サンルーカを5度登る、最大勾配20.6%の難坂で知られるジロ・デッレミリア。ジョーゲンソンらのアシストを受けたダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク)が下りでアタックを成功させ、キャリア最大の勝利を手に入れた。



車輪の花道を通るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos

熱戦が繰り広げられたロード世界選手権が幕を閉じ、シーズンオフを前に秋のクラシックレースが始まった。10月10日に行なわれるイル・ロンバルディアを頂点とする戦いは、ジロ・デッレミリア(UCI1.Pro)で開幕。明治42年(1909年)に初開催され、今年で109回目を迎えた伝統の一戦のコースは、中盤に3つの山岳を越え、登坂距離2km、平均勾配10%、最大勾配20.6%の「サンルーカ」を含む周回コースを5周するレイアウトだ。

正式にヨーロッパ選手権の不参加が発表された2024年覇者タデイ・ポガチャル(スロベニア)はもちろん、UAEチームエミレーツXRGは前年の優勝者であるイサーク・デルトロ(メキシコ)も不出場だった。その代わり、ロード世界選手権男子エリートロードレースで劇的な独走勝利を飾ったブランドン・マクナルティ(アメリカ)がレースで初めてアルカンシエルを披露し、チーム3連覇を狙うべくゼッケン1をつけた。またナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)にとってこれが現役ラストレースとなった。

手に入れたばかりのアルカンシエルを纏い、出場したブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

1度目のサンルーカを登るプロトン photo:CorVos

逃げを目指す激しいアタック合戦が巻き起こった末、8名による逃げ集団が形成された。その中にリドル・トレックはアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア)を送り、新城幸也が所属するソリューションテックNIPPOラーリは2名を乗せることに成功。しかしメイン集団は、逃げに対し3分以上のリードを許さないタイトなペースコントロールを見せた。

周回コースに入るとその差はさらに縮み、サンルーカを越えて6名に減った逃げグループが1度目のフィニッシュラインを通過する。2度目のサンルーカで先頭集団は3名まで減り、その後逃げは吸収された。4度目のサンルーカでは20名程度に絞られた精鋭集団をアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)が先導し、そこからマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)が仕掛けた。

残り10.5km地点からのアタックにイェーツが差を縮めると、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)とオスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)がジョーゲンソンに合流する。フィニッシュ地点を通過し、アルカンシエルのマクナルティらが18秒差で追いかける先頭集団には、トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)も合流。しかし直後にジョーゲンソンが2度目のアタックを仕掛けた。

精鋭集団から飛び出したマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

追走するトーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング) photo:CorVos

ロード世界選手権では独走するマクナルティを追う集団で、ライバルたちのアタックを潰した影のMVPであるジョーゲンソンによるアタック。ここでもヒーリーたちを振り切ることはできなかったが、チームメイトであるダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア)が合流し、先頭集団はヴィスマ・リースアバイクが2名を入れる有利な展開に持ち込む。追走のマクナルティ・グループとのタイム差が30秒以上に広がるなか、残り4.7km地点の下りで、今度はピガンゾーリが飛び出した。

今年ポルティ・ヴィジットマルタから加入し、ツール・ド・フランスのメンバーに選ばれたピガンゾーリは、単独で最後のサンルーカに突入する。後方ではジョーゲンソンがロード世界選手権と同じく、ライバルたちの動きをチェック。9月のツール・ド・ルクセンブルク(UCI2.Pro)では個人タイムトライアルでステージ優勝したピガンゾーリが、得意の独走でサンルーカを駆け上がる。一方、追走集団のスピードは上がらず、後方からスプリント力のあるベン・トゥレット(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)ら3名も合流。ますますヴィスマ・リースアバイクにとって好ましい状況となった。

ジョーゲンソンらを引き離し、加速したピドコックとオンリーによる追走も届かず、ピガンゾーリが先頭のままフィニッシュラインを通過。ツール・ド・ルクセンブルクでのステージ優勝に並ぶ、キャリアハイの勝利を手に入れた。

下りで飛び出し、単独でサンルーカに入ったダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

独走を決めたダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

「アタックするタイミングが良かった。それが結果につながった」とレースを振り返ったピガンゾーリ。「チームには複数の選択肢があったし、全員で完璧にレースを進められた。終盤の数kmは調子が良かったので、全力で勝負することにした。チームメイトを良い位置に置く狙いもあった。後方にはスプリントの強いベンも残っていた。最後は自分で勝ち切ることができたが、これはチーム全員の勝利だ」と喜びを語った。

ロード世界選手権のように間接的なアシストで勝利に貢献したジョーゲンソンは5位、初のアルカンシエルでのレースとなったマクナルティは10位でレースを終えている。

イル・ロンバルディアに向けて弾みをつけたダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
ジロ・デッレミリア2026結果
1位 ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) 4:33:19
2位 トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング) +0:02
3位 オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)
4位 ベン・トゥレット(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) +0:05
5位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:12
6位 ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:22
7位 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) +0:29
8位 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG) +0:37
9位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) +0:45
10位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos