現在シクロクロスに参戦中のトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が、「来年のツールで総合争いに加わりたい」と明言した。同選手は2022年ツールの超級ラルプデュエズで逃げ切り勝利しており、激戦必至のツール総合争いに名乗りを上げた。



ツールで総合争いに加わると宣言したトーマス・ピドコック(イギリス) photo:CorVos

「ツールで自分の力を証明したい。昨年のツールは自分自身とチームが何を求めているのか分からず、その結果何も得られないまま終わってしまった。今年(2024年)は総合争いに集中したい。だがトップ10入り(などという低い目標)はモチベーションにはならない」と、ピドコックはスポルザのインタビューにそう語った。

ピドコックがツール・ド・フランスに初出場したのは2022年。得意の丘陵ステージ(大会6日目)でいきなり4位に入ると、ラルプデュエズを含むアルプスの3つの名峰を登る第12ステージでは高速ダウンヒルを披露。そのまま独走に持ち込み、ラルプデュエズを史上最年少で制した。

史上最年少でラルプデュエズを制したトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

ツールではラルプデュエズ勝利の印象が強いピドコックだが、2022年は総合16位で大会を終え(新人賞では2位)、2023年大会では山岳でも粘りを見せ総合13位でフィニッシュ。特に第13ステージの超級山岳グランコロンビエ峠ではタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)に食らいつき、登りの適性を証明した。

来年の目標について「シーズン序盤のステージレースの結果によって目標がより明確となる。昨年(2023年)以上に自分のことを信じられており、シーズンが進んでからでないと具体的な(順位)目標は立てられない」と語ったピドコック。現在はシクロクロスに参戦中でUCIワールドカップ第8戦では今季初勝利を収めている。

2022年にシクロクロス世界王者の座を掴んだピドコック photo:CorVos

しかし既報通り、来年2月のシクロクロス世界選手権に出場する予定はなく「夏の大きな目標のため、冬はその準備に使いたい。ツールと(マウンテンバイクで挑む)パリ五輪のある長い夏になるだろう。だからこそシクロクロス世界選手権への出場は難しい。それに臨むのならば100%の準備で走りたいからね」とその理由を説明。

「昨年(2023年)のCX世界選手権に出て敗れたファンアールトは、出場したせいでロードシーズンが困難になったと語っていた。だからクリスマスシーズンは(CXレースを)楽しみ、その後はロードシーズンの準備に取り掛かる」と語る通り、改めてシクロクロス世界選手権への不出場を明言した。

来年のツールは3連覇を狙うヴィンゲゴーとポガチャルの再戦に加え、ボーラ・ハンスグローエに移るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)やレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)など、近年稀に見る豪華メンバーが揃う。チーム力ではユンボやUAEに引けを取らないイネオスで、ピドコックがどこまでライバルたちと渡り合えるのかが注目される。

text:Sotaro.Arakawa

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