平均勾配8%のノッツ・ヒルが初登場したサントス・ツアー・ダウンアンダー第3ステージでハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)が独走。後続に5秒差をつけ、ワールドツアーでプロ初勝利を飾った。



25周年を迎えたサントス・ツアー・ダウンアンダーは第3ステージ photo:CorVos

サントス・ツアー・ダウンアンダー2025第3ステージ image:Tour Down Under

サントス・ツアー・ダウンアンダーは3日目にして、ようやく総合優勝争いが動き出す。大会25周年を記念した新たな挑戦としてノッツ・ヒル(距離2.6km/平均8%)が初登場。距離147.5kmのレースは後半、このノッツ・ヒルを2度登坂するコースとなった。

最終山岳の頂上がフィニッシュ手前5.6kmで、登坂距離も短いためクライマーよりも短い距離の爆発力に長けたパンチャーに有利なレイアウト。気温17度と前日よりも更に過ごしやすい気候のなか、スタート直後にコナー・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が集団を飛び出す。遅れて山岳賞ジャージを着るファーガス・ブラウニング(オーストラリアナショナルチーム)が合流し、3日連続の逃げを決めた。

3日連続で逃げを決めたファーガス・ブラウニング(オーストラリアナショナルチーム) photo:CorVos

最初のカテゴリー山岳をブラウニングが先頭通過し、スウィフトはメイン集団に戻っていく。入れ替わるように今度はジョフレ・ブシャール(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)が飛び出し、レース先頭は再び2名に。プロトンは白地に黒という似通ったジャージのレッドブル・ボーラ・ハンスグローエとUAEチームエミレーツXRGが先導した。

逃げの2分13秒後方を行くプロトンは残り60km地点の補給ゾーンで落車が発生する。昨年の総合優勝者であるスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)が巻き込まれ、左肘と左膝に擦過傷を負う。大きな怪我なく集団復帰を果たしたものの、このステージはトップから25秒遅れの28位と総合タイムを失った。

1度目のノッツ・ヒルではリーダージャージを着るサム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がメイン集団から脱落。その時点で1分だった逃げとの差は残り25km地点でゼロになり、レースは振り出しに戻る。留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)が集団先頭でチームメイトを牽引するシーンもありながら、2度目にして最後のノッツ・ヒルを目指した。

レッドブルとUAEがプロトン先頭でペースを作る photo:CorVos

ウェルスフォードのリードアウト役を務めるダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が先頭でノッツ・ヒルに突入。その後ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)が前に出ると、一時牽制に入る集団からミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)がレミ・ロシャ(フランス、グルパマFDJ)と共に飛び出す。その後も集団先頭は入れ替わり、人数も徐々に絞られていった。

頂上の手前200mでロシャが駆け、失敗に終わると今度はハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)が飛び出した。集団はこの動きを見送ったためロモはノッツ・ヒルの頂上を先頭で通過。ハイペースでリードを保ったロモはフィニッシュに到着し、後続を5秒差で振り切ってプロ初勝利を飾った。

独走でプロ初勝利を手に入れたハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) photo:CorVos

抜群のタイミングで飛び出し、4.8kmの独走勝利を飾った26歳のロモ。ジュニア時代はスペイン選手権で優勝するトライアスロン選手として活躍したのち、2020年に自転車競技に転向。同年にロードのスペイン選手権U23の王者に輝くと、アスタナを経て2024年よりモビスターに移籍した。

「とても嬉しいし、今朝まさか自分が勝つなんて思いもしなかった。だが昨年9月からこのレースに向けて準備していたんだ。チームは僕を信頼してくれ、サポートしてくれた。今日は位置取りが重要で、脚の調子もよくすべてが完璧だった」と、ロモはワールドツアーで掴んだ金星を喜んだ。

総合でも首位に立ったハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) photo:Santos Tour Down Under

2位を争うスプリントはジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)が制し、3位はフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が入っている。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2025第3ステージ
1位 ハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) 3:46:01
2位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) +0:05
3位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
4位 アルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)
5位 トーマス・グローグ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)
6位 パトリック・コンラッド(オーストリア、リドル・トレック)
7位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック)
8位 バスティアン・トロンション(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)
9位 レミ・ロシャ(フランス、グルパマFDJ)
10位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)
個人総合成績
1位 ハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) 10:13:51
2位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) +0:08
3位 パトリック・コンラッド(オーストリア、リドル・トレック) +0:10
4位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
5位 バスティアン・トロンション(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:12
6位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +0:15
7位 アルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)
8位 ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)
9位 クリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
10位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック)
その他の特別賞
ポイント賞 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
山岳賞 ファーガス・ブラウニング(オーストラリアナショナルチーム)
ヤングライダー賞 アルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)
チーム総合成績 リドル・トレック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos