家族が見守る前で今大会3勝目を挙げたティム・メルリールは、「その日に勝つのは簡単ではない」と喜びを語った。敗れながらも「脚の状態は良かった」と言うフィリプセンや、落車したガビリアについて語るオルダーニなどの言葉を紹介する。



ステージ優勝 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

今大会3勝目をマークしたティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が息子と一緒に表彰台に photo:A.S.O.

レース直後インタビュー

今日、応援に来てくれた家族の存在が、勝利への大きなモチベーションになった。(隣にいる)息子はまだ小さいが、この勝利は覚えていてくれると思うし、あとで映像を見せることもできる。家族のために勝つことができて、本当に特別だ。家族が見に来てくれたその日に勝つのは、決して簡単なことではない。

発射台を務めたヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)と勝利を喜ぶティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

無線に問題があり、チームメイトが状況を伝えに来なければならなかった。そのため、27人ほどの集団が抜け出していたことにも気づかなかった。最後の登りでは苦しんだが、なんとか耐えることができた。

その後、ヤスペル・ストゥイヴェンがスローパンクに見舞われた。本人はリードアウトを務められるか不安そうだったが、落ち着くように伝えた。今日は互いに良いコミュニケーションを取ることができたし、彼も僕の調子が良いことを分かっていた。

昨日は動いた選手たちに意識を向けすぎて、囲まれてしまった。だから今日は、彼らより前に位置することを心掛けた。わずかなスペースを見つけ、いったん冷静になってから踏み込んだ。事前のミーティングで、自分向きのフィニッシュだと分かっていた。

息子を連れて優勝者インタビューに臨んだメルリール photo:A.S.O.

記者会見

昨日のスプリントがあったからこそ、今日は高いモチベーションで臨むことができた。昨日のミスから学び、それを勝利につなげられた。

─フィニッシュ直後に手首の内側へキスをした理由は何か?

手首には息子ジュルの頭文字が刻まれているんだ。その直後に息子と会うことができ、本当に素晴らしい瞬間だった。

ポガチャルがメルリール息子ジュル君にサイン photo:A.S.O.

─スプリントステージを終えたいま、残りのステージをどう考えているか?

(タイムアウトにならないよう)生き残ることかな(笑)。

マイヨヴェールに向けてトライしたい気持ちはあるが、これから厳しい山岳ステージが待ち受けている。だから、もう現実的な目標ではない。出場している選手は皆、パリまで走り切りたいと思っている。グルペットについていける脚があればいいのだが、昨年の最終週にとても苦しんだことを覚えている。ただ、ガーミンウォッチによれば、今年は昨年よりも回復状態が良いようだ。

この先、もう一度勝利を狙うのは難しいと思う。第17ステージはチャンスになり得るが、3週目は厳しいステージが続くため、逃げ切りになる可能性が高い。集団スプリントになる可能性もあるが、他のチームはその前に僕を振り落とそうとするだろう。

ステージ3位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)

映像を見返したが、チームとしては完璧な走りだった。作戦を遂行することができ、良いスプリントができた。ただ、今日は2人の選手が僕より速かった。それを受け入れるしかない。

脚の状態には満足している。ここ数日は調子が良く、今日も感触は良かった。その状態で負けたのなら、仕方がない。パリまでスプリントのチャンスは少なく、まだ先は長い。それでも家のソファーで観戦するより、ツールを走っている方がいい。パリまでの走りを楽しみたい。

左鎖骨を骨折したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、カハルラル・セグロスRGA)について語るステファノ・オルダーニ(イタリア)

鎖骨骨折を負ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、カハルラル・セグロスRGA) photo:CorVos

フェルナンド(ガビリア)が落車した場所からチームバスに戻るまで、ずっと話をしていた。正直、かなりつらそうだった。非常に強く地面に打ちつけられ、鎖骨が痛いと何度も訴えていた。

フィニッシュまで残り1kmほどの地点で、僕は彼の前を離れた。集団前方は大混乱で、いろいろなチームの選手が入り交じっていた。そんな中、僕はできる限り前方まで彼を連れていこうとした。

彼の前を離れて後方へ下がった直後、ロットの選手2人と一緒に、フェルナンドが路上に倒れているのが見えた。そこで、かなり強く打ったのだと分かった。

マイヨジョーヌ&マイヨアポワ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

パレード区間をこなすタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

明日の第13ステージは奇妙なステージだ。非常に距離が長く、終盤には2つのカテゴリー山岳があり、その後は下り基調でフィニッシュへ向かう。チームにとって厳しいレースになるだろう。

だが、それよりも土曜(第14ステージ)と日曜(第15ステージ)が、総合勢にとっては山場となる。だから明日は、できる限り無事に乗り切り、週末に向けて力を温存する日になると思う。

3回目の敢闘賞を獲得したバティスト・ヴェストロフール(フランス、ロット・アンテルマルシェ)

単独逃げるバティスト・ヴェストロフール(フランス、ロット・アンテルマルシェ) photo:A.S.O.

3度目の敢闘賞を獲得したバティスト・ヴェストロフール(フランス、ロット・アンテルマルシェ) photo:A.S.O.

残念ながら思い描いていたようにはいかなかった。今日は逃げ切ってステージ優勝を狙っていたのでソロで走るつもりは全くなかったんだ。でも、やってみなければ分からない。もう少し粘り強く戦えたらよかったと思うけれど、スプリンターチームというのはそういうものだ。彼らはそれぞれの役割を果たしているし、僕は全力を尽くすという仕事をやり遂げた。残念ながら逃げ切りには十分ではなかったが、いつか報われることを願っているよ。

今回も、美しいフランスの田園地帯や村々を走るのは本当に楽しかった。沿道で私のことを知ってくれるファンがどんどん増えてきて、それがさらにモチベーションを高めてくれるんだ。ツール・ド・フランスの魔法は素晴らしいよ。


text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O., CorVos