ジャイアントがファクトリーオフロードチームとタッグを組み開発を行うグラベルバイクのREVOLTシリーズ。今回はその上級モデルとなるREVOLT ADVANCED PRO1をインプレッション。グラベルレースでの実戦で鍛えられたマシンの実力に迫る。



ジャイアント REVOLT ADVANCED PRO1 ジャイアント REVOLT ADVANCED PRO1  photo:Makoto AYANO/cyclowired.jp
アメリカを中心に盛り上がるグラベルライディング。一言でグラベルと言っても、冒険心をくすぐるような奥地まで自転車で突き進むアドベンチャーライドから、200マイル(320km)を走破するレース/ライドイベントまで様々な遊び方があり、ライダー自身が好むスタイルで自由に楽しめる懐の深い自転車遊びだ。

もちろん機材面でも新たなフロンティアであり、各バイクブランドが多様なグラベルライディングにあわせた自転車やパーツをラインアップに揃え、年々充実し続けているカテゴリーでもある。世界最大の自転車ブランドであるジャイアント、そしてプレミアムパーツブランドのカデックスもまた、グラベル向けの新機材を続々と投入している。

しなりを活かす設計のD-Fuseテクノロジーを活かしたシートポストが装着されるしなりを活かす設計のD-Fuseテクノロジーを活かしたシートポストが装着される ダウンチューブのボトルケージ台座は上下2つのポジションを選択可能ダウンチューブのボトルケージ台座は上下2つのポジションを選択可能 幅広いタイヤを飲み込むフロントフォーク幅広いタイヤを飲み込むフロントフォーク


そんなジャイアントがラインアップするグラベルバイクがREVOLTシリーズ。新たなカテゴリーといいつつも、2022年モデルで既に第3世代となる、先駆け的な存在でもある。今作の特徴はレーシングバイクとして、完成度を高めたこと。ジャイアント・ファクトリー・オフロードチームに所属するグラベルライダーたちがテストに参加し、そのフィードバックを元に開発がすすめられた。

アンバウンドグラベルで好成績を残すジョシュア・ベリーは、グラベルレースはロードレースのように熾烈な争いになったという。そんな過酷なレースで少しでも速さを発揮するべく、新型REVOLTには様々なアップデートが施されている。

トップチューブも扁平形状で衝撃吸収性に優れるトップチューブも扁平形状で衝撃吸収性に優れる バックスイープしつつフレアする、グラベルバイクらしいハンドルを採用バックスイープしつつフレアする、グラベルバイクらしいハンドルを採用


トップチューブにもストレージマウントが用意されるトップチューブにもストレージマウントが用意される 50㎜幅タイヤも飲み込むフロントフォーク50㎜幅タイヤも飲み込むフロントフォーク


まず、最初に行われたのがレーシングバイクに欠かせない軽量化。重量面では前世代と比較してフレームとフォークの合計で160gもの軽量化を達成。200マイルも走るような超長距離レースでは軽さがアドバンテージとなってくれるだろう。

そして、グラベルバイクに欠かせない快適性ももちろん向上している。快適性を司るのはジャイアントが誇る振動吸収技術"D-Fuse"テクノロジー。手や腰にかかる負担をバイクの性能で低減することで、常に衝撃が加わる砂利道でもライダーのパフォーマンスが発揮されるはずだ。

新型REVOLTではD-Fuseシートポストが標準装備され快適性を確保しているが、30.9mmの丸型シートポストにも対応。言い換えるならば、ドロッパーシートポストを使用可能なスぺックとされている。軽量でトラクションに優れるD-Fuseポスト、よりアグレッシブに下りを攻める、あるいはアクティブなライドを楽しむシーンではドロッパーというように使い分けることも可能だ。

ボリュームのあるBB周り。レースにも対応する動力性能の核となるボリュームのあるBB周り。レースにも対応する動力性能の核となる フリップチップを採用したリアエンドフリップチップを採用したリアエンド


拡張性を意識した仕様は、リアエンドにも見て取れる。エンド部にフリップチップが搭載され、走行状況に合わせて車体をカスタマイズできるのだ。エンドパーツの方向を入れ替えることで、リアセンター長をショート(425mm)/ロング(435mm)の2種類から調整可能。

タイヤクリアランスも変化し、リアセンター長がショートの場合は42mm、ロングの場合は53mmに。スピードを求めたい場面では40mmほどのタイヤを、路面状況が悪いレースなどではより太いタイヤを装着するなど臨機応変に機材をチョイスできるのは、新型REVOLTのメリットである。

また、今作ではジオメトリーの変更も行われている。ジョシュア・ベリー曰く、ボトムブラケットの高さ変更が最も重要な要素とのことだ。ハンガー下がりを70mmから80mmへと増やすことで、重心を低くし、ハイスピード走行でもグリップ力を稼ぎやすく、また高速巡航の安定感を演出してくれるだろう。

