ジロ第20ステージ区間優勝と共に、逆転での総合優勝を確実なものにしたプリモシュ・ログリッチ。「世界中のファンが誇りに思う走りがしたかった」と語る一方で、チェーン落ちを「良い休息になった」と笑いを誘った。



区間1位&マリアローザ プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

3年前の悪夢を払拭し、ステージ優勝を飾ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

レース直後インタビュー

素晴らしいの一言に尽きる。それは僕の勝利だけではなく、沿道から応援してくれた人々のことでもある。エネルギーに満ち溢れたこの場所での素晴らしい瞬間を、僕は決して忘れないだろう。

―途中のメカトラは何があった?

チェーンが外れてしまったんだ。でもこれもレースでは起こりうること。幸い自分で戻すことができ、問題なく再スタートを切ることができた。

―沿道からの応援は力になったか?

もちろん。脚の調子が良い僕に、沿道の応援が自分が出せる以上のワット(出力)を出させてくれた。本当に楽しんで走ることができたよ。明日の周回コースは厳しくテクニカルなようだから、集中して走りたい。

総合逆転を知らされ、涙を流すプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:RCS Sport



表彰式後インタビュー

僕はここから数キロの所にある、スロベニアのスキージャンプ場で人生のほとんどを過ごした。だからここはまるでホームのようなもの。また沿道の声援は力を与えてくれ、一生忘れない思い出となった。

―チェーンが落ちた後もパニックを起こすことなく冷静だったように見えた。

そうだね。プランにはなかったことだ(笑)。幸運にも僕にはチェーンを戻すメカニックさながらの技術があったので、再スタートを切ることができた。何より良い休息になったんじゃないかな(笑)?

今朝は結果のことは意識せず、ホームのようなコースを楽しみにしていた。スタート後も1m1mを楽しみながら進み、(勝利と総合逆転には)十分なスピードだったというだけ。

念願のマリアローザに袖を通したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

―これが(総合で逆転負けを喫した)2020年のツール・ド・フランスのリベンジだと思っているか?

全てのレースには、それぞれ違った状況があるのだよ。

―スロベニア近くでの勝利は、人生で最高の勝利だと思うか?

そうだね。そう思うよ。ここまでは好ましくないこともたくさんあり、問題も抱えていたが、それらを乗り越え掴んだ結果だ。常にポジティブに諦めることなく戦い続けたことが、この勝利に繋がった。

マリアローザをほぼ確定させたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos



レース後記者会見

言葉がないよ。この時のためにここまで戦ってきたんだ。僅かでも(総合優勝の)望みがある限り、諦めることなく戦い続ける。負けるときもあれば、今日の僕たちのように勝つときもある。沿道で応援してくれた人たちや、世界中のファンが誇りに思う走りがしたかった。その最大の目標を達成することができ、とても嬉しいよ。僕らはこの戦いに力を注ぎ、それがこの美しい地で結実した。ここから石を投げれば届く場所で、子どもの頃を過ごしていたんだ。本当に素晴らしい気持ちだよ。


敗れたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)のコメントは、別記事にてお伝えします。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos