群馬が誇る名峰、赤城山。上毛かるたに歌われる、長い裾野を自転車でぐるりとめぐる「赤城1周ライド」が10月14日に開催された。今大会では、渋川スタートで赤城一周約100kmへと挑戦したレポートをお届けしよう。



走りやすく、美しい景色のコースが続く赤城1周ライド

湖や島をぐるりと一周する、"○○イチ"と名付けられたコースは、古今東西多くのサイクリストから人気のコンテンツ。例えば琵琶湖一周のビワイチ、淡路島一周のビワイチなどなど、走りごたえと達成感に満ちたルートが多くある。

そんな一周系サイクリングの中でも、かなりオススメなのが赤城山を一周するコース。群馬の誇る上毛三山が一つの赤城山は、サイクリストにとっては「まえばし赤城山ヒルクライム」で有名な存在だろう。群馬の中心都市である前橋の市街地からもほど近く、アクセスの良さは全国的にも珍しいはず。

参加賞のネックウォーマーとサコッシュ。ネックウォーマーをエイドで見せれば補給食を頂けるというシステム

そんな赤城山を登るのではなく、大きく広がる裾野をぐるりと巡るのが今回レポートする「赤城1周ライド」である。全長約100km、獲得標高2,000mと、赤城山の山頂へと登ることが無いとはいえ、かなり走りごたえのあるコースが挑戦心をくすぐるイベントだ。

今年で3年目を迎える赤城山一周ライドのユニークなポイントの一つが、スタート地点が複数あるという点。前橋、そして渋川の2つにスタート地点が設けられているのだ。そして今回、私が選んだのは渋川スタート。過去2回前橋から走り出したこともあり、今年は気分を変えてみようという試みだ。

日向涼子さんがゲストとして登場
ハシケンさんが自著にサイン中

さて、そんな初めての渋川スタートだが、まず驚いたのはそのアクセスの良さ。なんだかんだで前橋の方が市街地も近く、アクセスも良いのかと勝手に思い込んでいた。しかし、渋川スタートのメイン会場となる木暮組スポーツパーク赤城は、関越道の赤城ICからわずか5分ほどという抜群の立地で、もはやインターチェンジ直結と言っても過言ではない距離感である。

そんな渋川のスタート地点に集まったのは20名程の参加者たち。すこし少ない印象を受ける方もいるかもしれないが、個人的な経験からするとこういった規模感のイベントの方が満足感が高かったりするもの。小規模イベントからしか得られない栄養があるのだ。ちなみに、前橋スタートと合わせると101名の参加者が赤城山1周にチャレンジしており、イベント全体としてはかなり大規模に。なんと前橋の方には、群馬出身の元プロロードレーサーであり、ジロ・ローザで勝利した萩原真由子さんもお忍びで参加していたとか……。

渋川スタートのみなさん。これから一周走るぞー!

受付では、参加賞に加え、オリジナルのネックゲイターがいただける。この大会ではネックゲイターが参加者の証明となり、エイドステーションのもてなしを受けられるようになるという非常に重要なアイテムである。決してなくさないように!(笑)ちなみに、前橋と渋川でカラーが違うというこだわりぶりで、つまり渋川のネイビーカラーの方がレアなアイテムということでもある。

ゲストとして参加してくれるスポーツジャーナリストのハシケンさん、そして坂バカモデルとして知られる日向涼子さん、サポートライダーの群馬グリフィンの皆さんが紹介され、和気あいあいとした雰囲気の中、4つのグループに分かれてスタートを切った。

さて、それではスタートしていきます!

