ツーリング系のバイクとアクセサリーを展開するダボスが、日本のペダルメーカーMKSとコラボレーション。着脱が非常に容易なビンディングペダルUS-Sをダボスオリジナルのサンドベージュ、チャコールグレーカラーで彩った特別モデルだ。ツーリングにぴったりなビンディングペダルを紹介しよう。



ダボス×MKS US-S

高精度な加工技術を持ち、徹底した品質管理を行うことでハイクオリティなペダルを揃える日本のメーカー、三ヶ島ペタル(MKS)。国内外様々なブランドとコラボを行い、競輪だけではなくストリートカルチャーと結びつきの強いサイクリストからも支持を集めている存在だ。

様々な日本国内ブランドとコラボレーションを行っているダボスもまたその一つ。金属感を活かしたハイポリッシュなフラットペダルが並ぶMKSのラインアップは魅力だが、ダボスがコラボしたのはUS-Sというビンディングモデルだ。シマノSPD互換のビンディング機構を採用しているのだが、クリートをキャッチするパーツが左右に二分割されていることが特徴。

二分割されたクリート保持機構によってリリースしやすくなっている

分割されたパーツがそれぞれ働くことで、クリートリリースが用意となる

この二分割式のメリットはクリートをリリースする際に要する力が半減すること。SPD式のビンディング機構はクリートを外す時に足を捻ることで固定パーツが押し出され、あるポイントを超えるとクリートがリリースされる。US-Sでは左右に分割されることで、押し出されるパーツが左右のどちらか片方となるため、シューズの動く量が小さく、かつバネの力も半分となるため、簡単にクリートがリリースされるという仕組みだ。

US-Sを使ってみると「今までのはなんだったのか」と肩透かしを喰らうほどクリートのリリースがスムーズで、信号待ちで足を地面につくことが億劫にならない。そのフィーリングはSPDに慣れた身体に染みついた感覚から大きく離れるものであり、驚きを伴うものだった。一般的なSPDがパチンとリリースされるとしたら、US-Sはぬるりと外れ、気がついたら既に外れているような印象だ。

ユーザーがケージの有無を選択できる

ペダルのケージやクリートなどが付属する

それほど簡単に外れてしまうと逆に不安に感じるのも事実だが、実際には引き足のペダリングではクリートが外れてしまうことはない。しかしペダル上でシューズが左右にスライドする癖がある場合や、そういったダンシングを行う際はクリートが離れやすいので気をつけたい。とはいえ、これはバネの強さをコントロールすれば不安がなくなる程度に調整することが可能だ。

これらの性能を踏まえてユースケースを考えると、スピードを追い求めないツーリングでこそ活躍してくれるペダルだろう。遠くへ”速く”ライダーを運んでくれるロードバイクよりも、ダボスのネオランドナーD-604やM-605オールテレインのようなバイクでしっかりと走り込む時に丁度いい。

通常シャフトとEzyモデルが用意される

というのもビンディングペダルであることのメリットは、突如現れる段差などで足がペダルが離れないこと、峠の下りなどでしっかりとペダルに荷重しても滑らない安心感があること。近年のMTB用フラットペダルもピンや形状でビンディング同様の性能を実現しているが、ツーリング用で使うような柔らかいラバーのスニーカーなどに対してはピンによるダメージの影響は無視できない。グラベルの隆盛でオフロードシューズのラインアップがこれまで以上に充実しているため、ビンディングペダルとシューズの組み合わせでも問題なさそうだ。

またビンディングシューズに慣れていない期間や疲労困憊の時など、足を上手に撚れず立ちゴケしてしまった方も少なくないはずだ。筆者である私ももちろん経験しているからこそ「あの時、US-Sがあれば咄嗟に足を出せたかもしれないのに」と考えてしまう。ともかくビンディングに慣れていない初心者にもオススメしたいペダルなのは間違いない。

ダボス×MKS US-S

Ezyモデルはシャフトから抜くことが可能となる

ツーリストにおすすめしたいポイントとして、Ezyモデルも用意されていることを挙げたい。これは工具なしでクランクからペダルボディとスピンドルを分離できる機構で、輪行時に素早くペダルの脱着を行えることが魅力だ。ペダルを外しておけば輪行で自転車を抱えた時にペダルが体にヒットして痛い思いをしなくて済むし、一般的なペダルのように工具を使っての着脱をしなくて良くなるのは大きなアドバンテージだ。

ダボスとのコラボモデルでは特別カラーがあしらわれていることが特徴だ。通常モデルは黒いステップが装備されているのだが、コラボモデルではブラウンとグレーの2種類のステップが同梱されている。このカラーはダボスが推している色でもあり、様々なアイテムが登場しているため、ペダルを含めた統一感のあるコーディネートが可能になる。

ダボス×MKS US-S

ペダルボディ本体のパーツはシルバーではなく黒色であることもコラボモデルならではのポイント。メインボディを黒色とすることで、近年数多く用意されるシンプルカラーのフレームに装着してもペダルだけが”浮く”心配もない。アピールを控えめにするコラボUS-Sはクラシカルになりすぎないため、合わせるフレームカラーも選ばない。

また、US-Sを手に取る機会があればMKSらしい回転性能も体感してみてもらいたい。新品の間は少しざらっとする場合もあるが、使用し続ければ競輪選手も認める上質な滑らかさに近い回転性能を引き出すことができる。このスムーズな回転こそMKSらしさであり、サイクリング中思わずこの滑らかさに頬が緩んでしまうはずだ。

サイズはW64xL52mm(カバー装着時)、W69×L84(ケージ装着時)で、重量は433g(ノーマルモデル、カバー装着時)。ベアリングはシールドベアリングとブッシュベアリングの2種類が搭載される。価格はノーマル軸が10,670円(税込)、Ezyが14,740円(税込)。

ペダルケージを装着すれば、クリートキャッチしやすい



ダボス×MKS US-S
付属品:強化樹脂ケージ&カバー付属・クリート一式
サイズ:W64 x L52(カバー装着時)、W69×L84(ケージ装着時)
ベアリング:シールドベアリング&ブッシュ
重量:433g(ノーマルモデル、カバー装着時)
踏み面:両面
カラー:チャコールグレー、サンドベージュ
税込価格:ノーマル軸/10,670円、Ezy軸/14,740円

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