2010年10月9日、イタリア中部のエミリア=ロマーニャ州で第93回ジロ・デッレミリア(UCI1.HC)が開催され、最大勾配20%の激坂バトルを制したロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が連覇を達成した。

観客が詰めかけた激坂サンルーカ観客が詰めかけた激坂サンルーカ photo:Cor Vosジロ・デッレミリア(エミリア一周)は、1909年に初開催されたワンデーレース。ジロ・デ・イタリアと肩を並べる歴史あるレースで、今年で開催93回目を迎える。

レースの名物は、何と言ってもボローニャ近郊のサンルーカに至る激坂だ。2009年ジロ・デ・イタリア第14ステージにも登場したこの上りは、登坂距離2kmで平均勾配10%オーバー。最大勾配が20%を越えるこの激坂を5回駆け上がる。

サンルーカの激坂をクリアするジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ)らサンルーカの激坂をクリアするジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ)ら photo:Cor Vosレースは序盤からフットオン・セルヴェットのスタジエール(研修生)として走るラン・マルガリオ(イスラエル)ら3名がエスケープ。しかしゴールまで距離を残して吸収され、サンルーカの登坂を含む周回コースに入ると強力な先頭グループが形成された。

先頭グループに入ったのは、ブエルタ・ア・エスパーニャ覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)を始め、2日前のコッパ・サバティーニを制したリカルド・リッコ(イタリア、ヴァカンソレイユ)、そして昨年の覇者ヘーシンクら。

大会連覇を達成したロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)大会連覇を達成したロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) photo:Riccardo Scanferlaこの中からヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)とジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ)が逃げたが吸収。最後は14名の先頭グループ内での激坂バトルに持ち込まれた。

牽制しつつもハイスピードでサンルーカの激坂を駆け上がる先頭グループから真っ先に仕掛けたのはダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)。しかしマーティンはライバルたちを引き離すことが出来ない。最後の最後までライバルたちをマークし続け、ラスト200mでスプリントに持ち込んだヘーシンクが勝利した。

表彰台、左から2位ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)、優勝ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、3位ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)表彰台、左から2位ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)、優勝ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、3位ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) photo:Riccardo Scanferla昨年もサンルーカを最速で駆け上がったヘーシンクは大会連覇を達成。ヘーシンクはラボバンクの公式サイトの中で「こんなハイカテゴリーのレースでゼッケンNo.1を付けて走ったのは初めての経験。連覇はそう頻繁に起こることじゃない。今年は世界選手権のメンバーに選ばれなかったので、イタリアでトレーニングを続けていた。その結果を出せて本当に嬉しい。大きな満足感に包まれている」と語っている。

ジャパンカップに来日予定のマーティンが惜しくも2位。終始サンルーカでライバルたちをリードする走りを見せ、シーズン終盤にかけて調子を上げていることを見せつけた。3位にはミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)が入っている。

レース展開はガゼッタ紙、選手コメントはラボバンク公式サイトより。


ジロ・デッレミリア2010
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)           4h49'14"
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)   +01"
3位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)    +09"
4位 アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)          +11"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)          +13"
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)  +16"
7位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)         +24"
8位 シャビエル・トンド(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)       +40"
9位 リカルド・リッコ(イタリア、ヴァカンソレイユ)            +50"
10位 パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ISD・ネーリ)          +54"

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Riccardo Scanferla