「来シーズンのモチベーションに繋がる勝利」とは、第30回ジャパンカップを制したルイ・コスタの言葉。スプリントで敗れたエンゲルハートやマルタン、逃げでレースを湧かせたアラフィリップや新城幸也など、選手のコメントを紹介します。



優勝 ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)

抜群のスプリント力で勝利したルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) photo:Makoto AYANO

テンポの速い厳しいレースかつ、雨と寒さが更にタフなものにした。レース先頭の入れ替わりは激しく、その中で脚をどれだけ残すことができるのかが勝負の鍵を握った。僕らはこのレースに強力なメンバーで臨んでいたので、良い結果を残そうと思っていた。だから優勝できて本当に嬉しいよ。

チームから最低限一人は先頭集団に残すことができ、終盤は自分を含めて3名もいた。そして皆で協力し合い、残り2周でアタックをした。

―後続の2人が追いついていきた時の心情は?

特に2人を待ったということではなく、集団と距離を開けることを念頭に走っていた。難しい状況で2人との距離が詰まった時点で彼らの合流を”待った”ということはあるが、(2名とその後ろの集団が離れていたので)3名の方が良いという判断をしたまで。

優勝 ルイ・コスタ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、ポルトガル) photo:Satoru Kato

―初出場にも関わらず、勝利できた要因は試走でアスファルトなどを入念に確認していたからなのでしょうか?

最初の1周と2周でグリップの感覚を掴み、安全性を確かめることができた。その後はリスクに感じるようなことはなかった。シーズンを優勝で締めくくることができ、チームとして、また個人としても来たるシーズンへのモチベーションに繋がるよ。

―今シーズン限りでチームを退団し、一部ではEFエデュケーション・イージーポストへの移籍が報じられています。

まずはこのジャージを着て勝てたことを光栄に思う。公式発表はまだだが、来週にも明らかになるだろう。

2位 フェリックス・エンゲルハート(ドイツ、ジェイコ・アルウラー)

見事2位に入ったフェリックス・エンゲルハート(ドイツ、ジェイコ・アルウラー) photo:Kei Tsuji

まずは応援に来てくれた観客の皆に感謝したい。あいにくの雨だったが、皆のおかげで素晴らしい雰囲気のレースとなった。雨の中皆が位置を争う本当に厳しいレースだったが、最初から全力という展開は予想通りだった。そして適切なグループに入ることができたのだが、最後に悔しくも負けてしまった。

3位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)

3位 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス) photo:Satoru Kato

雨のなかとても難しいレースになるということは分かっていた。走り出したら実際に難しいレースとなり、シンプルなコースゆえに高速な展開に持ち込まれた。

―最終周回の登りで仕掛けなかったのは、スプリントに自信があったからでしょうか?

いいえ。正直、あの時点でかなり疲れていた。また登りの後も下りがあり、その後は平坦路が続くため登りでアタックしても決まらないと思った。そのためラスト2kmで仕掛けようと思ったのだが、単純に脚に力が残っていなかった。

4位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・ディステニー)

アタックを仕掛けるマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・ディステニー) photo:Kei Tsuji

優勝できる脚はあったのだが、アタックするタイミングを誤ってしまった。残り3周回で強く踏みすぎてしまい、誰もついてこずに単独先頭となった。結果的にミスショットとなってしまった。最終周回では先頭の3名との距離を縮める脚が残っていなかった。

日本人最高位(15位)岡本隼(愛三工業レーシング)

アジア最優秀選手賞を獲得した岡本隼(愛三工業レーシングチーム) photo:Satoru Kato

一発だけの瞬発力ならついて行けるけれど、最後に遅れてしまったのは躊躇するところがあったのかなと。残りの周回数を考えたらベストは尽くせたと思うけれど、何発も行けるダッシュ力とか、アタックの反応とか、1回ペースが上がったあと何本も行ける力で差が出たと感じています。

今回は登りに強い岡本隼を見せられたと思います。でも古賀志林道の登りはギリギリ耐えられる長さで、あと500m長かったら厳しかったかなと。初めてこのコースを走った時はキツかったけれど、最近は「もしかしたら得意なのかな?」と思うようになりました。今日は毎周回「岡本!岡本!」と名前を呼んでもらって、ここでは千切れられないと思って最後まで耐えることができました。

山岳賞(3周目、6周目)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)

単独で逃げるジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:Yuichiro Hosoda

苦手とする悪天候の中でも良い成績を残したかった。だから先行する形を取った。良い状態で最後まで行ったのだが、やはり脚が最後までもたなかった。勝利はできなかったがこの結果は満足している。とにかく皆の前で力を尽くしたかった。この2日間はとても良いものになった。日本に来ることができてハッピーだったよ。

新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)

出遅れたペーンシュタイナーのために新城幸也が献身的に追走。やがて追走グループに合流を果たした photo:Kei Tsuji

もちろんチームとしては優勝を目指して走りました。(途中、精鋭集団から遅れたことは)やってはいけないこと。僕らは(選手を)前に乗せることができず、その時点で(レースが)半分終わったようなものでした。僕たちのミスでした。

日本で走るチャンスがなかなか無いなかで、沢山の人から名前を呼んでもらったのですが、先頭集団に2人を戻すだけで自分の力を使ってしまいました。それ以上の、皆さんに楽しんでもらえるようなレース展開にすることはできなかったのは残念です。ですが毎周回名前を呼んでもらったのは力になりました。

text:Sotaro.Arakawa, Satoru Kato