バスクに拠点を構えるスペイン最大の自転車メーカー、オルベアが7代目となるORCA(オルカ)を発表した。徹底した軽量化とエアロダイナミクスの融合により機敏な運動性能と最高のクライミングパフォーマンスを追求したフラッグシップモデルだ。



オルベアORCA 2024 ©ORBEA

今年のツール・ド・フランスで開幕の数日間にわたりグランデパールをホストしたスペインのバスク地方、ビルバオ近郊マリャビアに拠点を構えるスペイン最大の自転車メーカー、オルベア。自転車競技熱の最も高い地域からスポーツバイクを産み出してきた信頼と伝統のブランドだ。

究極のクライミング性能を目指し開発されたオルベアORCA ©ORBEA

7世代目となる新型ORCAのキャッチフレーズは”PRAISE THE LIGHT(軽さへの賞賛)”。歴代からの軽量オールラウンドバイクとしての系譜を受け継ぎつつ、今まで以上に軽量化にフォーカスして開発された。完成車重量6.7kgという軽量性だけでなく、素速い加速と反応性、機敏なハンドリング、高い振動吸収性、そして優れたパワー伝達性。峠の登り方を変える究極のクライミングマシンとなるべく開発された新型ORCAは、登りを愛するサイクリストにとってベストな選択となる。

ORCAを独自の存在にするテクノロジー

ORCAのロゴが入るトップチューブは縦に薄く成形される ©ORBEA

オルベアはロードバイクカテゴリーにおいて多種多様な細分化された用途ごとに最適なモデルを産み出してきた。オルベアのプロダクツマネジャー、ホセバ・アリザガ氏は言う。

「スーパーエアロに特化したバイクは最軽量ではなく、反対に最軽量のバイクはスーパーエアロとはなり得ないもの。高速域でのエアロバイクは少ないワット数で速く走れるが、勾配が増すごとに速度が落ちると、空気抵抗の少なさによって得られる効果よりも軽量さによる利点が大きくなる。その相関性を証明するためオルベアでは傾斜と高速・低速域での効率性を計測するテストを行い、登坂時のバイクの重量とエアロダイナミクスの関係を明らかにした。そして良いパフォーマンスを発揮するため、重量が軽く、入力したパワーが効率的に伝達される優れたクライミングバイクの条件を探り出した」。

丸形状のラウンドチューブにより振動吸収性を確保する ©ORBEA
ケーブル類はステム下に半内装となり調整に優れる ©ORBEA
細身のシートステイとシンプルなエンド部 ©ORBEA



同時にヴェロドローム(室内競技場)での実験も行い、高速走行時に必要とされるエアロダイナミクスについても徹底的に掘り下げられた。その結果、新型ORCAは平均的ライダーが乗った場合にエアロに特化したバイクに比べて勾配5%の傾斜なら約3W、勾配10%なら約6W少ない出力で走れるという。

ケーブル内蔵で空気抵抗を軽減するICRシステム ©ORBEA
オーソドックスかつ徹底的な軽量化が図られたコックピット ©ORBEA



「Pure Light」軽量化のために

新型ORCAは重量削減のために細部に渡るすべてのディテールまで見直された。軽いフレーム、そしてすべての面で妥協すること無く無駄を削ぎ落とす。ORCAの軽量化探求の旅は執拗に続いた。その結果、最軽量のOMXフレームで750g(53サイズ)、フォーク単体360gを達成。セカンドグレードのOMRフレームで重量1,030g(先端のアクスル小物を含むフォーク単体410gの状態)を実現した。

軽量化とエアロダイナミクスの融合により機敏な運動性能と最高のクライミングパフォーマンスを追求したオルベアORCA ©ORBEA

「Pure Light」つまり軽量化に向けた技術として、ORCAはオーバーラップの少ないカーボン積層方法によって製造される。カーボンフレームはカーボンピースを積層して成形されるが、継ぎ目なく成形するには重なり合う部分(オーバーラップ)が必要。この重なりを最小限にすることで重量を減らすことができる。少ないピース数でオーバーラップも少なくする。もちろんその作業にはより正確な作業と手間、そして時間が要求されることになるが、OMXフレームでは従来比で90ピース少ないカーボンピースにより成形され、軽量化に繋がっている。

シンプルな固定方法とエアロダイナミクスに配慮したシートピラー周辺 ©ORBEA

また成形に使用されるエポキシ樹脂も厳密にコントロールされる。接合部やエッジ部に溜まりがちなエポキシ樹脂を避ける製法とフレーム形状にデザインされ、慎重な成形工程を経ることで余剰素材による重量増加を防いでいる。

