ツール・ド・熊野第2ステージが和歌山県太地町で開催され、レース中盤に抜け出した山本元喜とトマ・ルバが逃げ切ってキナンレーシングチームがワン・ツーフィニッシュを決めた。個人総合優勝は、リーダージャージを着る山本大喜が残り3kmでパンクに見舞われ、集団から遅れてフィニッシュ。救済処置で集団と同タイムとされたものの、先にフィニッシュしていた岡篤志(JCL TEAM UKYO)が逆転優勝した。



各賞ジャージを先頭に第2ステージのスタートラインに揃った96名 photo:Satoru Kato

くじらの町・太地町 photo:Satoru Kato
ボードでツール・ド・熊野を歓迎 photo:Satoru Kato


ツール・ド・熊野第2ステージは、和歌山県南部の太地町でのレース。太地湾に面した1周10.5kmのコースは、高低差こそ控えめなもののアップダウンの繰り返しと道幅の変化により集団が長く引き伸ばされやすく、タイムアウトの厳しさも加わって、ツール・ド・熊野の完走者数を一気に減らすステージでもある。

前日の第1ステージを終えて、個人総合首位は山本大喜(JCL TEAM UKYO)。同タイムの2位に岡篤志(JCL TEAM UKYO)がつけ、3位以下に36秒差をつける。一方で、1分以内に20名がひしめく状態。2回設定された中間スプリント賞とフィニッシュのタイムボーナスは最大で16秒獲得でき、さらにポイント賞を獲得出来ることから、各チームが序盤から動くことが予想された。

青空が広がった太地湾 photo:Satoru Kato

スタート直後からのアタック合戦で長く伸びる集団 photo:Satoru Kato

朝から雲ひとつなく晴れた青空の下スタートしたレースは、前日同様にアタック合戦で始まる。ハイペースで進む集団の後方では中切れで遅れた集団や選手が徐々に増え、レース中盤までに集団の人数はおよそ半数まで絞られた。

6周目 単独で抜け出した山本元喜(キナンレーシングチーム) photo:Satoru Kato

ネイサン・アールとベンジャミ・プラデスに続く山本大喜(JCL TEAM UKYO) photo:Satoru Kato

6周目、山本元喜(キナンレーシングチーム)が単独先行。「2回のスプリント賞が終わったタイミングで抜け出す作戦だった」と言うように、リーダージャージの山本大喜を擁するJCL TEAM UKYOがコントロールに入って落ち着いたタイミングで飛び出し、後続との差を広げていく。7周目にはチームメイトのトマ・ルバが合流。2名とメイン集団との差は最大で45秒まで開いた。

太地港を背景に登るトマ・ルバと山本元喜(キナンレーシングチーム) photo:Satoru Kato

最終周回に入ると、メイン集団との差が縮まり始める。しかしJCL TEAM UKYO以外に組織的に追走できるだけの人数を残しているチームが少ないこともあり、先行する2名を捕まえるまでには至らない。

山本元喜とルバは最後まで逃げ切り、最後はルバに促された山本を先頭にキナンレーシングチームのワン・ツーフィニッシュを決めた。

逃げ切ったキナンレーシングチームの2人 photo:Satoru Kato

山本元喜とトマ・ルバでキナンレーシングチーム1-2フィニッシュ photo:Satoru Kato

第2ステージ優勝 山本元喜コメント
「2人逃げで40秒差くらいを維持されていて、JCL TEAM UKYO的には逃しても良いと思われていたかもしれないけれど、スプリント勝負に持ち込みたいチームが捕まえれられる射程圏にあったので、逃げ切れるかは後ろの状況次第だと思っていた。最終週に入ったところで、トマ(・ルバ)から「踏み切る」と言われたので、そこで行くしかないと思った。タイム差が30秒から25秒で粘っていたが、残り1kmまで来て後ろが見えなかったので逃げ切れると確信した。最後は「お前が勝て」とトマに言ってもらったので、先頭でフィニッシュした。

ポイント賞 表彰式 photo:Satoru Kato

チームとしては昨日の時点で個人総合はかなり苦しい状況になっていたので、逃げて勝つことを狙っていた。中間スプリントの動きが終わったところで行こうというプランだったので、その通りに決まった。最初は自分1人だったので泳がされてる感じだったが、トマが来てくれたことで一気に状況が好転した。

