シクロクロスのシリーズ戦、「関東クロス」の第1戦と第2戦が11月20日・21日の2日間で埼玉県秩父市で開催された。MTB中心のイベント「秩父サイクルフェスティバル」との併催で行われるこの大会は、小規模でアットホームな雰囲気が特徴だ。

関東シクロクロス第2戦スタート。この全2戦は土日の2日連続開催でおこなわれた関東シクロクロス第2戦スタート。この全2戦は土日の2日連続開催でおこなわれた photo:Kazuhide.Hashidate

テクニカルな下りを攻める小嶋欣巳(虎の穴)。この埼玉県野外活動センター特設コースは高度な技術を必要とする、テクニカルなレイアウトが特徴だテクニカルな下りを攻める小嶋欣巳(虎の穴)。この埼玉県野外活動センター特設コースは高度な技術を必要とする、テクニカルなレイアウトが特徴だ photo:Kazuhide.Hashidate「関東クロス」大会趣旨と今までの流れ

埼玉県野外活動センター特設コースのシングルを走る山田英夫(Verdad)埼玉県野外活動センター特設コースのシングルを走る山田英夫(Verdad) photo:Kazuhide.Hashidate関東シクロクロスシリーズ戦は、最初8年前に開催を始めた「秩父サイクルフェスティバル(通称:ちちフェス)」の第1回目から設定していたAJOCC非公認のシクロクロスレース開催に由来する。

関東地方でのシクロクロス大会としては、以前から茨城クロスや明大クロス、CWSの江戸川クロスなどのレース開催があったが、5年前ぐらいからAJOCC公認の開催レースがなくなっていた。そこで当初よりおこなっていた「最上級カテゴリーを開催せず、一方で関東で一番強い選手が分かるシリーズ戦を行うことによるシクロクロス普及大会」として、2006年の大会よりAJOCCの公認を得て「関東シクロクロス」として開催されている。

関東シクロクロスシリーズでは全カテゴリーが同時に出走、着順によるポイントを与え、2日間の総合成績でチャンピオンが決まる。普段あまりシクロクロスに参戦しない、ロードレースやマウンテンバイクなどの選手が同時に競いあえるようになっていることが特徴となっている。

今大会では、カテゴリー2、カテゴリー3、女子L2、そしてマスターズのレースが行われ、各カテゴリー一斉スタートの40分で競争が行われた。

会場となる「埼玉県青少年総合野外活動センター」は、秩父市の豊かな自然に囲まれた埼玉県の施設だ。山の傾斜面にある施設の地理を生かし、かつトレイルを痛めないように、毎年コースを変更しながら「テクニカルで楽しく苦しめるコース」が設営されている。

第1戦に引き続き、鈴木禄徳(VOLCAオードビーBOMA-UVEX)は、ウイリーをきめながら全カテゴリー内トップでゴール!第1戦に引き続き、鈴木禄徳(VOLCAオードビーBOMA-UVEX)は、ウイリーをきめながら全カテゴリー内トップでゴール! photo:Kazuhide.Hashidate一方で開催時は紅葉が一番キレイな時期で、選手の走りが紅葉に映え観戦も楽しめるような嗜好となっている。

自身も長くシクロクロスに出場していた経歴のあるレースディレクター、須藤大輔は「シクロクロスでもMTBでも、それぞれの特徴を生かしながら走れるコース。どちらが優位というのはあまりないように配慮しています。コースレイアウトとしては、一昔前の日本のシクロクロスコースにありがちな感触を受けると思うが、この秩父のコースをしっかり走れれば、国外のパワーコースも十分走れると思います」と話す。

今年の大会には、関東でロードレーやシクロクロスで活躍する向山浩司(GRUPPO ACQUA TAMA)や、MTBクロスカントリーJシリーズのエリート選手である鈴木禄徳(VOLCAオードビBOMA-UVEX)、代田和明(WING-PAW)、小嶋欣巳(Club Sy-nak)、北島篤志(c-KiRin.com)なども出場し、スタートから猛烈なスピードで飛び出し、ギャラリーを多いに沸かせた。

観戦ポイントであるシングルトラックの登りなどは、乗ったままクリアする選手もいる一方、降りて自転車を押したり、担いでクリアしたりと様々な走りを見せ、歓声が多いポイントともなった。

