復活勝利の直後、珍しく感情を爆発させたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)。対照的に冷静にマリアローザ着用の喜びを語ったデルトロや総合タイムを失ったログリッチなど、ジロ9日目を終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

デルトロを交わし、復活勝利を挙げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

レース直後インタビュー

「この勝利が意味するものは大きい」と言うのは簡単だ。だけどその言葉がどれほど真実であるかは説明もできないくらい。ここでの勝利が欲しかった。なぜなら2018年のストラーデビアンケが、初めてトップレベルの戦いを実感したレースだから。長らく勝てない時期が続き、再び掴んだこの勝利はとても気持ちがいいよ。

彼(デルトロ)の走りは素晴らしかった。ただサイモン・イェーツの総合でのライバルでもあるので、あまり先頭交代はしなかった。彼の方が前を引く時間が長かったのにもかかわらず、(フィニッシュ地点の待つ)シエナまで勝負が長引いてしまった。僕はコースを熟知しているため、最終コーナーで先頭に立つ必要があることを知っていた。だが疲れもあり、あまり良い最終コーナーへの突入とはならなかった。

記者会見でのコメント

スタッフに抱きつき、勝利を喜ぶファンアールト photo:RCS Sport

―フィニッシュ直後、いつもより喜びを爆発させているように見えた。

僕は元々感情の豊かな人間なんだ(笑)。勝利した瞬間、様々な思いが頭を駆け巡った。あの広場は世界で最も理想的なフィニッシュ地点だ。観客がとても近くに感じられ、声援を浴びることができる。それらも合わさり、エモーショナルな気持ちになった。

個人的にはジロでステージ優勝することが目標だった。マリアローザを着用するという目標もあり、初日でそれに迫ることができた。だがその後は苦しむステージが続き、それもありこの勝利の価値が大きくなった。またチームとしてもこの勝利がブーストとなればいいと思っている。

表彰台でチームメイトと勝利の喜びを分かち合うファンアールト photo:RCS Sport

今日は調子が良かったものの、過去のトップコンディションほどではない。だから自分で仕掛けるようなレースはできず、勝つには逃げるしかないと思っていた。そこに乗れなかったものの、Q36.5がハイペースでプロトンを牽引し、第2セクターから勝利のチャンスがまた戻ってきた。

ステージ2位&マリアローザ イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)

先頭でサンタ・カテリナ通りを駆け上がるイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

自信がなかったわけではないが、この結果は予想外だ。サイモン(イェーツ)が後ろに控えていたので(ファンアールトが協力的でない)理由は分かっていた。だから文句は全くないよ。最後の登りで彼を引き離そうとアタックしたのだが、できなかった。力を尽くしたので後悔はない。

次のタイムトライアルでマリアローザを守れるかどうかは分からない。(28.6kmは)過去最長のTTとなる。新しい体験だからどうなるか見てみよう。

メキシコ人として初めてマリアローザに袖を通したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

正直、信じられないし、いまの気持ちを上手く言葉にできない。子どもの時に夢見たことが現実となった。まだこれが現実だと信じられないよ。チームにはアダム(イェーツ)とアユソという3週間の戦いを知っている選手がいる。確かに僕が最も良い順位にいるが、この結果から僕が総合エースになったわけではない。

ステージ3位&総合5位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)

今日はチームとして警戒していた、何が起こるか分からないグラベルステージ。マッズ(ピーダスン)の牽引のおかげで、作戦通り最初のグラベルセクターに先頭で入ることができた。そこからフィニッシュまでは、ジロで最も厳しいレースの1つとなるほど厳しかった。次は個人的に最も厳しい戦いになるであろう、長い距離の個人TT。現時点で脚の調子は良いので、集中して走りたい。

ステージ9位&総合7位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

先頭に3名を入れたイネオス・グレナディアーズ photo:RCS Sport

今日のレースプランは単純明快なものだった。最初の未舗装路区間で先頭集団に入り、そこからはフルガスで攻め続ける。ひたすらセクターからセクターへと先頭をキープすることだった。良い順位でフィニッシュできたものの、それまでに力を使ってしまったため、最終番で先頭集団に食らいつく脚がなかった。

ステージ19位&総合10位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

落車とパンクで総合タイムを失ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

フィニッシュまでたどり着くことができて良かったよ。前にいた集団のペースは速く、自分の調子も最高ではなかった。これが最後にどういう結果に繋がるか見てみよう。タイムを失っても総合優勝できる時もある。まだ先は長い。傷の具合を確かめ、次なるステージのアプローチ方法を探るだけだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport