過酷な展開となったツアー・オブ・ブリテン2日目。小集団スプリントでアラフィリップを下したスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)が総合首位に躍進している。



アタック合戦の末にアラフィリップとエヴェネプールを含む精鋭グループが抜け出す photo:CorVos

ツアー・オブ・ブリテン(UCI2.Pro)第2ステージの舞台は、イングランド北部のダーリントンからヨークシャー海岸の街レッドカーを目指す152.1km。ノースヨークムーア国立公園の山岳区間を走り、コースは前日に続いてアップダウンの連続。この日もレムコ・エヴェネプール(ベルギー)とジュリアン・アラフィリップ(フランス)、総合首位ポール・マニエ(フランス)擁するスーダル・クイックステップが集団コントロールを担った。

レースが半分を消化したタイミングでメイン集団からアタックが生まれた。エヴェネプールとアラフィリップも加わり、スティーブン・ウィリアムズ(イギリス)を含むイスラエル勢とともに集団をシャッフルし、精鋭グループを作って先行。激しいアタックの応酬が繰り返される中、母国レースで結果を残したいイネオス・グレナディアーズはメンバーを送り込むことができなかった。

トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)は動きに乗り遅れる。追走したものの届かなかった photo:CorVos

残り10km地点で飛び出したウィリアムズとオンリー、アラフィリップ photo:CorVos

フィニッシュまで47kmを残して逃げグループを捕まえ、ダブル五輪王者のエヴェネプールが高速巡行を開始した。さらに人数が絞り込まれた状態で海を望むアップダウン区間に入り、残り10km地点でスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)がアタック。この動きに乗ったのがアラフィリップと故郷ケルソーで開幕を迎えたオスカー・オンリー(dsmフェルミニッヒ・ポストNL)だった。

ウィリアムズとオンリーが牽引し「エヴェネプールを待つ」大義名分を背負ったアラフィリップはツキ位置固定。逃げ切りを決めた3人が最終ストレートに入り、脚を貯めたアラフィリップが残り200m地点で加速してスプリントが始まる。しかし、アラフィリップの動きを見ていたウィリアムズは流し先行から元世界王者を封じ込め、そのまま先頭を譲らずガッツポーズ。総合成績首位浮上を叶えるステージ優勝を掴み取った。

3名のスプリント勝負を制したスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos

「3回目のブリテン参戦だけど、勝つのは初めてだよ。めったに母国イギリスでレースを走ることはないから本当に意味のある結果。残り70km地点からはずっとテクニカルだったので、常に動きを見逃さず先頭を維持することが大切だった。みんなのアシストのおかげでいいポジショニングができたんだ」とウィリアムズ。「ステージ4位になった(ジョー)ブラックモアの働きは素晴らしかった。小集団スプリントに持ち込めばチャンスがあると感じていたので、彼がその状況を作り出してくれた。今は総合首位になったけれど、気を抜かずに日々戦っていきたい」と加えている。
ツアー・オブ・ブリテン2024第2ステージ結果
1位 スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック) 3:37:25
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)
3位 オスカー・オンリー(dsmフェルミニッヒ・ポストNL)
4位 ジョセフ・ブラックモア(イギリス、イスラエル・プレミアテック) +0:21
5位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
個人総合成績
1位 スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック) 7:49:00
2位 オスカー・オンリー(dsmフェルミニッヒ・ポストNL) +0:06
3位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) +0:16
4位 マーク・ドノヴァン(イギリス、Q36.5プロサイクリング) +0:31
5位 ジョセフ・ブラックモア(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
その他の特別賞
ポイント賞 ユリウス・ヨハンセン(デンマーク、サブガル・アニコロール)
山岳賞 カラム・ソーンリー(イギリス、トリニティレーシング)
ヤングライダー賞 オスカー・オンリー(dsmフェルミニッヒ・ポストNL)
チーム総合成績 イスラエル・プレミアテック
text:So Isobe
photo:Tour of Britain, CorVos