルーズ)           +44"
3位 山口博子(パワーキック)           +1'10"
4位 東陽子(Team Johnny)           +1'47"
5位 三井由香(ベロチスタ・タニムラ)       +8'20"

C2
1位 後呂有哉(岩井商会レーシング)       38'19"
2位 酒井領(パワースポーツ SICK)        +12"
3位 曽我暁男(WielerSchoolJAPAN)       +23"
4位 中澤直継(三上山林道クラブ)         +36"
5位 竹ノ内脩兵(ZiPPY/エスキーナ)       +1'05"

text:Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji, Hideaki Takagi