2024/02/24(土) - 18:01
クラシックシーズンがいよいよベルギー2連戦で開幕。本日土曜日のオンループ・ヘットニュースブラッド、明日日曜日のクールネ~ブリュッセル~クールネをプレビューします。
2月24日(土):オンループ・ヘットニュースブラッド
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/02/26/nieuwsblad-14681.jpg.jpeg)
ミュールをはじめ、フランドルの名物登坂を駆け巡るオンループ photo:CorVos
クラシックシーズンの到来を告げるのは、これまでも、そして今年もベルギーのフランドル地方を舞台にしたオンループ・ヘットニュースブラッド。オーストラリアやスペイン、イタリア、フランス、そして中東諸国でシーズンインレースが開催されているが、コアなレースファンのシーズンはここから始まると言っても過言ではない。
UCIワールドツアーの1戦に数えられるオンループ・ヘットニュースブラッドは、ベルギーのヘットニュースブラッド紙が1913年に創設したロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)に対抗して、ヘットフォルク紙が1945年に創設したセミクラシックレースだ。2009年にヘットフォルク紙がヘットニュースブラッド紙と合併したことから現在の名称に改められた。そして2017年にHC(超級)からUCIワールドツアーに格上げされ、フランドルクラシック初戦ながら格式は高い。
レースは2018年からロンド・ファン・フラーンデレンのフィニッシュを踏襲するレイアウトが採用されており、昨年から5km短くなった202.2kmコースの今年もそれは変わらない。登坂区間は合計12箇所、石畳区間は合計9箇所16.4kmに及び、後半区間には勝負所として知られる「レベルグ」「ベレンドリー」「フォッセンホール」「ミュール・カペルミュール」「ボスベルグ」らお馴染みの有名登坂が詰め込まれている。最後のボスベルグからフィニッシュまでは下り基調の12km。現在のところレース当日は晴れ模様となるが、最終区間は向かい風となる予報。逃げ切りを試みるアタッカーと追う小集団の追走劇が繰り広げられるはずだ。
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/24/corvos_00036402-007.jpeg)
ファンアールトを先頭にパヴェを走るヴィスマ・リースアバイク photo:CorVos
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/24/corvos_00036400-004.jpeg)
事前記者会見に臨むワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
圧倒的戦力を揃えて乗り込むのが、現在最強チームとして猛威を振るうヴィスマ・リースアバイクだ。昨年大会では緻密なレース運びでディラン・ファンバーレ(オランダ)の独走勝利を叶えたが、今年はファンバーレと一昨年優勝者ワウト・ファンアールト(ベルギー)、欧州王者クリストフ・ラポルト(フランス)という最強トリオを揃え、さらにティシュ・べノート(ベルギー)やヤン・トラトニク(スロベニア)といった超強力アシストがその脇を固める。べノートはポルトガルレースで負傷したものの、いずれにしてもチーム力は最強と言えるだろう。
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/24/corvos_00036404-001.jpeg)
両日ともに優勝候補に挙げられるヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/24/corvos_00036398-126.jpeg)
トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がパヴェの感触を確かめる photo:CorVos ![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/09/16/corvos_00035932-102.jpeg)
昨年大ブレイクしたアルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)。今年のクラシック初戦で走りはどうか? photo:CorVos
シクロクロスシーズンでファンアールトを圧倒したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)やタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は不在だが、それでも対ヴィスマに燃えるライバルたちは多数存在する。
ベルギー期待のアルノー・デリー(ロット・ディステニー)やヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)は優勝候補の筆頭であり、クラシックフル参戦を目指すシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)、過去のロンド・ファン・フラーンデレン覇者アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)、ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)といった屈強な面々が集う。クラシックでの復権を目論むスーダル・クイックステップはカスパー・アスグリーン(デンマーク)を主軸に据えると思われる。
同日開催の女子レース:終盤のレイアウトは男子共通
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/02/26/corvos_00035263-108.jpeg)
昨年優勝したロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)。SDワークスは今年も最強布陣で臨む photo:CorVos
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/16/corvos_00036376-055.jpeg)
エリーザ・バルサモ(イタリア)らを擁するリドル・トレックにも注目したい photo:CorVos ![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/16/corvos_00036376-004.jpeg)
