2010年度はTEAM NIPPOの育成チームとして活動したチームユーラシア。2011年度は5人の選手が新たに加入、今までの活動をベースに、引き続き若い選手の育成環境を構築・追求していく。

チームユーラシアとダンジェロアンティヌッチィ・株式会社NIPPOの監督を務める大門宏氏、ならびにチームユーラシアの監督を務める橋川健氏に2011年度構想を聞いた。


チームの中核選手になる竹之内悠、2010年全日本シクロクロスよりチームの中核選手になる竹之内悠、2010年全日本シクロクロスより photo:Hideaki.TAKAGI大門宏監督
来季の活動は?
「チームのメインステージは、日本の実業団大会(P1カテゴリー)をメインとする国内での大会。実業団はトップカテゴリーの「P1」とは言え、加盟する80パーセント以上のチームに所属する選手の大半は、機材からエントリー費用~遠征費を自費で捻出して参加しているのが現状。スタート前に「参加手当」を保障、待遇されて参加している選手はごく一部だ」

「必然的に、勿論チームユーラシアに所属する選手も、アルバイトを含めた何等かの仕事に従事しながらの選手生活が基本姿勢になる。勿論、チームも機材や遠征費のサポートはしていくが、トップチームの様な「至れり尽くせりの待遇」は全く考えていない」

「チームから派遣する予定のヨーロッパのレースも、カテゴリー的に日本の大会同様、参加しているヨーロッパ人も同じ環境に身を置く選手達だ。チームユーラシアとしては、日本人選手の将来への期待も込めて、各カテゴリーにおいても常にグローバルスタンダードを基準に、力や技量に合わせ「真っ当なサポート環境」を国内でも提供していきたいと思っている。但し、例えシーズン中でも、成績次第でサポート内容の見直し、ステップアップは配慮していく」

ベルギーでは「先輩格」になる大塚航。シクロクロスで過去に世界選手権へ出場しているベルギーでは「先輩格」になる大塚航。シクロクロスで過去に世界選手権へ出場している photo:Hideaki.TAKAGI「ヨーロッパでの活動範囲は橋川監督の拠点の在るベルギー、及び国境に近い北フランスをメインに考えているが、昨年以上に「派遣する理由」を明確にしていきたい。遠征費も、基本チームからは「補助サポート」。まずは同年代の選手と戦い、勝ち抜いていけるかどうか、海外に行く資格や価値の在る選手かどうかも問うていきたい」


選手については?
「サポート環境は多くを見直したが、基本は今季の延長。学生選手の支援範囲は2名に留まらずシーズンを通して発掘していきたい。また、一つのステップアップサポートとして、竹之内悠だけはベルギーのクラブチームに所属しながらヨーロッパ、日本国内のレースを転戦させる」

新加入は金沢高校卒業後に入る山崎航と清水恒太。そして大塚航と大場政登志、藤岡徹也。
「さらに有望な若手が複数所属している、内山監督の湘南ベルマーレとも連携して、若手の経験&強化のためベルギーなどでの活動も支援していく」


学生個人ロードTT2位の大場政登志、西日本学生トラックより学生個人ロードTT2位の大場政登志、西日本学生トラックより photo:Hideaki.TAKAGI橋川健監督
選手へ期待することは?
「チーム内で競争させ、選手間で切磋琢磨して欲しい。半分以上の選手は2011年で2シーズン目となる。「成長」を期待するのでは無く「結果」を求めたい。竹之内には将来「日本のエース」として世界で活躍できるポテンシャルを昨年のヨーロッパ遠征で感じた。今年はそこからステップアップして欲しい」


新加入選手について
・大塚航 岩井商会GANWELL RACINGより
京都・花園高校卒業後、masahikomifune.com Cyclingteamで活動、1シーズンをベルギーで過ごす。その後岩井商会GANWELL RACINGで活動、自力で2010年ベルギーで活動中のところを、橋川監督の目にとまり今回の加入にいたる。スピードタイプの選手。
「最年長なので自覚を持って行動し、この1年間とにかく集中して結果を出したい」と語る。

