翌日から始まる山岳決戦を前に、白熱の集団スプリントに持ち込まれたジロ・デ・イタリア第17ステージ。3名がハンドルを投げ、写真判定に持ち込まれる僅差を地元ヴェネト出身のアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)が制した。



応援ボードを持った娘と共にチームプレゼンに登場したアンドレア・パスクアロン(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

出走前に笑顔を見せるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:RCS Sport
ジロ・デ・イタリア2023第17ステージ コースプロフィール image:RCS Sport


久々にスプリンターに出番が回ってくる。と同時に、このチャンスを逃すとスプリンターの出番は最終日のローマまで回ってこない。ジロ・デ・イタリア第17ステージは内陸のペルジーネ・ヴァルスガーナを出発し、カオルレまでの195kmは若干の下り基調。その道程はレース主催者が「地形的な障害物」はないと言うように真っ平らだ。

設定された中間ポイントは2箇所(残り114km&残り31.3km地点)でスプリント前哨戦を終えた後、選手たちは今大会3度目となるアドリア海に至る。勝負の鍵となるのは残り4km地点を過ぎてから訪れる5回の直角コーナーで、特に残り600mの左コーナーでの位置取り争いが集団スプリントにどのような影響を及ぼすだろうか。

この日は逃げグループの形成に長い時間は要しなかった。チーム・コラテックの積極的なアタックからチャーリー・クオーターマン(イギリス)が抜け出し、連日逃げに乗るトマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)とともにエスケープに成功。一気に1分51分差を許したメイン集団からマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)がアタックしたものの、ポイント賞争いのライバルであるジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が自ら引き戻した。

第17ステージで逃げた4名
セネ・レイセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
トマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)
ディエゴ・セビーリャ(スペイン、エオーロ・コメタ)
チャーリー・クオーターマン(イギリス、チーム・コラテック)

ペルジーネ・ヴァルスガーナをスタートする新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)たち photo:CorVos

トマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)らが形成した逃げ集団 photo:CorVos

プロトンのコントロールを担当したのはモビスターやチームDSM、バーレーン・ヴィクトリアスなどスプリンターを擁するチームたち。レース序盤では新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が「第2週目はあまりお披露目できなかった」という日本王者ジャージを披露しながら集団牽引するシーンも。また途中にアンドレア・パスクアロン(バーレーン・ヴィクトリアス)やマルコ・フリーゴ(イスラエル・プレミアテック)ら地元出身の選手が家族や友人と交流しながら、プロトンはリラックスムードで距離を消化していった。

83km地点の中間スプリントはセビーリャがトップ通過し、メイン集団の先頭はミランが獲って4ポイントを加算する。またスプリンターではないものの、連日逃げに乗ったためポイント賞ランキングで2位につけるデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)もミランに続いて3ポイントを獲得。レース中盤に入っても依然として先頭交代に加わる新城の牽引もあり、タイム差は2分弱で推移し、残り35km地点で1分を下回った。

この日はレースを通して集団牽引を担った新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

ベネチアを通過するジロ第17ステージ photo:CorVos

ミランを”教育”しながらプロトンを走る新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

プロトンを目視できるほどリードが縮まった逃げ集団から、残り22km地点でレイセンがアタック。先にシャンピオンが集団に戻り、カメラに向かってポーズを送ったクオーターマンもセビーリャと共に飲み込まれる。そしてタイムトライアルに長けたレイセンは一時は58秒差までリード拡大に成功したが、スプリントに向け緊張感とスピードが上がるプロトンによって残り5km地点で捉えられた。

前日に再びマリアローザを獲得したゲラント・トーマス(イギリス)の安全確保のため、イネオス・グレナディアーズが先頭へ。そして救済措置が適用される残り3km地点を通過するとアルベルト・ダイネーゼ(イタリア)で勝負したいチームDSMがトレインを並べ、マシューズを擁するジェイコ・アルウラーも先頭に人数を揃える。

逃げ集団から飛び出したセネ・レイセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

チームDSMがフラムルージュ(残り1km地点)と最終コーナーを先頭でクリアし絶好の状況を作り出す一方で、パスクアロンを見失ったミランは10番手辺りに番手を下げてしまう。そしてマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)のリードアウトからマシューズが残り150mで早くもスプリントを開始。そのスピードに背後についたシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)が遅れるなか、ダイネーゼが食らいつく。

残り50mでダイネーゼはマシューズの右側から並び、左側から一気に番手を上げたミランが追走。スピードに乗ったニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が行き場をなくすなか、ダイネーゼとマシューズ、ミランの3名がフィニッシュラインめがけてハンドルを投げる。そしてしばらくの後、地元イタリア・ヴェネト出身のダイネーゼに勝利が告げられた。

先行するマシューズに並ぶダイネーゼとミラン photo:RCS Sport

ダイネーゼ、マシューズ、ミランの3名が同時にハンドルを投げる photo:CorVos

勝利を伝えられ、雄叫びをあげるアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM) photo:RCS Sport

「現実だと信じられない。言葉にはできないほど素晴らしい走りを、チームメイトは見せてくれた。最終盤ではマシューズに先を行かれてしまったものの、ペダルを踏み込み追いついた。そしてジョニー(ミラン)の姿も見えていた。脚が限界に達し、正直まともにハンドルを投げることができなかった。だが勝利には十分だったみたいだね」と、昨年に続くジロ2勝目をダイネーゼは喜んだ。

アンドレアス・レックネスン(ノルウェー)が5日間に渡りマリアローザを着用したチームDSMに、念願の区間優勝をもたらしたダイネーゼ。一方で、スプリントでは毎度単騎での勝負を強いられるミランは、これが今大会4度目の2位。しかしポイント賞ランキングで2位のジーに94ポイントをつける大差のリードを獲得し、最終的なマリアチクラミーノ獲得に向けて大きく前進した。

総合順位に変動はなく、翌日から選手たちは最終山岳決戦の地、ドロミテ山塊に臨む。

地元ヴェネトで勝利を飾ったアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM) photo:CorVos

危なげなくマリアローザをキープしたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos


ジロ・デ・イタリア2023第17ステージ結果
1位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM) 4:26:08
2位 ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
4位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
5位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)
6位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)
7位 アンドレア・パスクアロン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 アレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)
9位 ステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
10位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)
122位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) +3:21
マリアローザ 個人総合成績
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 71:58:43
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:18
3位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +0:29
4位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +2:50
5位 エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) +3:03
6位 レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +3:20
7位 ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ) +3:22
8位 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) +3:30
9位 テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) +4:09
10位 ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ) +4:32
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 215pts
2位 デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) 121pts
3位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ) 95pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) 164pts
2位 ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ) 144pts
3位 ティボーエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)ピノ(フランス、グルパマFDJ) 117pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) 71:59:01
2位 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) +3:12
3位 テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) +3:51
チーム総合成績
1位 バーレーン・ヴィクトリアス 215:27:26
2位 イネオス・グレナディアーズ +32:31
3位 ユンボ・ヴィスマ +40:26
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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