イネオス・グレナディアーズの実質的なトップであるロッド・エリングワースが今年限りでチームを離れる。同氏は2010年のチーム創設から監督を務め、2022年からは代表であるデイヴ・ブレイルスフォードに代わりチームを率いていた。



イネオスからの離脱が報じられたロッド・エリングワース photo:INEOS Grenadiers

イネオス・グレナディアーズの副代表を務めるロッド・エリングワースが2023年末でチームを離れると、11月17日(金)に英テレグラフが伝えた。またチームは複数メディアの取材に対し、これが事実であることを認めた。

チームの代表を務めるデイヴ・ブレイルスフォードが化学企業イネオスのスポンサードする複数スポーツのディレクターを担っているため、エリングワースは副代表という肩書ながらイネオス・グレナディアーズの実質的なトップ。そのためチームへの影響はかなり大きいものと見られる。

元プロ選手であるエリングワースはブリティッシュサイクリング(イギリス自転車競技連盟)でゲラント・トーマスやマーク・カヴェンディッシュを指導後、ブレイルスフォードと共に2010年創設のチームスカイ(現イネオス)で監督に就任した。その後はツール・ド・フランスで7度の総合優勝に貢献し、2020年にバーレーン・マクラーレン(当時)に移る。しかし1年でイネオスに復帰し、2021年末に先述したブレイルスフォードが現場を離れることに伴い、チーム首脳陣のトップに立っていた。

ゲラント・トーマスの契約更新時にコメントを残していたエリングワース photo:CorVos

エリングワースの他にもチームからは今年、パフォーマンスコーチ長であるベン・ウィリアムズが離脱。また監督のマッテオ・トザットはチューダー・プロサイクリングチームに移り、エリングワースと共にバーレーン・マクラーレンからやってきた監督のロジャー・ハモンドも今年限りでチームを離れるのだという。

2020年のジロ・デ・イタリア覇者テイオ・ゲイガンハート(イギリス)やパヴェル・シヴァコフ(フランス)、ダニエル・マルティネス(コロンビア)など主力選手が移籍し、2024年は大幅な戦力ダウンが予想されるイネオス。そんな変革の時を迎えるチームは、立て直しを担う中心人物を失うこととなった。

現時点でチームやエリングワースからのコメントはない。

text:Sotaro.Arakawa