2009年の国内ロードチームはすでに新体制でチャレンジロードなどを戦っている。そのチャレンジロードの会場でブリヂストン・アンカーの藤野監督、マトリックスパワータグ・コラテックの安原監督に、今年の体制と戦い方をそれぞれインタビューした。

ブリヂストン・アンカー 藤野智一監督

エスポワールの4名はフランスへ
ブリヂストン・アンカーの2009年メンバー。遠征中の伊丹を入れてロードは12人ブリヂストン・アンカーの2009年メンバー。遠征中の伊丹を入れてロードは12人 photo:Hideaki.TAKAGI2009年のブリヂストン・アンカーはこのように考えています。まず、サテライトチームのブリヂストン・エスポワールは伊丹健治、金子友也、平井栄一、清水太己の4名のメンバー。この4名はフランスのアマチュアカテゴリーのチームに派遣して、シーズンの前半と後半を戦うが、チャレンジロードを最後にフランスへ行き、先行している伊丹と合流する。それぞれのクラブチームでレースに出て力をつけて、目標は全日本選手権のアンダーと清水のジュニアに照準を合わせる。

コンチネンタルチームのアンカーは、この後のマレーシア、インドネシアのレースで戦い、その後TOJと全日本にピークを持ってくる。全日本ではエリート、アンダー、ジュニア、女子すべてでチャンピオンを狙う。嶌田選手は全日本TTも出る。全日本後はエリートでフランスへ遠征する。8月下旬に帰国して全日本実業団、北海道その後の国内レースと続きます。

今年は普久原奨に期待している
ブリヂストン・アンカー 藤野監督ブリヂストン・アンカー 藤野監督 photo:Hideaki.TAKAGIチームの中ではアンダーの選手に頑張って欲しいと思っています。ベテランの飯島選手はどの走りにも対応できるが、中堅の普久原選手やアンダーの選手はまだ対応できないので、できるだけ走らせたい。エースというより、チャンスを与えたいと考えている。

個々の選手では、今までアンダーの福田、嶌田選手が目立っていた。いっぽうで普久原選手は中堅でアシスト的な仕事をしてきた。彼は3年目で元々持っていた登坂力、本来は平坦よりは上りが強い選手。今年はエースとしての走りに期待して、最後を任せられるようになったので、今年はまず1勝させたい。アシストでなく、エースとしての気持ち、モチベーションで勝って欲しい、そう考えている。それはできればUCIレースで。頼れる存在になってきているので、どこかで勝って欲しい。

森田正美選手は昨年1年間、怪我で走れませんでした。今年はチャレンジは通過点として優勝して、そして目標を全日本選手権におく。そこで勝って日本代表に選ばれて、世界戦や海外のレースにナショナルチームとして行かせたい、そう考えています。

ブリヂストンアンカーはサポートの整ったチームなので、強い走りを見せられるようなチームにしたいですね。

マトリックスパワータグ・コラテック 安原昌弘監督

4人抜けても中村一人だけを入れた理由は
マトリックスは辻貴光を加えた7人で戦うマトリックスは辻貴光を加えた7人で戦う photo:Hideaki.TAKAGI三船、橋川、佐野、松村が抜けて、今年は中村誠一人だけが入った。みんなが去年よりレベルアップしているから、選手を信用してその抜けた穴を補うことを選手に自覚させた。だから今年はやっていけると思っていた。だけどもツール・ド・台湾を走って、抜けた穴は大きいなと言うのが実感。それは選手もわかったと思う。

しかし、精神的にはやりやすくなったと思う。三船橋川という年上がいたから、北海道ならみんな最後は「三船さん頼みます」という気楽さと同時に、そこまで持っていくプレッシャーもあっただろう。それがなくなった分、気負わなくていいところが出たけれども、やはりプレッシャーはあったほうが良かった。台湾を走って、選手はもっと頑張らないといけないと実感しただろう。それから考えが変わり今は良くなってきた。あの4人の分を、個々にどう走っていくかと言う自覚が出てきた。

今年は橋川の役割を中村に、三船の役割を善光に、総合的なサポートを向川にしている。向川は両方いけるから、中村、善光が行けないときに行く第2エース的。プラス澤田、涌元の若い選手をどんどん強化していきたい。抜けた佐野にしても、逃げるタイミング、ゴールへ行くときの列車の先頭は絶対に佐野でなければならなかった。出て行くタイミングが抜群、スピード調整も。いま、ほかの選手がそれをやろうとしてもできない、そのときに佐野さんがいてくれたら、と気付く。これがいいんです。

中村、辻善光、向川を主力に
マトリックスパワータグ・コラテック 安原監督マトリックスパワータグ・コラテック 安原監督 photo:Hideaki.TAKAGI今年は中村、善光、向川の3人を主力に戦う。昨年、善光は三船のやっていたことをよく見ていた。あえて発射台として我慢させていた。今は本人も燃えている。自転車に乗って筋肉をつけて、体重が5kgくらい増えた。尻の形も変わってきた。それぞれが自覚を持ってくれた。

出るレースとしてはまず国内と考えている。群馬の東日本ロードは、多くのチームが海外へ行ってしまうとJサイクルツアーにならない。国内のレースも盛り上げないといけない。だからまず国内をしっかりやる、そう考えている。そしてチームとしての最大の目標は全日本選手権。アジアツアーは全日本選手権への布石、そうとも考えています。

平坦主体、百かゼロかの走りをしたい
走り方では、やはり平坦主体。チームではトラックもやっている。それは自分もトラックやっていたからというのもあるが、ロードを速くするためにやっている。国内レースならば先頭走れても海外UCIレースでは違う。国内平地レースは主導権を取りたい。ボクは平坦をバリバリ踏んでいた選手なのでそういうチームにしたい。平坦でマトリックスが踏んだらどうもできない、他チームがマトリックスの後ろに付くくらいの、そういうチームにしたい。しかし上りのレースもあるので中村にそれを任せたい。ステージレースでは特に重要になる。でも、熊野や北海道くらいの山は平坦の選手でもいけるはず。この修善寺でも「丘」だから、平坦の選手が本来は速いはず。体重増やして上りも筋力でいけるようにと、言っている。

若手の澤田も大学があるけれども今回、1ヶ月一緒に練習させた。今日は先頭集団で頑張っていたようだ。うちのチームは全員で7人、育てている暇は無い。実戦で頑張ってもらう、だから全員競技。やりがいはあると思う。そして一人を勝たせるために全員が連れて行く。そうなると、ダメなときは全員ダメになる。なのでチームの実業団ランキングは高いほうでない。だけどこういう、百かゼロかの走りをしていきたい、そう考えています。

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