女子レースにおける春のクラシック開幕を告げるロンド・ファン・ドレンテアが開催された。積雪・コース短縮されたレースでロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス)がスプリントを制し、大会3連覇を達成した。



前日の降雪でまだ雪が残るロンド・ファン・ドレンテア photo:CorVos

女子レースの春のクラシックシーズン開幕戦であるロンド・ファン・ドレンテアが、3月11日(土)に行われた。女子ワールドツアーの中でも歴史ある石畳クラシックレースは今年で第16回目を迎え、開催国オランダ勢が過去10回優勝と強さを誇っている。

しかしレースは当時の朝になって、前日までの積雪によってコース短縮が発表された。出発地点のエメンからコル・デュ・ファム(ファムベルフ)に変更され、当初3周する予定だった周回コースを6周に増やし距離は154kmから94kmに短縮。そのため大会の目玉である石畳区間が消え、その代わりに人工の山コル・デュ・ファム(ファムベルフ)を6度登るレイアウトとなった。

コース短縮で15.6kmを6周回する総距離94kmで争われた photo:CorVos

プロトンひと塊のまま2周回を終え、エリノア・バックステッド(イギリス、トレック・セガフレード)を含む8名の逃げグループが形成される。その直後にメイン集団ではその2/3を巻き込む大規模落車が発生。深刻な怪我を負った選手はいなかったものの、序盤からレースは混沌を極めた。

大会2連覇中のロレーナ・ウィーベス(オランダ)を擁するSDワークスは、フェムケ・マルクスとロンネケ・ウネケン(共にオランダ)を逃げに送ったためプロトンの牽引を免除。代わりにキアラ・コンソンニ(イタリア)で勝利を狙うUAEチームADQが中心となって逃げグループを追いかけた。

今年のヨーロッパ選手権でも通るこの日最後のコル・デュ・ファム(ファムベルフ)に突入すると、集団スプリントに持ち込みたくないチームの猛攻が始まる。エーススプリンターであるシャーロッテ・コール(オランダ)が体調不良で不在のチームDSMはダニエク・ヘンゲフェルト(オランダ)が2度に渡り仕掛けるものの、SDワークスが追従してこれを封じ込めた。

レース終盤で展開をコントロールしたSDワークス photo:CorVos

大会三連覇を決めたロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス) photo:CorVos

そしてSDワークスの思惑通り、勝負はひと塊まま集団スプリントへ。2017年勝者で元世界王者のアマリー・ディデリクセン(デンマーク)を擁するウノエックス・プロサイクリングチームが先頭に人数を揃え最終ストレートに突入。しかしロンネケ・ウネケン(オランダ、SDワークス)から発射されたウィーベスのスピードは圧倒的だった。

ライバルのエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)はもちろんスザンヌ・アンデルセン(ノルウェー)に勝負を切り替えたウノエックスも圧巻のスピードで打ち破ったウィーベスが、大会3連覇を達成した。

ロンド・ファン・ドレンテア2023表彰台:2位アンデルセン、1位ウィーベス、3位ファンデルダイン photo:CorVos

「混沌としたレースだったが、ファムベルフを越えてからレースをコントロールすることができた。最終盤でスプリントを左側か右側かで迷ったが、右側にスペースを見つけ、その後はただ全力で踏み込むだけだった。オランダでのレースは大好きで、石畳も好き。でも今日はファムベルフが好きになった。3連覇できて特別な気持ちがするよ」とウィーベスは振り返った。
ロンド・ファン・ドレンテ2023結果
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス) 2:29:13
2位 スザンヌ・アンデルセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
3位 マイケ・ファンデルダイン(オランダ、キャニオン・スラム)
4位 エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)
5位 マリア・コンファロニエーリ(イタリア、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
6位 ロッタ・レピスト(フィンランド、AGインシュランス・スーダル・クイックステップ)
7位 ヴィットリア・グアジーニ(イタリア、FDJ・スエズ)
8位 カーリーン・スウィンケルス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
9位 レティツィア・パテルノステル(イタリア、ジェイコ・アルウラー)
10位 アンナ・ヘンダーソン(イギリス、ユンボ・ヴィスマ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos