2022年7月にオープンし、早くも荒川サイクリストの憩いの場となったKURU@サンエスベース。晴天に恵まれた一日に突撃取材を敢行し、個性溢れるサイクリストたちの愛車を紹介してもらった後編をお届けする。前編はこちらから。



岩波智明さん RIVENDELL Platypus

岩波智明さん RIVENDELL Platypus

トップチューブとダウンチューブでラグの向きも異なる
モデル名のPlatypus(カモノハシ)がヘッドバッヂのモチーフに



駐輪場で一際輝いていたのがこちらのアーバンスタイルなバイク。RIVENDELL のPlatypusというスタッガードフレームに、様々な拘りを集めた一台で、あらゆる部位に持ち主の岩波さんのセンスがキラリと光る。

ハンドルやステム、ピラーは日東、フェンダーは本所、ペダルは三ヶ島。更にリアディレイラーやヘッドは77デュラと、高品質な日本製品で固めつつ、リアハブにはフィル、ブレーキはポールでクランクはリッチーと、フレームと同郷のアメリカンブランドも多数採用。目を惹く木製のグリップはRIVENDELLのオリジナル製品。爽やかなグリーンのフレームの各所に自然な風合いのレザーやコットン製品がちりばめられ、上質な存在感を際立たせている。

スイフトインダストリーとブルーラグのコラボバッグ
日東のプロムナードバーにコットンバーテープ、ポールのブレーキにリーヴェンデールのグリップを組み合わせる


チェーンステーには麻紐を巻く
クランクはリッチーロジック



「納車されたばかりで、これからどんどん乗っていくつもりです。今日は80kmくらい走ってきたのですが、ゆったり長い距離を楽しく走れるバイクですね」と、岩波さん。付き合うほどに味の出そうな一台で、お話を聞いているうちに自分もこんな一台が欲しくなってしまう魅力に満ちたバイクでした。



Chikaさん OnebyESU JFF#805

Chikaさん OnebyESU JFF#807

Kuruで取材陣が出会った第一村人ならぬ、最初にお話を伺ったのがChikaさん(とこの後登場するしばにゃんさん)。その愛車は店内のバイクラックに並んだ中でも特に目立っていたのがピンク色のOnebyESU JFF#805Zで、シクロクロス全日本選手権9連覇の偉業を達成した辻浦圭一が開発に携わった東京サンエスのアルミCXバイクだ。

「ロードもグラベルも走りたかったから」とChikaさんがその理由を語るの言う通り、ペダルはクランクブラザース eggbeaterでALEXRIMSのグラベル用ホイールであるBOONDOCKS 3をチョイス。「ハンドルではなく車体を自然に倒すだけで曲がってくれる」というように、あえて前輪とクランクのクリアランスが非常に狭い作りになっている。詳しい解説やインプレはこちらから。

ペダルはクランクブラザースのeggbeater、ホイールはALEXRIMSのBOONDOCKS 3をチョイス
ハンドル周りにはハンドルバーバッグのほか、ライトを2つつけられるようにレックマウントのホルダーも装着されている


「過酷なロングライドイベントに参加して自転車熱が一度下がっていたのですが、このバイクと出会って再熱しました!」と語るChikaさん。普段はお仲間さんと一緒にカフェライドに勤しんでいるのだとか。



しばにゃんさん BIXXIS PATHOS

しばにゃんさん BIXXIS PATHOS

この日のKURUでも特に異彩を放っていたバイクが、しばにゃんさんのBIXXIS(ビクシス)のチタンバイク PATHOS(パトス)。数年前のハンドメイドバイシクル展にて創設者かつ”チタンのマエストロ”と称されるドリアーノ・デローザ氏と言葉を交わし、オーダーメイドしたという1台だ。

目を引くのはなんといってもトップチューブとダウンチューブ、シートチューブに巻かれた本皮。「洗車する時は養生して、レザークリームでメンテナンスしています。ライドの時は撥水スプレーをかけて雨から保護しています」という徹底ぶりからバイクへの愛情がヒシヒシと伝わってくる。

フレームに巻かれたレザーは本皮だ

シートピラーにはPMPを使用
ステムとハンドルは「サンエスありきで組みました」としばにゃんさん


ステムとハンドルはお気に入りという東京サンエスで、コンポーネントは「12速が発売されたばかりで興味があったので」と語るスラム RED eTap。ちなみにリムブレーキなのは「ドリアーノさんが軽量化にこだわったから」なのだとか。またレザーと色合わせで塗装されたフロントフィークは、長野にある工房「アトリエ・キノピオ」によるもの。語りシロだらけの素敵なバイクをご紹介頂きました。



渋谷謙太郎さん GIOS 23 GENOVA

渋谷謙太郎さん GIOS 23 GENOVA

坂井社長に「すごい少年がいるから!」と激推しされ、取材させて頂いた渋谷さん。近くの中高一貫校に通う中学生で、乗るのはジュニア用のマウンテンバイクであるGIOS 23 GENOVAだ。しかし驚くなかれ、約13kgあるこのアルミバイクで渋谷さんは平地の高速巡航をし、峠を攻め、ストラバのセグメントを狙いながら日々トレーニングに勤しんでいるのだ。

「過去最長距離は昨年10月の山伏峠(飯能)まで行った150kmです」と言う渋谷さんは、高校生になったら仲間と共に自転車部を作ってレースに出場することが目下のプランなのだという。ちなみに人生初レースは昨年12月の秋ヶ瀬の森バイクロア12のシングルスピード部門で済ませており、「でも落車してしまって…テクニックも大事だなと実感しました」と反省点を語ってくれた。

RDはターニー。ディレイラーガードを装備する
ペダルはタイムのビンディング


いま現在の目標は実業団に入り、ゆくゆくは海外に出てプロ選手になること。そして半ば強引に「夢はツール・ド・フランスで総合優勝です」という言質(げんち)を取りました(笑)。渋谷さんが走る海外レースのレポート記事をシクロワイアードで掲載する機会、心待ちにしております!



取材した場所:SAN-ESU BASE 羽根倉通り

今回突撃取材を敢行したのは昨年7月、荒川の羽根倉橋のたもとにオープンした「SAN-ESU BASE 羽根倉通り」。その名の通りアイディア溢れるプロダクトを提案する東京サンエスが手掛けるサイクリスト向けのコミュニティカフェ&ショールームで、オープンから半年で既に荒川サイクリストの憩いの場として定着したお店。カフェでは坂井社長の思いが詰まったソフトクリームをはじめ、スープなど季節メニューも充実。お近くの方はぜひ寄ってほしいところ(オープン時の訪問記事は下部リンクより)。

住所:埼玉県志木市上宗岡3-12-10
営業日等はこちらから

SAN-ESU BASE 羽根倉通り

text&photo:Naoki Yasuoka&Sotaro.Arakawa