・大場政登志 朝日大学卒業後加入
平地のスピードに長ける選手で、トラックの4km団体追抜きでは全アマトラックで優勝、全日本トラックで2位、ほか4km個人追抜き、1kmTTでも好記録を持つ。学生界を最も驚かせたのは2010年6月の学生個人TTでの2位だ。そのときの優勝は西薗良太(東京大学)。3位は伊藤雅和(鹿屋体育大学)、以下吉田隼人、高宮正嗣と続くハイレベルの戦いだった。


ツール・ド・フクオカ2010、藤岡徹也(TEAM NIPPO)が優勝ツール・ド・フクオカ2010、藤岡徹也(TEAM NIPPO)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI・藤岡徹也 TeamNIPPOより
高校時代(クラブシルベスト)にシクロクロス世界選手権出場、TeamNIPPO所属で主に国内レースを走る。2010年11月のツール・ド・フクオカのプロ・クリテリウムでの優勝が光る。スピード、スプリント力に長ける選手。

・山崎航、清水恒太 金沢高校卒業後加入
全日本選手権、インターハイ、選抜大会で活躍する金沢高校から2人が加入する。山崎は2009年全日本選手権ロードU17チャンピオン。2010年千葉国体ロードは2度の逃げを作って5位入賞。積極さが光る。
 

2010年千葉国体ロード・少年、逃げ集団の山崎航(中央)と清水恒太(左)2010年千葉国体ロード・少年、逃げ集団の山崎航(中央)と清水恒太(左) photo:Hideaki.TAKAGIチーム体制&概要インフォ

チーム名称:Team EURASIA-FONDRIEST Bikes

メインスポンサー:株式会社NIPPO

*フレーム、FONDRIEST TF2-1.0
*タイヤ IRC
*メインコンポーネント=canpagniolo11V
●ハンドル&ステム 3T
●サドル セッラサンマルコ
●ウェア PISSEI
●ヘルメット OGK
●サプリメント 3ACTION
●ペダル LOOK


千葉国体ロード、廣瀬敏氏と愛弟子の山崎航(石川・金沢高校)。2回逃げて5位に千葉国体ロード、廣瀬敏氏と愛弟子の山崎航(石川・金沢高校)。2回逃げて5位に photo:Hideaki.TAKAGI■チームのカテゴリー■
ELITE-2

■活動舞台■
【日本】
実業団 JPTクラス
全日本選手権並びに、国体等 登録都道府県代表で参加する大会、その他イベント

【海外】
競技力向上&意識向上、海外経験を目的とし、活動としてベルギーへの遠征(春季&夏季)
主にベルギー&南フランスのレベルに適合したレースを転戦する
日本人選手11名(途中変更在り)

●学生リーグに所属する2名
*機材サポート及び ヨーロッパでの強化サポート(日本国内での合宿含む)
中根英登 1990年05月02日(中京大学)
榊原健一 1991年11月02日(中京大学)

●昨年ジュニアカテゴリーの全国大会で優秀な成績を納めた選手2名
(来春金沢高校卒業見込)
山崎航 1993年2月23日(2011年 JrカテゴリーJCF強化選手)
清水恒太 1992年04月05日(2011年 U-23カテゴリー)

●成長著しい日本の若手候補選手の中から、選考したエリートカテゴリー 主要メンバーは7名

竹之内悠 1988年09月01日(2011年、海外ではベルギーのクラブチーム、INTER CLUB TOMACC に所属)

藤岡徹也 1988年05月29日(TEAM NIPPOから)
伊藤翼 1988年04月28日
外勢健一朗 1987年04月13日
中山卓士 1989年03月23日(2011年 U-23カテゴリー)
大塚航 1986年06月23日(岩井商会GANWELL RACINGより)
大場政登志 1988年7月23日(朝日大学卒業後加入)

スタッフ
監督 橋川健、大門宏


text、photo、interview:高木秀彰