ヴィンゲゴーが「最も過酷な山岳ステージ」と語ったツール第14ステージで、逃げ切り勝利したテイメン・アレンスマン。マイヨジョーヌのリードを拡大したポガチャルや、無念のリタイアとなったエヴェネプールなど、選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝 テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)

最後から2つ目の2級山岳で単独先頭に立ったテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) photo:A.S.O.

世界最大のレースであるツール・ド・フランスを走ってみたかった。初出場でステージ優勝できたなんて信じられないよ。

ジロ・デ・イタリアの後に体調を崩したものの、ここに向けて良い準備ができた。厳しかった1週目は我慢強くやり過ごし、山岳ステージを待った。モン・ドール(第10ステージ)で最初のチャンスがやってきて、ステージ2位に入った。素晴らしい結果だったので、(それを上回る)今日の結果は信じられない。

今日の勝ち方はもちろん、同じ逃げ集団にいたカルロス(ロドリゲス)の走りも素晴らしかった。彼は強く、また僕の良いアシストになってくれた。今日は信じられないほど脚の調子が良く、キャリア最高のコンディションだった。

37kmの独走を決め、ステージ優勝を飾ったテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

(最後から2つ目の)ペイラスルド峠で総合上位の選手たちがいるグループとのタイム差を聴き、3〜3分半じゃ不十分だと思った。だからこそ動かなきゃと思った。無謀な加速だったのかもしれないが、もしかしたら勝利に繋がるかもと。そのまま逃げ切れたなんて信じられないよ。

最後の登りの後半では、完全に力が尽きかけていた。だけど沿道の声援が僕に数ワットの力を与えてくれた。そのおかげで逃げ切れたんだ。本当に信じられない勝利だ。

ステージ2位&マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

霧の中を下るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

アレンスマンは素晴らしい走りを見せた。強力な逃げ集団の中でも、彼が最も強かった。でも僕らも上手く立ち回り、無駄なミスもなかった。良いレース運びができたと思う。

2時間半を全力で走り、トゥールマレーの頂上にたどり着いた時「これで下りは楽に走れるし、少し回復できる」と思ったけど、実際には山頂に濃い霧が立ちこめていて、視界も悪く路面もスリッピーだった。身体が少し疲れた状態であっても、下りでは集中力が必要になる。約20m先しか見えないなか、僕らは慎重に下ったよ。

表彰式の前にポガチャルをセルフィーを撮るテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) photo:A.S.O.

レムコ(エヴェネプール)に何があったのかは知らないが、今朝起きた時に体調が悪かったのだろう。自転車レースでは朝起きた時の体調次第で、ツールや現役が終わってしまうこともある。彼が総合表彰台に上がれたかもしれないので、とても悲しいよ。彼の幸運と、早く回復して戻って来ることを願っている。でもこれ以上強くなって帰ってきてはほしくないけどね(笑)。

ステージ3位&総合2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)

最終山岳でアタックしたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

前日と同様、今日のコンディションに満足している。今日はいままで一番過酷な山岳ステージだった。そんな中で自分でも満足する走りができた。チームとしての目標は逃げでのステージ優勝だったが、素晴らしい走りを見せたアレンスマンには敵わなかった。

タデイが最終山岳で仕掛けることは予想しており、最後から2つ目の山岳でペースを上げたので、ステージ優勝を狙っているだろうと思った。なかなか仕掛けなかったので逆に僕からアタックした。

ステージ5位&総合3位&マイヨブラン(ヤングライダー賞) フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨブラン(ヤングライダー賞ジャージ)を獲得したフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:A.S.O.

まさか自分が総合表彰台を賭けて争い、(マイヨブランを着用して)表彰台に上がっているなんて思ってもいなかった。調子は良かったが、既に夢が叶ったよう。良いコンディションにはあるが、僕らのエースはあくまでもプリモシュ(ログリッチ)だ。今後の戦略はこれから話し合わなければならない。昨日もプリモシュは良い走りを見せ、3週目の活躍を信じている。またエヴェネプールのリタイアは本当に残念だ。

途中棄権したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

リタイアしたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

ツールに向けて万全の準備ができていたわけではないが、自分なりにできる限りのことはして、最大限ベストなコンディションに持っていこうとした。でも残念ながら、ツールで総合争いをするのに必要な110%の状態には届かなかった。

ここ3日間ずっと調子が悪く、今朝は身体のエネルギーが空っぽなのを感じていた。そして登りでは、脚がまったく反応してくれなかった。リタイアしなければならず本当に残念だけど、このリタイアによって、このレースに対する想いが変わることはない。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.