パリ〜ニース初出場のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がクイーンステージを制覇。区間2勝目とともに総合首位をキープし、最終日を前にライバルのヴィンゲゴーに58秒差をつけた。



笑顔でスタートを待つタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:A.S.O.

ニースをスタートするパリ〜ニース第7ステージ photo:A.S.O.
ハイスピードの序盤から19名の逃げグループが形成された photo:A.S.O.


前日の強風による第6ステージの中止を経て、第81回パリ〜ニースは総合優勝の行方を左右するクイーンステージを迎えた。7日目の舞台はニースを出発した直後に1級山岳を越え、2017年大会以来の登場となる1級山岳クイヨール峠(距離17km/平均7.1%)に上り詰める142.8kmだ。

思わぬ休息日となった前日の影響からか、この日は時速50kmのハイペースでレースは幕を開ける。リリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)のアタックから7名が先頭集団を形成し、そこにダビ・デラクルス(スペイン、アスタナ・カザフスタン)らも合流したため19名の逃げグループが出来上がった。

一方のメイン集団はリーダーチームであるUAEチームエミレーツに加えイネオス・グレナディアーズも牽引に協力したため、逃げに3分以上のリードを許さないままレースは進行する。だが最終山岳が近づくにつれ、時折狭くなるコースを高速で進むレースは落車が多発した。

逃げ集団ではジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が下りで落車し、それを追うプロトンではトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・デスティニー)をきっかけにマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)が落車。総合14位につけていたスケルモースは顔を打ちつけ、最終山岳を前にリタイアとなった。

逃げ集団で落車し、途中リタイアとなったジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

高速牽引を披露したトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

4名まで減った逃げグループは1分30秒差で最終山岳クイヨール峠(距離17km/平均7.1%)に突入し、麓から飛び出したコーブ・ホーセンス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)にハビエル・ロモ(スペイン、アスタナ・カザフスタン)が合流する。しかし現TT世界王者のトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)が牽引するプロトンは逃げとの差を一気に縮小。このスピードアップには総合7位のダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が千切れるほどだった。

フォスの高速牽引は逃げから最後まで粘ったホーセンスを吸収するだけではなく、UAEのミッケル・ビョーグ(デンマーク)やフェリックス・グロスシャートナー(オーストリア)をポガチャルから引き剥がすことに成功する。そしてフォスが残り6kmで仕事を終え、単独となったヴィンゲゴーにポガチャルが先制攻撃を仕掛けた。

総合2位のダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)と3位ヴィンゲゴーが協力してポガチャルを捉える一方で、ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)やポガチャルの繰り下げでヤングライダー賞ジャージを着るマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)は脱落。その一方で、マイペース走行で淡々と踏み続けるサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)とニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が先頭3名との差を詰めていき、その姿を確認したゴデュが残り2.3km地点でアタックした。

ポガチャルのアタックにゴデュとヴィンゲゴーが合流 photo:CorVos

ヴィンゲゴーとゴデュを振り切ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

シーズン開幕から山岳ステージでは無類の強さを見せるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

これにすかさずポガチャルが反応し、一時遅れたヴィンゲゴーが再び合流する。牽制状態のままフラムルージュ(残り1km)を通過し、加速力で上回るポガチャルに対しヴィンゲゴーがこの日初めて自ら仕掛けたものの、逆にポガチャルのアタックを誘発。そしてマイヨジョーヌを着たポガチャルが、ヴィンゲゴーと食らいつくゴデュに圧倒的なスピード差をつけてフィニッシュラインに飛び込んだ。

ゴデュに2秒差、ヴィンゲゴーに6秒差をつけたポガチャルは更に-10秒のボーナスタイムを加算。そのため最終日を前にポガチャルは、総合2位ゴデュに12秒差、ライバルのヴィンゲゴーへのリードを58秒まで拡大することに成功した。

「今日は今シーズンで最初の白熱した戦いだった。(最終山岳での)仕掛けが少々早すぎたが、大きな集団のまま最終局面に突入したくはなかった。そして最後は全てが僕の望み通りに進んだよ。完璧だった」とポガチャルはレースを振り返った。

勝者ポガチャルを称えるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

リーダージャージを纏い区間2勝目を飾ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:A.S.O.

一方、ヴィンゲゴーは「選択したギヤが大きすぎたため、自分のペースで登坂した。その作戦は上手くいき、何度アタックされても合流することができた。これは今後の自信に繋がる。だが、今季中に改善しなければならないこともある。このレースが今シーズン最大の目標ではないので、まだ自分を高める時間は残されている」とこの日の敗因と今後への課題を語った。

最終日である翌日はポガチャルが「パリ〜ニースで最も過酷なステージ。だが同時に僕に適した登りでもある」と語るように、レース後半にかけて1級山岳ペイユ峠(距離6.5km/平均6.9%)と1級山岳エズ峠(距離7.7km/平均5.7%)を立て続けに越える山岳ステージ。そのフィニッシュ地点であるニースの市街地にて、第8ステージの勝者と第81回大会の総合優勝者が決定する。
パリ〜ニース2023第7ステージ結果
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 3:56:08
2位 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) +0:02
3位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) +0:06
4位 サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) +0:19
5位 ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:24
6位 ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:28
7位 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) +0:30
8位 パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) +0:38
9位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
10位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) +0:53
個人総合成績
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 21:10:50
2位 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) +0:12
3位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) +0:58
4位 サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) +1:27
5位 ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:59
6位 ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) +2:20
7位 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) +2:22
8位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) +2:32
9位 パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) +3:08
10位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) +3:17
その他の特別賞
ポイント賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
山岳賞 ヨナス・グレゴー(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
ヤングライダー賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 ジェイコ・アルウラー
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos