“2人のロビー”マキュアンとハンターのレディオシャック移籍が決定

2010年12月23日、レディオシャックはプレスリリースを出し、ロビー・マキュアン（オーストラリア）とロバート・ハンター（南アフリカ）を新たに獲得したことを発表した。2人はオーストラリアのペガサススポーツと契約済みだったが、同チームがプロコンチネンタル登録を逃したことで、離脱が有力視されていた。

ロビー・マキュアン（オーストラリア） photo:Kei Tsujiプロチーム入りを目指し、オーストラリアで始動する予定だったペガサススポーツ。しかしプロチーム入りを逃しただけでなく、財政的な問題によりプロコンチネンタル登録も逃した。

契約規約により、他チームへの移籍が可能になった選手たち。実質的なペガサススポーツ崩壊から僅か3日、マキュアンとハンターのレディオシャック移籍が発表された。

今年のジャパンカップに出場したロビー・マキュアン（オーストラリア） photo:Kei Tsujiレディオシャックのヨハン・ブリュイネール監督は“2人のロビー”を歓迎する。「彼らはチームに完璧にフィットする。ペガサスのプロジェクトに関わっていた選手やスタッフのことを思うと悲しい。彼らは最高峰のプロレース出場に値する選手たちだ。その中の2人に、こうして手を差し伸べることができて嬉しく思う。それに、2人は“勝てる選手たち”だ。ゴール前でトレインを必要としないスピードをもっている。自分たちで活路を開くことができる。それに、若手にも有益な知識を与えてくれるだろう」

1996年にプロデビューを飾ったマキュアンは、ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアでそれぞれステージ通算12勝。2002年、2004年、2006年のツールでマイヨヴェール（ポイント賞ジャージ）を獲得している。現在38歳。2011年シーズンが現役最後の年になることを公言している。

「ロビー・マキュアンは決して若くない。でもチームには年齢が問題ではないことを証明する選手が多くいる。今年、ロビーはまだトップレースで勝てることを証明してみせた。プロトンの中で、若手の良い指南役になるはずだ。ロビー・ハンターに関しては、1年遅れのチーム合流になる。彼には2009年シーズン末にもオファーを出していた。チームの辛抱が報われたようだ」ブリュイネール監督は2人の活躍に期待する。

チームが見つからない場合は引退も辞さない構えだったマキュアンは、胸を撫で下ろす。「世界最高峰のチームであるレディオシャックとの契約に至り、安心している。これで望んでいた通り、プロ最後の年もトップレースで闘うことができる。他チームへの移籍を考え始めたとき、レディオシャックが最初の選択肢だった。そこでランス（アームストロング）にコンタクトを取り、ブリュイネールからオファーが来た。彼らには感謝している」

ブエルタ・ア・ムルシアでスプリント2連勝を飾ったロバート・ハンター（南アフリカ） photo:www.slipstreamsports.comマキュアンのレディオシャックジャージデビューは、1月に母国オーストラリアで開催されるツアー・ダウンアンダーの予定。「カヴェンディッシュやファラー、グライペルのような若手が台頭しているが、まだ最速スプリンターの一人であることを自負している。現役最後の年を、ただプロトンの中でのんびり走って過ごしたいわけじゃない。シーズンを通してパフォーマンスを発揮し、高みを目指したい。まずはダウンアンダー。そしてジロやツール、そして世界選手権も目指している」まずはダウンアンダーでのトップスプリンターたちとのバトルに注目したい。

ロバート・ハンター（南アフリカ） photo:Kei Tsuji「ペガサススポーツの崩壊後、こんなに早く契約を結ぶことができて幸せだ。ペガサススポーツのプロジェクトは素晴らしく、彼らのチームで走ることを心待ちにしていた。でもコンチネンタルチームで走るというオプションはなかった。今はやる気に満ちている」そう語るのは、もう一人のロビー、ロビー・ハンター。

現在33歳のハンターはマキュアンと同じスプリンター。ツールとブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝経験がある。マキュアンをサポートしながら、自身もグランツールで勝利を狙うことができる。「レディオシャックは自分に合っていると思う。チームにはそれほど多くのスプリンターがいないから、居場所はすぐに見つかるはず。チームの首脳陣もそのことを評価してくれたようだ」

マキュアンとハンターの他にも、ペガサススポーツ所属選手は相次いで他チームとの契約を発表している。ドミニク・コルニュ（ベルギー）とスヴェイン・タフト（カナダ）は、それぞれプロコンチネンタルチームのトップスポート・フラーンデレンとチームスパイダーテック・パワードバイC10と契約済みだ。

text:Kei Tsuji