元世界女王マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
同日開催される女子レース(UCIウィメンズワールドツアー)は距離こそ127kmだが、「レベルグ」に始まり「ベレンドリー」「フォッセンホール」「ミュール・カペルミュール」そして「ボスベルグ」と続く後半レイアウトは男子同様で非常に厳しいレイアウト。ワールドツアー昇格を果たした昨年大会はロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)がラスト17kmのミュールで独走を決め、史上初のベルギー人選手優勝を遂げた。
今年コペッキーは世界女王として、アルカンシエルに袖を通して連覇を狙う。しかもSDワークスはデミ・フォレリングとロレーナ・ウィーベス(共にオランダ)ら強烈なメンバーを揃え、いかなる状況でもカードを切れる体制を構築。チーム力で対抗し得るのは世界女王経験をもつエリーザ・バルサモ(イタリア)とエリザベス・ダイグナン(イギリス)、そしてエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)を揃えるリドル・トレックだけだろう。カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)やセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ)、誰よりも勝ち方を知るマリアンヌ・フォス(オランダ)といった面々もレースを作ってくるだろう。
2月25日(日):クールネ~ブリュッセル~クールネ
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/02/27/corvos_00035269-251.jpeg)
スプリンタークラシックに数えられるが、昨年大会ではユンボ・ヴィスマの総攻撃によって展開が変わった photo:CorVos
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/12/04/gabs9vxxmaatbe9.jpeg)
アルノー・デマール(フランス、アルケアB&Bホテルズ) photo:Team Arkéa Samsic ![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/01/14/corvos_00036245-018.jpeg)
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
オンループがクラシックハンター向けならば、翌日開催のクールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.Pro)は比較的スプリンター向けと言える。こちらも手強い急勾配や石畳が詰め込まれているものの、後半50kmはオールフラットだ。
一昨年に有名石畳登坂「オウデ・クワレモント」が取り除かれ、代わりに4箇所の新登坂が取り入れられたレイアウトは継続。アタックを吸収した大集団によるスプリントバトルとなる見込みだが、昨年はやはりヴィスマによるチームプレイで小集団の逃げ切りが発生した。
優勝候補筆頭は今季初戦となるヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)だ。昨年ツール・ド・フランスのマイヨヴェール受賞者にアルノー・デマール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)やジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)といったクラシックレースを得意とするスプリンターたちが対抗する。
ヴィスマ・リースアバイクはファンアールトを主軸にしつつ、ファンバーレやラポルトといったほとんどのメンバーがオンループから連続出場。ジュリアン・アラフィリップ(フランス)を据えるスーダル・クイックステップ、マテイ・モホリッチ(スロベニア)がエースを張るバーレーン・ヴィクトリアスは集団スプリントになることを望んでいないだろう。
2月24日(土):オンループ・ヘットニュースブラッド
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/02/26/nieuwsblad-14681.jpg.jpeg)
クラシックシーズンの到来を告げるのは、これまでも、そして今年もベルギーのフランドル地方を舞台にしたオンループ・ヘットニュースブラッド。オーストラリアやスペイン、イタリア、フランス、そして中東諸国でシーズンインレースが開催されているが、コアなレースファンのシーズンはここから始まると言っても過言ではない。
UCIワールドツアーの1戦に数えられるオンループ・ヘットニュースブラッドは、ベルギーのヘットニュースブラッド紙が1913年に創設したロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)に対抗して、ヘットフォルク紙が1945年に創設したセミクラシックレースだ。2009年にヘットフォルク紙がヘットニュースブラッド紙と合併したことから現在の名称に改められた。そして2017年にHC(超級)からUCIワールドツアーに格上げされ、フランドルクラシック初戦ながら格式は高い。
レースは2018年からロンド・ファン・フラーンデレンのフィニッシュを踏襲するレイアウトが採用されており、昨年から5km短くなった202.2kmコースの今年もそれは変わらない。登坂区間は合計12箇所、石畳区間は合計9箇所16.4kmに及び、後半区間には勝負所として知られる「レベルグ」「ベレンドリー」「フォッセンホール」「ミュール・カペルミュール」「ボスベルグ」らお馴染みの有名登坂が詰め込まれている。最後のボスベルグからフィニッシュまでは下り基調の12km。現在のところレース当日は晴れ模様となるが、最終区間は向かい風となる予報。逃げ切りを試みるアタッカーと追う小集団の追走劇が繰り広げられるはずだ。
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/24/corvos_00036402-007.jpeg)
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/24/corvos_00036400-004.jpeg)
