イネオス・グレナディアーズがトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)の移籍を発表した。同選手は2022年のTT世界選手権で優勝した前世界王者で、2019年にはツール・ド・ラヴニールで総合優勝している26歳だ。



イネオス・グレナディアーズへの移籍が発表されたトビアス・フォス(ノルウェー) photo:CorVos

「僕が自転車に乗り始めた14歳の時(チームスカイで走る)エドヴァルド・ボアッソンハーゲンが僕のアイドルになった。僕はそれ以来チームスカイのファンとなり、クリス(フルーム)とブラッドリー(ウィギンス)、そしてゲラント(トーマス)のおかげでツール・ド・フランスが僕の夢となった。それらが移籍を決めた理由であり、このチームであれば僕のキャリアをサポートしてくれると思ったんだ」と、トビアス・フォス(ノルウェー)はプレスリリースで移籍理由をそう語った。契約期間は2026年までの3年間。

フォスはウノエックス・プロサイクリングチームの下部チーム出身の26歳。2019年にU23版ツール・ド・フランスとして知られるツール・ド・ラヴニールで総合優勝し、2020年にユンボ・ヴィスマでプロデビュー。ノルウェーのロードとTT王者となった2021年ジロ・デ・イタリアは総合9位に入り、タイムトライアルだけでなく高いクライミング能力も披露した。

今季のロードレースではアシストに徹するシーンが多かったトビアス・フォス(ノルウェー) photo:CorVos

フォスの名が自転車界に知れ渡ったのは2022年にオーストラリアで行われたロード世界選手権だ。34.2kmの平坦コースでフォスはシュテファン・キュング(スイス)やレムコ・エヴェネプール(ベルギー)を抑えて優勝。しかし世界王者の証であるアルカンシエルを着て臨んだ2023年は、出場予定だったジロを新型コロナウイルスのため欠場。レース数もわずか36に留まり、個人として勝利も掴むことができなかった。

しかし「子どもの頃にファンだったイネオスに加わることでき、信じられない気持ちだよ」と喜ぶフォス。来シーズン以降の目標については「具体的なものは特にない」としながらも、「与えられたチャンスを掴み、チームに貢献したい。そしてオリンピックでメダルを狙いたい」と来年パリで行われる五輪への意気込みを語った。

テイオ・ゲイガンハート(イギリス)やパヴェル・シヴァコフ(フランス)ら主力選手が他チームに移籍し、チームの実質的なトップであるロッド・エリングワースの退団が発表されたイネオス。来シーズンに向け前世界王者の加入が、チーム復活の鍵となるだろうか。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos