2023年のロード世界選手権はスコットランドのグラスゴーで開催される。グラスゴー市街地に最大勾配14.5%の登りが設定されたコースや、大会連覇を目指すエヴェネプールやファンアールト、ファンデルプールら有力候補たちを紹介する。



勝負の鍵を握るモントローズ通りの登り photo:CorVos

ロード世界選手権2023 男子エリートロードレース コースマップ&プロフィール image:UCI
本日8月6日(日)に開催された、UCI自転車世界選手権大会の男子エリートロードレース。その舞台となるのはイギリス・スコットランドの西部にある港湾都市グラスゴーで、58カ国から集った計195名が世界一の称号であるアルカンシエルを巡り熱き戦いを繰り広げる。

前日に行われた男女ジュニアのロードレースはグラスゴー市街地の周回コースで行われたが、男子エリートはスコットランドの首都エディンバラから271.1kmの道のりが始まる。選手一向は西に向かい1890年に完成した世界遺産の鉄道橋「フォース橋」を通過。その後はフォース湾の上流へと進み、フィニッシュ地点グラスゴーの北にあるクロウ・ロード(距離5.9km/平均4.8%/最大9.7%)を登坂する。そしてグラスゴーの市街地に設定された14.3kmのコースを10周回してフィニッシュを迎える。

唯一の登坂区間であるクロウ・ロードで飛び出したとしても、フィニッシュラインは約180kmと遥か先。そのため勝負を分かつのは周回コースに入ってからとなり、コース後半に設定されたモントローズ通り(距離200m/平均10.8%/最大約14.5%)が勝負所となる。長い登りが登場しないのでクライマーにはノーチャンスと見られ、レースを有利に進めるのはアルデンヌクラシックが得意とするクラシックレーサーだ。



大会連覇を目論むエヴェネプールにクラシックレーサーが挑む

大会連覇のかかるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

レースの中心はベルギーが担うことになるだろう。最大9名を揃えるベルギーは大会連覇のかかるレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)はもちろん、あらゆる局面に強いワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)が今年も揃い踏み。そこにツール・ド・フランスでマイヨヴェール(ポイント賞)を獲得したヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)と、どんな展開からでも勝負できるメンバーを揃える。

その最強チームに対するのは、マウンテンバイクとロードレースの2つでアルカンシエルを狙うマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)。またオランダにはツール直後で身体の絞れているディラン・ファンバーレ(ユンボ・ヴィスマ)も国内王者としてファンデルプールのアシストと、混沌の展開となれば自ら勝利を掴みに行く。

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)など最強メンバーを揃えるベルギー photo:CorVos

試走するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

チーム力で言えば”登れる”スプリンターことマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)をエースに、マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト)やカスパー・アスグリーン(スーダル・クイックステップ)のいるデンマークも強力。更にツールで未勝利と悔しさの残るジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)もクリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィスマ)など良いメンバーを揃えている。

そしてエヴェネプールやファンアールト、ファンデルプールと並び優勝候補に挙げられるのタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だ。その登坂力が活かされるような長い登りはないが、アタックのキレと独走力はエヴェネプールに並ぶ。チーム戦力に懸念はあるものの、プロトンではライバルたちが決して目を離せない存在となる。

周回コースに入り、逃げを打つ見せ場を作ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

アレクサンドル・ヴィノクロフと話す新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

そして日本からは新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が挑む。単騎での出場とはなるものの、15回目の世界選手権はペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)とエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー)の13回を抑えて出場選手の中で最多だ。

text:Sotaro.Arakawa