ガンナが地元イタリアで単独逃げを披露したツアー・オブ・ジ・アルプス第3ステージは、雨と寒さの過酷なコンディションに。フアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック)が終盤にアタックを成功させ、プロ初勝利と共に総合首位に浮上した。



スタートを待つ総合首位のトビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ) photo:Tour of the Alps

9つのワールドチームと共にJCLチーム右京も参戦中のツアー・オブ・ジ・アルプス(UCI2.Pro)は3日目を迎えた。124.8kmと短い距離のステージは、後半に3級山岳ヴェアーベルク(距離3.2km/平均9.9%)と3級ピルベルク(距離3.2km/平均10.3%)を含むコースを2周するレイアウトだ。

レース前のチームプレゼンテーションから雨が降り、気温3度というバッドコンディションのなかレースはスタート。序盤から地元イタリア出身でジロ・デ・イタリアに出場予定のフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)が一人逃げを打ち、そのため総合首位トビアス・フォス(ノルウェー)を擁するイネオスは集団牽引の責務を免れ、代わりにDSMフィルメニッヒ・ポストNLが集団のペースを作った。

地元イタリアで一人逃げの見せ場を作ったフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ) photo:Tour of the Alps

2つの急坂を含む周回コースに入り、一度目の3級山岳ピルベルクでガンナは引き戻される。そして一度緩んだペースの集団からジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)がアタック。昨年のツール・ド・ラヴニール最終ステージで勝利を挙げた20歳には、唯一フアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック)が追従した。

ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)と共にアタックしたフアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック) photo:Tour of the Alps

先頭の2人はプロトンと20秒差を作り、それをフォスのアシストに徹しているゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が脚を使って追いかける。しかし濡れた路面の中でも先頭2名はリードを保ち、残り6km地点でロペスがペリツァーリを引き離して単独先頭に立つ。

そして大観衆の待つフィニッシュ地点に単独でやってきたロペスが、プロ初勝利を手に入れた。

プロ初勝利を掴んだフアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック) photo:Tour of the Alps

2位のペリツァーリが22秒遅れ、プロトンの先頭を獲ったフォスが38秒遅れでフィニッシュしたため、ロペスは総合首位に浮上。「プロ初勝利を掴むなんとも素晴らしい日となった。だが、それ以外の皆にとっては寒さと雨の最悪な日だっただろう。身体を冷やさないようにすることが目標だったのだが、そんなことは不可能だったのでステージ優勝に目標を切り替えたんだ」と、ロペスはレースを振り返った。

雨と寒さに加え、強い風が吹き付けた厳しいステージの中、日本人最高位は94位(18分33秒遅れ)でフィニッシュした小石祐馬(JCLチーム右京)。そして翌日は2つの1級山岳を越えるクイーンステージが待ち受ける。

フアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック)は総合リーダージャージも着用した photo:Tour of the Alps

ツアー・オブ・ジ・アルプス2024第3ステージ結果
1位 フアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック) 3:16:11
2位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) +0:22
3位 トビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ) +0:38
4位 ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
5位 オレリアン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)
個人総合成績
1位 フアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック) 11:22:34
2位 トビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ) +0:31
3位 ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) +0:45
4位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:48
5位 ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
その他の特別賞
ポイント賞 アレッサンドロ・デマルキ(チームジェイコ・アルウラー)
山岳賞 マッティア・バイス(イタリア、ポルティ・コメタ)
ヤングライダー賞 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 チームジェイコ・アルウラー
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos