10月2日、ロード世界選手権2010エリート女子ロードレースが行われ、スプリントを制したジォルジョ・ブロンジーニ(イタリア)が世界チャンピオンに輝いた。イタリアの勝利は2年連続。日本から参加の萩原は38位で完走している。

新旧日本チャンピオン、萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)と沖美穂新旧日本チャンピオン、萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)と沖美穂 photo:Kei Tsuji世界35カ国から123名の選手が集ったエリート女子ロードレース。ゼッケン1をつけるのは昨年の覇者タティアナ・グデルツォ(イタリア)で、イタリアは総勢8名で連覇目指しオーストラリアにやってきた。

対するは2006年の世界チャンピオンマリアンヌ・フォス(オランダ)。世界選手権では2007年から3年連続で2位に甘んじ続けている。再びアルカンシェルを着るために、オランダも8人態勢でレースに臨む。

日本からはロード&タイムトライアルのチャンピオン、萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)が出場した。

単独逃げを試みるキャサリン・キュリマティス(アメリカ)単独逃げを試みるキャサリン・キュリマティス(アメリカ) photo:Kei Tsuji127.2kmのレースが本格化したのは、15.9kmを8周するレースのちょうど半分、4周目。キャサリン・キュリマティス(アメリカ)のアタックが決まると、レースは緊張感を帯び始める。萩原は5周目の登りで集団のスピードについていけず脱落してしまう。

6周目に入る頃には3分近い差を稼ぎ出したキュリマティスだが、そこからは集団がペースアップ。するとその差はみるみる縮まり、7周目にキュリマティスは集団に吸収された。集団はすでに40人ほどまで人数を減らすサバイバルレースに。

ひとつになった集団から動いた有力選手はタイムトライアルの世界チャンピオンに輝いたばかりのエマ・プーリー(イギリス)。このアタックにはディフェンディングチャンピオンのグデルツォが反応。フォスもすかさずこの動きに同調する。

7周目の「クイーンズパーク・ロード」でノエミ・カンテーレ(イタリア)がアタック7周目の「クイーンズパーク・ロード」でノエミ・カンテーレ(イタリア)がアタック photo:Kei Tsujiカンテーレのアタックに落ち着いて反応するエマ・プーリー(イギリス)カンテーレのアタックに落ち着いて反応するエマ・プーリー(イギリス) photo:Kei Tsuji


最終周回に入り、変わらずふるい落としの展開が繰り広げられる中、北京五輪金メダリストのニコル・クック(イギリス)のアタックでレースは最終局面を迎える。クックに一人加わったのはドイツのユーディト・アルント。10秒ほど遅れて有力選手ぞろいの追走グループ。レースは残り3km。

2人は粘り強く逃げ、最終コーナーへ。追走グループからはフォスが懸命のスプリント開始。残り150mで辛くもクックとアルントを捕まえるものの、フォスは伸びない。終始人数を揃えていたイタリアチームから、ジォルジョ・ブロンジーニ(イタリア)がタイミングを見計らいスプリントを開始。

何度もガッツポーズを繰り返すジォルジァ・ブロンジーニ(イタリア)何度もガッツポーズを繰り返すジォルジァ・ブロンジーニ(イタリア) photo:Kei Tsuji

伸びるブロンジーニは、エマ・ヨハンソン(スウェーデン)の追撃も振り切り、歓喜の世界タイトル獲得。イタリアチームは昨年に続く連覇を達成した。2位にはフォス、3位にヨハンソンが入った。フォスは4年連続世界選手権2位となった。

中盤で遅れた萩原は粘り、7分40秒遅れの38位で完走している。

ジォルジァ・ブロンジーニ(イタリア)
「待つレースをしたけれど、メイン集団に位置し続けるのが私にはとても厳しいものだった。調子は良かったけれど、このコースで力を発揮できるかは自信が無かったの。レースが厳しさを増していく中で、チームのために働こうと思ったわ。必死で走って最終周回に入った時、私にチャンスが回ってきたと思ったわ。ノエミ(・カンターレ)やタティアナ(・グデルツォ)にアタックするよう言ったの。もしそれが無理なら、スプリントで私のために仕事をしてほしいと。マリアンヌ(・フォス)の後ろにつけたとき、彼女を追い抜かせるかもしれないと思ったの。」

表彰台、左から2位マリアンヌ・フォス(オランダ)、優勝ジォルジァ・ブロンジーニ(イタリア)、3位エマ・ヨハンソン(スウェーデン)表彰台、左から2位マリアンヌ・フォス(オランダ)、優勝ジォルジァ・ブロンジーニ(イタリア)、3位エマ・ヨハンソン(スウェーデン) photo:Riccardo Scanferla優勝したジォルジァ・ブロンジーニを抱き上げるイタリアチーム優勝したジォルジァ・ブロンジーニを抱き上げるイタリアチーム photo:Riccardo Scanferla


ロード世界選手権2010エリート女子ロードレース結果
1位 ジォルジァ・ブロンジーニ(イタリア)    3h32'01"
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ)
3位 エマ・ヨハンソン(スウェーデン)
4位 ニコール・クック(イギリス)
5位 ユーディト・アルント(ドイツ)         +01"
6位 グレース・フェルベッカ(ベルギー)       +03"
7位 トリキシ・ヴォラック(ドイツ)
8位 ラサ・レレヴィテ(リトアニア)
9位 エリザベス・アーミステッド(イギリス)
10位 カルラ・スワート(南アフリカ)
38位 萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)+7'40"


text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji,Riccardo Scanferla
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