ティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)の勢いが止まらない。急勾配の登りスプリント争われたツール・ド・ポローニュ第6ステージで、21歳の新鋭がウリッシら強豪を退け区間3勝目を掴んだ。



第6ステージを迎えたツール・ド・ポローニュ photo:CorVos

東欧ポーランドの南部を舞台としたツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)も残すところあと2日。第6ステージの舞台は2つの1級山岳の他にも多くの丘を越える丘陵ステージで、フィニッシュ手前には登坂距離1.8km/平均勾配7.3%の坂が待ち受ける。翌日が平坦ステージのため、この日のフィニッシュ地点で総合優勝が実質的に決定する。

総合首位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)と2位ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)とのタイム差は13秒。総合10位のオスカー・オンリー(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)までも53秒差のため、この日は総合勢の動きに注目が集まった。

今年UAEからモビスターに移籍したダヴィデ・フォルモロ(イタリア)ら3名が逃げた photo:CorVos

レース序盤から逃げたのはダヴィデ・フォルモロ(モビスター)とサムエーレ・バティステッラ(アスタナ・カザクスタン)のイタリア人コンビにシルヴァン・ディリエ(スイス、アルペシン・ドゥクーニンク)が加わえた3名。それを追うメイン集団はヴィスマ・リースアバイクがタイトにコントロールしたため、その差は2分前後を推移した。

先頭の3名は1つ目の1級山岳を越え、続く急勾配の丘でティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)やトビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ)を含む4名の追走集団が合流を果たす。7名となった逃げグループは最後の1級山岳を前に30秒差まで追い詰められ、残り17km地点でアーチー・ライアン(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)がアタックした。

逃げに追いつき、終盤にアタックしたアーチー・ライアン(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

今年プロデビューを果たした22歳のライアンは1級山岳の山頂をトップ通過する。しかしヴィスマのペースアップは強烈で、人数の絞られたプロトンは残り2.3km地点でライアンをキャッチ最後の急勾配坂ではウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が先行したものの、スピードを保つことができずウリッシとティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)が抜いていく。

先頭に立ったネイスは圧巻のスピードでウリッシを突き放し、3本指を突き上げながらフィニッシュ。区間3勝目を手に入れた。

登りスプリントを制し、大会3勝目を手に入れたティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック) photo:CorVos

「まず”今日は調子が悪い”と伝えた全ての選手に謝罪したい。だが今朝話したそれは真実なんだ。今日は調子が悪く、限界まで追い込むことができないと思っていた。だが幸運にも調子が戻り、自分を信じて踏み込んだおかげで勝つことができた」と、ネイスは語っている。

トップと同タイムの区間4位でフィニッシュしたヴィンゲゴーは総合首位を守り、平坦ステージの最終日に臨む。

表彰台で笑顔を見せるティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック) photo:CorVos

ツール・ド・ポローニュ2024第6ステージ
1位 ティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック) 4:26:06
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
3位 オスカー・オンリー(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
4位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)
5位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
6位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック)
7位 オレリアン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)
8位 エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 フレデリク・ワンダール(デンマーク、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
個人総合成績
1位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) 21:22:14
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:13
3位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:20
4位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) +0:33
5位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +0:37
6位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:44
7位 エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 ヤニス・ヴォワザール(スイス、チューダー・プロサイクリング) +0:49
9位 ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツ) +0:53
その他の特別賞
ポイント賞 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
山岳賞 ミハウ・パルタ(ポーランド・ナショナルチーム)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos