ウィンタースポーツの世界で高い支持を得ているグローブブランドのキネティックス。1928年に創業した老舗メーカーは2021年にサイクルグローブにも参入し、長年の知見を生かした高品質、高機能なグローブを展開しており、今回はWINN POLARというモデルをテストした。



キネティックス WINN POLAR

WINN POLARは0℃〜5℃の気温帯に適応するように設計された中厚手のウィンターグローブ。独自のウィンドブレーカー素材と起毛生地を使うことで冬場のライドで冷えやすい指先を守るための性能を実現していることが特徴だ。

今回このモデルをピックアップしたのは暖かさとダイレクトな握り心地を両立していると期待したためだ。ウィンターグローブの多くは暖かさを求めれば厚くなり、ダイレクト性を求めれば暖かさとトレードオフとなる。筆者の藤原は末端の冷えには弱いものの、手のひら部分に汗や熱がこもるのは苦手であり、可能な限り薄手の手袋を着用したいと思っている。その要望に応えてくれるのがWINN POLARと思い、今回テストするに至った。

手のひらの大部分はグリッパーが備えられている

グローブはSサイズがフィットするものの、縫製次第ではMサイズも視野に入るような手のサイズ感であるため、今回はMサイズのグローブを借り受けた。私としてはワンサイズ上ということもありタイトでもなく、ブカブカすぎないちょうど良いサイズと感じていたが、私より手の大きな編集部員には縫い目が手に干渉するように感じ取れたとのこと。デュアルコントロールレバーやハンドルを握った時に違和感を覚えることもあるため、サイジングや縫い目の感じ方などは実際にショップで確認するのがおすすめだ。

グローブ内側の起毛素材は毛が短く、手を入れてもモコモコするような感覚は薄め。実際に走り出して手のひらに汗が溜まり始めるようなシチュエーションでも起毛に水分が残るようなこともなく、熱も程よく残ってくれるような印象だ。

独自の防風生地を採用している

程よい起毛生地で保温性を確保している

対応気温の1℃の気温から5℃まで一気に上がるような冬の朝にテストを行ったのだが、防風性能はバッチリ感じられる。特に5℃まで気温が上がってくると寒さは一切なく、1℃のような時は指先が冷えているような感覚はある。とはいえ起毛生地によって守られているため、個人的には許容範囲内。もし同じような気温下で30分続く下りでは、指先が冷え切ってしまうかもしれないが、関東平野の冬場は乗り切れるような印象だ。

私が指の冷えを許容できるのはダイレクトにレバーを握れるためだ。私は手が小さく、指も短めのためブラケットポジションからレバーに指をかけるときに、厚手のグローブの場合では素手よりも意識して指を動かさないといけない。WINN POLARの場合はその意識的な動作が必要なく自然とレバー操作を行えるため、握りやすさと暖かさのバランスを考えた時に許容できる冷えの範囲と言える。冷えていても、グローブを脱いだ後もすぐにPCのタイピングを難なく行えるため、冷え切っていないという感覚があることも好印象の理由だ。

スリップオン式のカフとなっているため、フィット感が高いうえ、ジャケットの裾内側に滑り込ませられる

非常に伸縮性に富む生地を採用しており、着用感は良好だ

スマホ操作もさくさく行える

パッドが備えられていないのも私としては嬉しい仕様。パッド付きの場合は配置位置によってはフィットしないこともあるため、パッドが備えられていないというだけで、その心配がなく、選びやすいグローブといいたいくらい。もちろんグリッパーによるグリップ力や、スマホ操作可能な指先の仕様も非常にありがたい。指先のスマホ対応生地の縫い合わせ部分の感覚は人によって受け取り方が変わりそうなので、一度デュアルコントロールレバーを握って試してもらいたい。

またグローブ全体でしなやかに仕上げられているため、手を開く・閉じる動作で生地のつっぱり感がないこともWINN POLARの大きな魅力だ。スリップオンの手首部分もフィット感高めにも関わらず、着脱しやすい上に手首の動作を妨げない。対応気温の好みさえフィットしていれば、どのような方でも使いやすいグローブと感じる。価格は8,800円(税込)。

キネティックス WINN POLAR



キネティックス WINN POLAR
サイズ:XS、S、M、L、XL
カラー:ブラック
対応温度帯:0℃ 〜 5℃
Backhand素材:100%ポリエステル
Palm素材:100%ポリエステル
裏地素材:ハイロフトフリース
価格:8,800円(税込)

text:Gakuto Fujiwara