群馬の山々を背負いながら走っていきます

コースは赤城山を反時計回りに走っていく設定。まず目指すのは、もう一つのスタート地点である前橋のエイドステーション「道の駅赤城の恵」だ。まずは細やかなアップダウンをこなしつつ、徐々に標高を下げていく。

左手には朝日に照らされる赤城山を望みつつ、下り基調のルートを気持ちよくこなしていくと、途中には、有名な大鳥居へ向かうダウンヒルも登場し、どんどん気分も上がってくる。

適度なアップダウンが続きます

赤城山ヒルクライムでおなじみの道を逆に下っていきます

前橋市街地へと飛び込んでいくようなダウンヒル

走り始めたころは10度を下回る気温で、ウインドブレーカーは必須。ウォーマー類も用意していた方が良いといった天候だったが、途中には程よい登りもあり、更には太陽もだんだん昇ってきたこともあり、前橋エイドに到着するころにはかなり身体も温まってきた。

エイドが設けられた「道の駅赤城の恵」は、温泉やレストラン、農産物直売所など、様々な見どころが盛りだくさん。ファーストエイドということもあり、軽い食べ物が用意されているくらいだろう、と思っていた私を迎えてくれたのは、ボリューミーな「豚まん」だ。

肉まんをふるまってくれたお母さんたち

大きな豚まんを頂きます

赤城名物の上州ポークを使用した餡をたっぷり使った豚まんはまさに絶品。ハフハフと豚まんをほおばっていると、「ソフトクリームもありますよー!」と建物の中から声が聞こえてきた。

どうやら売店でソフトクリームを販売しているらしい、と思って財布を携えていくと、お金は要らないよ!と、キャラメルポップコーンをトッピングしたソフトクリームを手渡される。更に、アイスコーヒーまでついてきた。

キャラメルポップコーンの乗ったソフトクリームにコーヒーまで。全部もらっていいんですか??

前橋のゆるキャラ「ころとん」と。これだけおいしいモノをたくさん頂くと、ころとんに近づいてしまいそうだ

え?これ全部エイドの提供物なんですか?とスタッフさんに思わず聞くと、そうですよ、との応え。もはや食べ切るだけでもかなりの時間がかかりそうなボリュームである(笑)参加者の皆さんと「すごい量ですねー、朝ごはん食べなくても良かったかも」なんて話で盛り上がっていると、再スタートのアナウンスが聞こえてきた。

既に膨れ始めたお腹を抱えつつ、再び出発。前橋からは一路東へと進んでいくことになる。収穫を待つ田んぼが両側に広がる農道を繋ぎながら走っていくと、前橋を抜けてみどり市へ入っていくことに。

雄大な赤城山を左手に眺めつつ走っていく

レトロな雰囲気の残る大間々の街

歴史を感じる石灯籠

雰囲気のある酒蔵が立ち並ぶ大間々の街並みに入ると、すぐに第二エイドとなる「大間々庁舎」へ到着だ。昨年は、渡良瀬川を渡り少し登った先の、鍾乳洞やキャンプ場などのある複合施設「小平の里」がエイドステーションであったのに対して、今年は余計に脚を使うことのない場所にエイドが設けられることに。

ここから先、黒保根を越えて本格的な登りが始まることを知っているだけに、この変更は嬉しいポイント。そして、このエイドでは「中華粥」と「饅頭」が振舞われた。お椀にずっしりとよそわれた中華粥に、鶏肉などの具をトッピング。さっぱりとした味わいで、ここからの長旅に向けて必要な栄養をチャージ完了。

中華粥を頂きます

饅頭と中華粥を頂く

デザートに饅頭を頂けば、前橋エイドで頂いた分と合わせてエネルギー的には申し分ない準備完了、といったところである。わかりやすく言えば、もう腹9分目といったところである。

ここまで2つのエイドに立ち寄った今、一つ分かったことがある。そう、例年よりも明らかにエイドでふるまわれるグルメのボリュームもクオリティもアップしている。次なるエイドもパワーアップしているのではないだろうか。既に残り少なくなってきた腹の余裕を少し気にしつつ、鳥粥に腹を、期待に胸を膨らませ、再び走り出すのであった。

既にお腹いっぱいになりつつあります(笑)


text&photo:Naoki Yasuoka

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