イギリス・ロンドンを舞台にした「ライド・ロンドンクラシック」が閉幕。バルサモが初日で落車リタイアするなか、シャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)が区間2勝をマークして自身初となる総合優勝に輝いた。



前年から3日間に拡大したライド・ロンドンクラシック photo:CorVos

スペインでラ・ブエルタ・フェメニーナを含むステージレース3連戦を終え、女子ワールドツアーの舞台はイギリスへ。5月26日(金)から28日(日)、ロンドンを巡る3日間レースが行われた。

2012年のロンドン五輪の準備大会として初開催され、それ以降は男子レースやブロンプトン世界選手権などと併催。そして2年間の中止を経て昨年から3日間のステージレースとして復活し、同じイギリスで2週間後に行われるウィメンズ・ツアー(今年は資金難で中止)と共に、イギリス最大の女子レースをして開催されてきた。

コースはイギリスの平野を走る平坦路。初日と2日目はロンドン北東にあるエセックス州を舞台とし、最終日はロンドン市内を巡る周回コースとなっている。そのため初日のスタートラインには元世界王者エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)やシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)、キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ)など有力スプリンターが集結。昨年3戦全勝を挙げたロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス)は出場しなかったものの、過去にロード英国王者に4度輝いているエリザベス・ダイグナン(トレック・セガフレード)など地元の有力選手たちが顔を揃えた。

第1ステージ

優勝候補筆頭のエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos

ロンドンの北東にあるエセックス州を走る選手たち photo:CorVos
レース中盤に発生した集団落車によりエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)がリタイア photo:CorVos


序盤に2人が逃げた大会初日は、その後メイン集団からダニエレ・シュロスビー(イギリス、DASハンドスリング)が合流して3名に。それを追うプロトンでは優勝候補筆頭のバルサモが落車でレースを去り、同じく巻き込まれたダイグナンはそのまま続行。逃げを捉えた後もトレック・セガフレードがアタックを繰り返したことでプロトンは人数が絞られ、15名による集団スプリントになだれ込む。

地元イギリスのファイファー・ジョルジ(チームDSM)のリードアウトの後ろにコールの姿はなく、それを利用してクララ・コッポニ(フランス、FDJ・スエズ)が先頭へ。しかし遅れてスプリントを開始したコールのトップスピードは圧倒的で、コッポニに3車身をつけたコールが初日勝者に輝いた。

初日スプリントを制したシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) photo:CorVos

第2ステージ

世界的に塩の産地として知られるエセックス地方マルドンを巡る大会2日目 photo:CorVos

大会2日目は高級塩で有名なエセックス地方マルドンを巡る133.1kmで争われた。コーナーが多く、細かなアップダウンを含むコースでエイプリル・テイシー(イギリス、ライフプラス・ワフー)が1人逃げを実行する。しかしこの単独エスケープは長くは続かず、コース中盤で捉まるとアンナ・ヘンダーソン(イギリス、ユンボ・ヴィスマ)が登りでペースを上げ、プロトンの選別にかかる。

30名程度に絞られた集団からマイケ・ファンデルダイン(オランダ、キャニオン・スラム)が残り12km地点で飛び出し、最大38秒のリードを築く。それを追うプロトンでは落車により半数が遅れ、集団復帰したコールやダイグナンがフィニッシュ手前300mでファンデルダインをキャッチ。そして緩斜面のスプリント勝負を、集団で脚を溜めていたキャニオン・スラムのクロエ・ダイガート(アメリカ)が勝利した。

緩斜面スプリントを制したクロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム) photo:CorVos

第3ステージ

キャニオン・スラムのチーム力が実った2日目を経て、翌日の第3ステージはロンドン市街地の周回コースを巡る91.2kmの平坦路。ビクトワール・ベルトー(フランス、コフィディス)ら3名が形成した逃げグループをチームDSMやトレック・セガフレードが先頭を固めるプロトンが追いかける形でレースは進行した。

そして最終周回で逃げが捉まり、集団スプリントで有利な状況を作り出したいキャニオン・スラムのサラ・ローイ(オーストラリア)がアタック。しかしローイはフラムルージュ(残り1km地点)を前に引き戻され、集団スプリントが幕開ける。

チームDSMとキャニオン・スラムがトレインを並べ、ダイガートのリードアウトからマイケ・ファンデルダイン(オランダ、キャニオン・スラム)が飛び出す前にコールがスプリントを開始。そしてコールはキャニオン・スラムの2人を力でねじ伏せ、区間2勝目を手に入れた。

ロンドン市街地での白熱のスプリント勝負が繰り広げられた photo:CorVos

区間2勝目と共に、総合優勝に輝いたシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) photo:CorVos

ライド・ロンドンクラシック2023総合表彰台:2位ダイガート、1位コール、3位ダイグナン photo:CorVos

絶対的エースだったウィーベスが移籍後、チームDSMのスプリントエースを任されているコール。「本当に嬉しい。チーム一丸となり掴んだ勝利。前日の落車の影響もあり、調子はあまり良くなかった。だが、チームが私を信じてくれ、それに応えようと脚に力を込めた」と、自身初となるステージレースの総合優勝にも輝いたコールは喜んだ。
第1ステージ(5月26日)結果
1位 シャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) 3:56:35
2位 クララ・コッポニ(フランス、FDJ・スエズ)
3位 エリザベス・ダイグナン(トレック・セガフレード)
第2ステージ(5月27日)結果
1位 クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム) 3:26:33
2位 エリザベス・ダイグナン(トレック・セガフレード)
3位 ソラヤ・パラディン(イタリア、キャニオン・スラム)
第3ステージ(5月28日)結果
1位 シャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) 2:11:58
2位 クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム)
3位 マイケ・ファンデルダイン(オランダ、キャニオン・スラム)
個人総合成績
1位 シャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) 9:34:41
2位 クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム) +0:11
3位 エリザベス・ダイグナン(トレック・セガフレード) +0:15
その他の特別賞
ポイント賞 シャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)
山岳賞 ハンナ・ヨハンソン(スウェーデン、トレッリ)
ヤングライダー賞 エレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ)
チーム総合成績 ユンボ・ヴィスマ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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