ロード世界選手権の女子ジュニアロードレースは、雨のサバイバルな展開から3名によるスプリントで決着。2日前の個人TTを優勝したキャット・ファーガソン(イギリス)が、同カテゴリー2枚目となるアルカンシエルを獲得した。



ミーガン・アーレンツなど5名で臨んだオランダ photo:CorVos

スイス・チューリッヒえ開催中の2024年ロード世界選手権は、9月26日(木)に女子ジュニアのロードレースが行われた。コースはグライフェン湖とチューリッヒ湖を望む2つの周回コースを巡る73.6km。途中2つの丘を越えるため、獲得標高差972mのレースに120名の選手たちが臨んだ。

この日の天候は雨。気温も14度と低いバッドコンディションのなか、スタートから16kmで5名の逃げ集団が形成される。イギリスやフランス、ポーランドが1名づつを送り、イタリアはエレオノーラ・ラベラとシルヴィア・メレシーを送った。

しかしこの逃げグループは長くリードを保つことはできず、残り46km地点でメイン集団に吸収される。オランダが作るペースに集団の人数は絞られ、緩斜面の登りでは落車が発生するシーンも。その結果、先頭は個人タイムトライアルで優勝したキャット・ファーガソン(イギリス)を含む8名に絞られた。

アタックが繰り返されたレースは先頭の7名に絞られる photo:CorVos

順調にローテーションを回す先頭集団では、残り39km地点の下りでファーガソンが仕掛ける。しかし後続を引き離すことはできず、一度落ち着いたペースにファーガソンのチームメイトであるイモーガン・ウォルフ(イギリス)がジョイン。そのウォルフは集団で脚を回復させた後、ライバルにダメージを与えるべく残り22kmにアタックした。

この動きは決まらず、そのカウンターでミーガン・アーレンツ(オランダ)が仕掛ける。その後も先頭集団ではアタックが繰り広げられ、残り20kmでファーガソンを含む3名に絞られた。

残り20kmで先頭はキャット・ファーガソン(イギリス)ら3名に photo:UCI

2日前に制した個人TTとの2冠を目指すファーガソンと共に、先頭集団を形成したのは同じモビスターに2025年から加入するパウラ・オスティス(スペイン)。また来年ヴィスマ・リースアバイクでのプロデビューが決まっているヴィクトリア・クラドノワ(スロバキア)も食らいつき、3名は牽制しながら最終ストレートに突入。強い雨が選手たちに降り続く中、残り100mでオスティスが先にスプリントを始めた。

その動きにファーガソンが反応し、クラドノワも踏み込む。しかしスプリントの伸びはファーガソンが上回り、イギリス出身の18歳が人差し指を天に突き上げフィニッシュした。

スプリントで後続を引き離すキャット・ファーガソン(イギリス) photo:UCI

昨年2位の悔しさを晴らし、個人TTとの2冠を達成したキャット・ファーガソン(イギリス) photo:UCI

「天にも昇る気持ち。昨年2位だった悔しさもあり、どうしてもロードレースでの優勝が欲しかった。金メダルを獲得できたなんて本当に素晴らしい。私はTTバイクが好きで、ロードは異なるレース。信じられないほど嬉しかった火曜(個人TT)よりも嬉しい」と、個人TTとの2冠を達成したファーガソンは喜んだ。

ファーガソンは今年2月に行われたシクロクロス世界選手権で、女子ジュニアのカテゴリーで2位と迫った18歳。またトラック競技の世界選手権では今年チームパシュートとオムニアムでそれぞれジュニア世界王者に輝くなど、3つの競技で活躍する将来を嘱望された選手だ。また今年8月からトレーニー(研修生)としてモビスターで走っており、同チームとは2027年までの契約を結んでいる。

ロード世界選手権2024 女子ジュニアロードレース表彰台:2位パウラ・オスティス(スペイン)、1位キャット・ファーガソン(イギリス)、3位 ヴィクトリア・クラドノワ(スロバキア) photo:UCI

2位を争うスプリントではクラドノワを退けたオスティスが先着。また中盤からレースを作ったアーレンツは9秒差の4位と悔しい結果に終わっている。
ロード世界選手権2024 女子ジュニアロードレース結果
1位 キャット・ファーガソン(イギリス) 1:54:48
2位 パウラ・オスティス(スペイン)
3位 ヴィクトリア・クラドノワ(スロバキア)
4位 ミーガン・アーレンツ(オランダ) +0:09
5位 セリア・ジェリー(フランス) +0:53
6位 イモーガン・ウォルフ(イギリス) +1:26
7位 カミラ・アーセボ(ノルウェー)
8位 アマンディーヌ・ミュラー(フランス)
9位 ララ・リーナー(スイス)
10位 ルーシー・ミンス(アイルランド)
text:Sotaro.Arakawa
photo:UCI, CorVos