圧倒的戦力を揃えて乗り込むのが、現在最強チームとして猛威を振るうヴィスマ・リースアバイクだ。昨年大会では緻密なレース運びでディラン・ファンバーレ(オランダ)の独走勝利を叶えたが、今年はファンバーレと一昨年優勝者ワウト・ファンアールト(ベルギー)、欧州王者クリストフ・ラポルト(フランス)という最強トリオを揃え、さらにティシュ・べノート(ベルギー)やヤン・トラトニク(スロベニア)といった超強力アシストがその脇を固める。べノートはポルトガルレースで負傷したものの、いずれにしてもチーム力は最強と言えるだろう。
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/24/corvos_00036404-001.jpeg)
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/24/corvos_00036398-126.jpeg)
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/09/16/corvos_00035932-102.jpeg)
シクロクロスシーズンでファンアールトを圧倒したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)やタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は不在だが、それでも対ヴィスマに燃えるライバルたちは多数存在する。
ベルギー期待のアルノー・デリー(ロット・ディステニー)やヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)は優勝候補の筆頭であり、クラシックフル参戦を目指すシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)、過去のロンド・ファン・フラーンデレン覇者アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)、ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)といった屈強な面々が集う。クラシックでの復権を目論むスーダル・クイックステップはカスパー・アスグリーン(デンマーク)を主軸に据えると思われる。
同日開催の女子レース:終盤のレイアウトは男子共通
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/02/26/corvos_00035263-108.jpeg)
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/16/corvos_00036376-055.jpeg)
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/02/16/corvos_00036376-004.jpeg)
同日開催される女子レース(UCIウィメンズワールドツアー)は距離こそ127kmだが、「レベルグ」に始まり「ベレンドリー」「フォッセンホール」「ミュール・カペルミュール」そして「ボスベルグ」と続く後半レイアウトは男子同様で非常に厳しいレイアウト。ワールドツアー昇格を果たした昨年大会はロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)がラスト17kmのミュールで独走を決め、史上初のベルギー人選手優勝を遂げた。
今年コペッキーは世界女王として、アルカンシエルに袖を通して連覇を狙う。しかもSDワークスはデミ・フォレリングとロレーナ・ウィーベス(共にオランダ)ら強烈なメンバーを揃え、いかなる状況でもカードを切れる体制を構築。チーム力で対抗し得るのは世界女王経験をもつエリーザ・バルサモ(イタリア)とエリザベス・ダイグナン(イギリス)、そしてエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)を揃えるリドル・トレックだけだろう。カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)やセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ)、誰よりも勝ち方を知るマリアンヌ・フォス(オランダ)といった面々もレースを作ってくるだろう。
2月25日(日):クールネ~ブリュッセル~クールネ
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/02/27/corvos_00035269-251.jpeg)
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/12/04/gabs9vxxmaatbe9.jpeg)
![](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/01/14/corvos_00036245-018.jpeg)
オンループがクラシックハンター向けならば、翌日開催のクールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.Pro)は比較的スプリンター向けと言える。こちらも手強い急勾配や石畳が詰め込まれているものの、後半50kmはオールフラットだ。
一昨年に有名石畳登坂「オウデ・クワレモント」が取り除かれ、代わりに4箇所の新登坂が取り入れられたレイアウトは継続。アタックを吸収した大集団によるスプリントバトルとなる見込みだが、昨年はやはりヴィスマによるチームプレイで小集団の逃げ切りが発生した。
優勝候補筆頭は今季初戦となるヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)だ。昨年ツール・ド・フランスのマイヨヴェール受賞者にアルノー・デマール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)やジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)といったクラシックレースを得意とするスプリンターたちが対抗する。
ヴィスマ・リースアバイクはファンアールトを主軸にしつつ、ファンバーレやラポルトといったほとんどのメンバーがオンループから連続出場。ジュリアン・アラフィリップ(フランス)を据えるスーダル・クイックステップ、マテイ・モホリッチ(スロベニア)がエースを張るバーレーン・ヴィクトリアスは集団スプリントになることを望んでいないだろう。
Amazon.co.jp