ORCA完成車にはオルベアオリジナルのOQUOホイールが採用される ©ORBEA

またオルベアオリジナルのOQUOホイールとOC Componentsも重量的な無駄を省くべく徹底的にデザインされている。OQUO RP35-LTDホイールセットは1380gで、OC ComponentsのRP10ステムは市場の製品の最軽量の部類に入る。HP11ハンドルバーはわずか190g。そしてインテグレーテッドハンドルをチョイスするユーザーに向け、ヴィジョンMetron5DやデダAlanelaハンドルを使用する際のアダプターが用意される。

塗装もまた軽量化における重要なキーとなる。バスクのオルベア本社工場における塗装はそのプロセスから徹底的にコントロールされ、塗装重量も最軽量で高レベルの仕上がりが目指される。塗装重量は約15g、そしてフレーム小物重量は約20gに抑えられる。

Powerspineデザイン

フレーム構造のキーとなるのがPowerspine(パワースパイン)デザインだ。ヘッド〜BB〜チェーンステイをつなぐ低い「背骨」はペダリングパワー伝達に優れ、正確なハンドリングを生み出し、タテ・ヨコ方向の入力や捻じれに耐える剛性に優れる。このPowerspineデザインによってオルベアのバイクは重量を極限まで軽減でき、妥協なき剛性感を生み出すことができる。

32mmワイドタイヤまで許容するクリアランスをもつエアロ形状フォーク ©ORBEA
丸形状パイプでシンプルかつミニマルなリアエンド周辺 ©ORBEA



ライドフィーリング向上のために

軽量バイクの反応性に優れた機敏なライドフィーリングは妥協できないもの。登りでのORCAはペダリングするごとに速く、その軽量さゆえに小気味よい操作性、加速性を感じさせてくれるだろう。その機敏さを生み出すのがORCA独自のジオメトリーだ。ショートチェーンステイとショートホイールベース、ジオメトリーはクライマーの要求に応えるもの。

丸形状パイプのフレームセクションは振動吸収に優れ、ロングライド時におけるライダーの疲労を軽減する。32mmタイヤを許容するワイドクリアランスはトラクションの最大化と柔軟性向上に寄与し、低転がり抵抗を求める現代のアッセンブルに適合するもの。そしてMyO(マイオー)プログラムによるパーツの最適な選択も完璧なフィットのために欠かせないものとなる。

ケーブル内蔵によりエアロダイナミクスに優れるデザイン ©ORBEA

エアロダイナミクス

「エアロ」が開発の第1キーフィーチャーでなくとも、ORCAは空気抵抗削減において細部まで妥協なく設計された。ステアリングコラム周りのICRシステムはそのケーブル内蔵方式とともに空気抵抗を軽減するデザインとし、シートクランプもシンプルで軽量、効率的な固定方法とともに空気抵抗に配慮した表面処理となる。フロントフォークも軽量化とともにエアロ化を図った設計・形状に。そしてMyOシステムによりエアロを意識したハンドル周りのパーツ選択やホイール選択が可能になる。

オルベアオリジナルのOQUO 35mmLTDホイール ©ORBEA

OQUOホイール

ORCA完成車にはオルベアオリジナルのOQUOホイールが採用される。LTD、Team、Proの3つのグレードのホイールセットで、それぞれ35mm、45mm、57mmのハイトを揃える。リム内幅は21mmで、ベストパフォーマンスからデイリーユースまで幅広いタイヤセッティングに対応する。

オルベアORCA 2024 ©ORBEA

新型ORCAの市場デビューは7月20日。発表と同時にデリバリーも開始され、一般オーダーが可能。2024モデルとしてORCA OMXがフルモデルチェンジ、セカンドモデルのORCA OMRのフレームもモデルチェンジし、上位グレードOMXと同形状のフレームとなる。OMRはカーボンの積層が異なるものの、前モデルと比較しても軽量化されており、上位モデルの特性を受け継ぐエントリーからレーシンングまでカバーするコストパフォーマンスに優れるモデルだ。

オルベアORCA M10iLTD PWR(シマノ・デュラエースDi2完成車) ©ORBEA

レースシーンでは女子チームのWNT Ceratizitが7月23日開幕のツール・ド・フランス・ファムで実戦投入し、エウスカルテル・エウスカディにより7月29日のクラシカ・サンセバスティアンでレースデビューする予定だ。

オルベアの日本での取り扱い総代理店はサイクルクリエーション。


オルベアORCA M30iLTD(シマノ105Di2完成車) ©ORBEA
ORCA OMX 価格(税込み)
ORCA M10iLTD PWR (シマノ・デュラエースDi2完成車) ¥1,689,600
ORCA M20iLTD (シマノ・アルテグラDi2完成車) ¥1,075,800
ORCA M30iLTD (シマノ105Di2完成車) ¥891,000
ORCA OMR 価格(税込み)
ORCA M35i (シマノ105 Di2完成車) ¥675,400
ORCA M30i (シマノ105 Di2完成車) ¥506,000
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