第2戦カテゴリー2の表彰。左より2位・古谷利行(xyz104)、1位・鈴木禄徳、3位山田英夫第2戦カテゴリー2の表彰。左より2位・古谷利行(xyz104)、1位・鈴木禄徳、3位山田英夫 photo:Kazuhide.Hashidate全2戦の全カテゴリー内着順によりポイント計算される「関東シクロクロスシリーズチャンピオン」に輝いた鈴木禄徳(VOLCAオードビーBOMA-UVEX)全2戦の全カテゴリー内着順によりポイント計算される「関東シクロクロスシリーズチャンピオン」に輝いた鈴木禄徳(VOLCAオードビーBOMA-UVEX) (c)Makoto.AYANO

表彰式を待つ関東シクロクロス第2戦・各カテゴリー上位入賞選手たち表彰式を待つ関東シクロクロス第2戦・各カテゴリー上位入賞選手たち photo:Kazuhide.Hashidate第2戦カテゴリーL2の表彰。華やかな表彰に関東シクロクロス名物のシャンパンシャワーが際立つ!左より2位・佐復亜都奈、1位・佐々木優子、3位・安江好美(すべて加波一族自転車部)第2戦カテゴリーL2の表彰。華やかな表彰に関東シクロクロス名物のシャンパンシャワーが際立つ!左より2位・佐復亜都奈、1位・佐々木優子、3位・安江好美(すべて加波一族自転車部) photo:Kazuhide.Hashidate


編集部・綾野の参戦レポート

秩父サイクルフェスティバルはずいぶん前に取材に来た経験もあり、関東クロスのことも知ってはいたが、今回は参戦もかねて訪れてみた。
シリーズ戦といっても土・日の両日2戦でシリーズチャンピオンが決まるという簡潔な大会で、出場者数も関西や信州クロスのように多くはない。今回出場させていただいたカテゴリー3は7名のエントリー。だからすべてのカテゴリーが同時出走でも人数が多すぎることはない。
会場の埼玉県野外活動センターの敷地は秩父連山の山腹にあり、その地形を生かしたコースなのでアップダウンが多い。最適な機材は何か?と聞かれれば、「29インチマウンテンバイク」か、「MTB並のワイドギアを備えたシクロクロスバイク」と答えたいほど、コースはアップダウンとコーナーが多くてテクニカルだ。

編集部・綾野が参戦。テクニカルコースに手を焼いた編集部・綾野が参戦。テクニカルコースに手を焼いた photo:Kazuhide.Hashidateレース時間は40分。時間は短くとも追い込む走りが要求されるのはシクロクロスのレースならどの大会も同じ。高速区間はほんのわずかで、メイン会場のある芝生広場の周りのみ。あとは土系のシングルトラックがメインなので、ドロップオフや急コーナリング、担ぎも多少含まれ、バイク操作に忙しくて息が上がる。休めるポイントはあまりない。

関西クロスや信州クロスほど知名度もなく、参加人数も少ないため、独自のルールでレースが行われていて、競技志向の高いことが一般的なシクロクロス大会としては異色な感じはする。ただ、そのぶん参加はしやすく、間口が広い感じがあるので、入門用シクロクロス大会としてはオススメだ。秩父サイクルフェスティバルの大会のいちプログラムという印象が強いので、MTB大会のいち種目として出場している人も多い。

関東ではかつてから各種シクロクロス大会が随所で行われてきたが、現在の関西クロスのようにまとまりがなく、主催者もバラバラだったためか、現在は多くの大会が無くなってしまった。ここ3年、新しく埼玉県吉見市で行われるGPミストラルシリーズが好評を博して盛り上がりつつあるが、この関東クロスは盛り上がりに欠けながらも細々と実績を重ねている貴重な大会だ。

なお「秩父サイクルスポーツフェスティバル」の模様については別記事でお伝えします。


関東シクロクロス2010-2011:シリーズランキング
1位 鈴木 禄徳 56P
2位 向山 浩司 30P
3位 代田 和明 30P
4位 三上 和志 20P
5位 古谷 利行 18P
6位 小田嶋 貴弘 12P
7位 多田 尚史 12P
8位 佐復 真人 8P
9位 山田 英夫 8P
10位 小嶋 欣巳 8P

大会要項
関東シクロクロス2011-2011シリーズ戦
開催日:第1戦・11月20日(土)、第2戦・11月21日(日)
※カテゴリー2、3、女子L2、マスターズ:40分
開催地:埼玉県青少年総合野外活動センター(埼玉県秩父市)

大会公式ホームページ
http://rockmutsumi.web.fc2.com/kcso/index.html



text:須藤むつみ(関東サイクルスポーツ運営委員会)&綾野 真
photo:撮影:松田 千裕、橋立 一秀

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