「THINK FASTEST-最速をカタチに-」を掲げるスペシャライズドの新型クロスカントリーレーシングバイク、Epic World Cup(エピック・ワールドカップ)がベールを脱ぐ。トップチューブと一体化した75mmストロークの新型リアショックを筆頭に、現代のXCレースを勝つためのテクノロジーがふんだんに盛り込まれた意欲作だ。



小田原で開催された発表会にて披露されたEpic World Cup(S-WORKS) photo:So Isobe

スラムの新型Eagle Transmissionのプロモーションムービーに登場し、さらに今季のクロスカントリーレースにも投入され、話題を呼んだスペシャライズドの新型レーシングバイクが「Epic World Cup」。本日4月21日、ついに正式発表の時を迎えた。

Epicは目まぐるしく変化するMTBレースシーンに合わせ、大きな進化を遂げるフルサスペンションレーシングモデルだ。2020年には軽さと剛性を向上させ、ロックショックスと共同開発を行うサスペンションシステム「Brain」の性能に磨きをかけた現行モデルが登場し、UCIワールドカップや東京オリンピックなど世界最高峰の舞台で戦ってきた。

選手たちは過激化するXCO(クロスカントリー・オリンピック)コースに対してほぼ100%現行Epicを選択してきたが、ワールドカップのポイント対象となり、さらに世界選手権の正式種目になるなどプレゼンスを上げるXCC(クロスカントリー・ショートトラック)ではコースの難易度から走破性よりもスピードや軽さが重視される現状があり、ハードテールモデルの「Epic Hardtail」が選ばれる場合もあった(2011年のXCC世界選手権はEpic Hardtailが勝利)。

トップチューブ一体型の75mmリアユニット「SID WCID」を新規採用 photo:So Isobe

一体型デザインによってねじり剛性とペダリング効率を上げ、高い搭載位置によって汚れや傷つきも防ぐ photo:So Isobe
3種類のエアスプリング設定によって乗り味を変更可能 photo:So Isobe



3種類のセッティングそれぞれのチャート。従来Brainが培ってきた動きを引き継ぐ (c)スペシャライズド・ジャパン

そこでスペシャライズドは、そのEpic Hardtailを置き換えるフルサスクロスカントリーレーシングバイクとしてEpic World Cupの開発に着手。ロックショックスと共に開発されたトップチューブ一体型の75mmリアユニットを投入し、「前例のない効率性と操作性に優れた走り、そして驚異の軽さを実現(プレスリリースより抜粋)」した。今後はXCCはもちろんXCOでも新型Epic World Cupが主力となり、従来のEpicはケープ・エピックに代表されるマラソンレースに主戦場を移すことになるという。

スペシャライズドは2002年から油圧式リアユニット「Brain」をブラッシュアップしてきたが、今回Epic World Cupのフレームに統合された75mmトラベルのリアユニット「SID WCID(World Cup Integrated Design)」はBrain非採用。フレーム一体化というメリットによってねじり剛性とペダリング効率を上げ、さらにリアショックのエアスプリングをポジティブ側とネガティブ側で独立して調整できる機構を投入。「ファーム・ミディアム・アクティブ」という3種類のエアスプリングの設定によって1台で3つのキャラクターを乗り分けることが可能になった。

初期サグ値0%の「ファーム(ノー・ガルプ)」はダイレクトな乗り味を叶え、スムーズな高速レースに。サグ値5%(2.5mm)の「ミディアム(ハーフ・ガルプ)」はハードテールとフルサスの中間。そしてサグ値10%(4mm)の「アクティブ(フル・ガルプ)」は最も自由に動き、現代のXCOコースにマッチするセッティングとなる。

Brainを非搭載(フロントフォークには引き続き採用)のEpic World Cupだが、サスペンションのカーブチャートでは入力がない限りハードテール的に動くことが示されている。曲線の中にフラットカーブが多いのは、75mmストロークをフルに使い切り、そしてバイクの挙動を掴みやすくするため。WCIDショックはエアボリュームと機械的な構造によって従来Brainが理想としてきた動きを追い求めた。

太陽光に光り輝く艶めかしいペイント。ヘッドチューブはよりワイド化した photo:So Isobe

フロントフォークは100mmから110mmにボリュームアップ。内部構造も一新している photo:So Isobe
180gという軽さを誇る「CONTROL SL SEATPOST」 photo:So Isobe


発表されたばかりの一体型ハンドル「CONTROL SL COCKPIT」は250gという軽さ photo:So Isobe

Epic World CupにはAethosやCRUXで培われた軽量バイク作りのノウハウがフル投入され、ハードウェア(ショックユニット込み、塗装込み)で1765gという軽さを実現。さらに4月12日に発表されたばかりの一体型ハンドル「CONTROL SL COCKPIT(250g)」と「CONTROL SL SEATPOST(180g)」さらには「CONTROL SL WHEELSET(ペア1240g)」を標準装備し、トータルパッケージで圧倒的な軽さを誇っている。

ワールドカップのコースに合わせてフロントフォークは100mmから110mmにボリュームアップし、さらに内部構造も一新して従来品から動きを改良。タイヤは前後2.35インチが標準仕様だが、2.5インチに対応するクリアランスを備えている。ハンドルの切れ角を制限してトップチューブの接触を防ぐヘッドパーツを新規採用など使い勝手の部分も改善をみた。

ハンドルの切れ角を制限する機構が新規採用された photo:So Isobe
ボトルケージはダブル。現代XCOレースに欠かせない仕様だ photo:So Isobe


完成車はスラムのXX1 SLを装備する photo:So Isobe

国内販売は最上級モデルのS-WORKSのみとなり、完成車とフレームセットで展開される。スラム・ロックショックスと共同で作り上げたバイクゆえにコンポーネントはスラムのXX1 SLを搭載。価格は完成車が税込165万円、フレームセットが税込77万円。カラーバリエーションは完成車が2種類、フレームセットが3種類。XSサイズはフレームセットのみの展開となる。

サスペンションセットアップの方法は以下の公式ムービーを参照してほしい(日本語字幕付き)。





スペシャライズド S-WORKS EPIC WORLD CUP
フレーム:S-Works FACT 12m Carbon
リアショックユニット:RockShox-Specialized SIDLuxe WCID Ultimate
フォーク:RockShox SID SL ULTIMATE BRAIN
サドル:Body Geometry S-Works Power
ハンドルバー:Roval Control SL Integrated cockpit
ブレーキ:Sram Level Ultimate
ドライブトレイン:Sram XX SL Eagle Transmission
ホイール:Roval Control SL
タイヤ:Specialized S-Works Fast Trak、Specialized Renegade
シートポスト:Roval Control SL carbon seatpost
カラー:Gloss Red Tint / Flake Silver Granite /Metallic White Silver、Satin Chameleon Lapis Tint Granite /Brushed Chrome
サイズ:S、M、L
価格:1,650,000円(税込)

スペシャライズド S-WORKS EPIC WORLD CUP フレームセット
フレーム:S-Works FACT 12m Carbon
リアショックユニット:RockShox-Specialized SIDLuxe WCID Ultimate
フォーク:RockShox SID SL ULTIMATE BRAIN
シートポスト:Roval Control SL carbon seatpost
カラー:Gloss Lagoon Blue /Purple Orchid /Blaze Impasto、Gloss Red Tint /Flake Silver Granite、Satin Smoke Granite /Metallic White Silver
サイズ:XS、S、M、L
価格:770,000円(税込)


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