昨日はJCL TEAM UKYOが1-2フィニッシュされてしまったので、今日は大勢応援してくれる人がいる前でキナンが1-2フィニッシュ出来て良かった。次は全日本選手権に向けてもう1段階フォーカスしていきたい」

スプリントするメイン集団の中にリーダージャージの姿が無い photo:Satoru Kato

メイン集団はその26秒後にフィニッシュしたものの、リーダージャージの山本大喜がパンクで遅れてしまった。残り3km以内のためタイムは集団と同じとする救済処置が適用されたものの、個人総合で同タイムの岡が先着していたため、岡が逆転で総合優勝となった。

個人総合優勝は岡篤志(JCL TEAM UKYO) photo:Satoru Kato

個人総合優勝 岡篤志
「チームとしては(山本)大喜がこのレースで勝ちたいと以前から言っていたので、個人総合首位を守れれば良かったのだけれど、運悪く最後にパンクしてしまい、個人総合を失いかねない状況になってしまった。結果として棚ぼた的に優勝することになり、総合1位2位も維持出来たが、ちょっと複雑な気分だ。自分も途中メカトラで遅れることがあって、ネイサン(・アール)が待ってくれて集団に復帰させてくれたので、強いメンバーに感謝している。

山岳賞 表彰式 photo:Satoru Kato
チーム総合優勝 JCL TEAM UKYO photo:Satoru Kato


キナンの2人が行った後も集団から抜け出そうとする動きがあったけれど、ネイサンとベンジャ(ベンジャミ・プラデス)が良いペースでコントロールしてくれたおかげで焦ることなくレースをすることが出来た。ステージ狙いの他のチームが引いてくれれば捕まえることも出来た気もするが、捕まえる必要は無かったのでタイム差をキープすることにした。

ツアー・オブ・ジャパンはネイサンが優勝したが、今回は日本人で勝つことが出来たことに大きな意味があると思っている。日本人選手が外国人選手のサポートで走ることが出来て、日本人で1位2位を取れたことに成長を感じているし、日本のレースで日本人がUCIポイントを取っていかないとランキングも上がらないから良い結果になった。全日本選手権では良いレースが出来るのは間違いないと思っているので、自信をもって臨みたい」
ツール・ド・熊野 第2ステージ/太地半島周回コース 結果(104.3km)
1位 山本元喜(キナンレーシングチーム) 2時間31分27秒
2位 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム、フランス) +0秒
3位 ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ、ギリシャ) +26秒
4位 フェリックス・スティリ(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム、スイス)
5位 ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム、オーストラリア)
6位 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム、モンゴル)
7位 バトムンク・マラル・エルデン(レバンテフジ静岡、モンゴル)
8位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
9位 石上優大(愛三工業レーシングチーム)
10位 フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ、スペイン)
個人総合順位(第2ステージ終了時)
1位 岡 篤志(JCL TEAM UKYO) 4時間0分51秒
2位 山本大喜(JCL TEAM UKYO) +0秒
3位 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム、モンゴル) +33秒
4位 中井唯晶(シマノレーシング)
5位 ホセ・ビセンテ・トリビオ・アルコレア(マトリックスパワータグ、スペイン) +35秒
6位 ベンジャミ・プラデス(JCL TEAM UKYO、スペイン)
ポイント賞(第2ステージ終了時)
1位 山本元喜(キナンレーシングチーム) 25p
2位 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム、フランス) 20p
3位 ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ、ギリシャ) 16p
山岳賞(第2ステージ終了時)
1位 山本大喜(JCL TEAM UKYO) 19p
2位 岡篤志(JCL TEAM UKYO) 13p
3位 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム、モンゴル) 5p
チーム順位(第2ステージ終了時)
1位 JCL TEAM UKYO 12時間3分9秒
2位 EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム +1分36秒
3位 マトリックスパワータグ +2分16秒

ツール・ド・熊野の日本人総合優勝は2008年の清水都貴以来15年ぶり。岡は2019年に総合2位となっているが、ステージレースの総合優勝は初めてと言う。一方で、山本大喜が不運にも最終日残り3kmでのトラブルでリーダージャージを失うという劇的展開となったが、2日間開催の難しさ・怖さと言えるだろうか。

ワンデーレースとステージレースの連続開催という初の試みとなった「熊野インターナショナル・ロードレースフェスタ」。残念ながら悪天候のため古座川シティ・インターナショナルロードレースは中止となってしまったが、来年は開催出来ることを願いたい。

text&photo:Satoru Kato
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