シートステーは非常に細く高い快適性に寄与するシートステーは非常に細く高い快適性に寄与する ダウンチューブ裏にもボトルケージ台座が用意されるダウンチューブ裏にもボトルケージ台座が用意される フォークの左右にストレージ用のマウントが用意されているフォークの左右にストレージ用のマウントが用意されている


新型REVOLTはフォークの左右、トップチューブダウンチューブにストレージ用の台座が設けられており、超長距離ライドで多くの荷物を持ち運ぶことが可能。レースだけではなく、普段のグラベルライドでも活躍してくれるだろう。

今回インプレッションを行うのはカーボンモデルのハイエンドとなるREVOLT ADVENCED PRO 1。ADVANCEDカーボンのフレームに、ADVANCED-SLグレードのフォークを組合せ、走行性能を追求した一台だ。ジャイアントが誇るカーボンホイール"CXR-1"を履き、このままのパッケージでレースに出場可能なポテンシャルを有した一台だ。それではインプレッションに移ろう。


―インプレッション

「とにかく優しく、遊びたくなるマウンテンバイクのような一台」磯部聡(シクロワイアード編集部)

「とにかく優しく、遊びたくなるマウンテンバイクのような一台」磯部聡(シクロワイアード編集部)「とにかく優しく、遊びたくなるマウンテンバイクのような一台」磯部聡(シクロワイアード編集部)
ドロップハンドルのフルリジット・マウンテンバイクのような感覚があって、乗り味はフレームのしなりによって優しさを感じられるバイクでした。シングルトラックを攻めてみようとか、ロードバイクからグラベルに挑戦するビギナー、あるいはシクロクロスで細かく切り返すセクションを得意とする方にぴったりです。

それは上体が起き上がったライドポジションなので、息苦しくないし、乗っていて恐怖を感じにくいから。だからこそ初心者に合っていると思いました。あるいは超長距離を走った時、疲れ切って攻めたポジションを取れなくなるようなシチュエーションにおいて生きるジオメトリーと感じています。

時速30km以上のスピードを舗装路で出した後にグラベルに突入してもバイクが助けてくれるのも安心要素の一つですし、乗った瞬間からわかる優しい乗り味は、初心者から長距離走るライダーまでを助けてくれると思います。そのビギナーフレンドリーというのは完成車のパーツ構成からも感じ取れます。多くのメーカーはフロントシングルを採用しがちな車種ですが、あえてインナーローのギア比を1:1以下のフロントダブルとして、激坂での走りなどをサポートするのはビギナーを大事にするジャイアントらしさが出ています。

「乗っていて恐怖を感じにくいから初心者に合っている」磯部聡(シクロワイアード編集部)「乗っていて恐怖を感じにくいから初心者に合っている」磯部聡(シクロワイアード編集部)
ただ、ロングリーチ、ショートステムというマウンテンバイクと同じようなセッティングを考えるとオフロード遊びにステータスを振り分けたような印象がありますし、実際にそのような遊び方をしたくなるような自転車でした。試乗車に装着されていたタイヤは38Cのグラベルタイヤでしたが、シングルトラックなどで遊ぶ場合は40Cや45Cのノブ付きタイヤが欲しくなりましたね。

オフロードの急勾配登りなども試したのですが、体を動かしたい位置にサドルがあったので、マウンテンバイクのような遊び方をする場合はドロッパーシートポストを入れたいですね。そのためにD-FUSEシートポストだけじゃなく、丸型のシートポストも装着できるようになっているのでそういう意図があるのでしょう。

フレーム全体の快適性やジオメトリー設計によるアップライトなポジションから、舗装路、グラベル、シングルトラックどこでも優しさを感じるバイクでした。数あるグラベルバイクの中でも際立つ安心感は初心者を手助けてくれるはずです。


「乗っていて自然に笑顔になるような楽しさに満ちた一台」高木三千成(シクロワイアード編集部)

「乗っていて自然に笑顔になるような楽しさに満ちた一台」高木三千成(シクロワイアード編集部)「乗っていて自然に笑顔になるような楽しさに満ちた一台」高木三千成(シクロワイアード編集部)
すごく楽しいバイクですね、乗っていて自然に笑顔になるような、そんな一台です。このバイクであれば、どんな場所でも走っていけそうだな、と感じました。グラベルバイクって、ロードバイクとMTBの間のようなカテゴリーだと思いますが、このバイクはかなりMTB寄りの性格ですね。

実際にオフロードを走っていても、トラクションが抜けそうなセクションでしっかりと踏ん張ってくれるんですよ。この時期、落ち葉に覆われていて滑りそうなところでも安心して走れますし、とにかくスタビリティの高さ、トラクションの高さが楽しさに繋がっているのだと思います。

構造としてサスペンションのようなギミックを持っているわけではないですが、太めのタイヤとフレームの縦方向への柔軟性によって、この路面追従性を演出しているのでしょう。加えて、ハンドルポジションはアップライトで、荷重を後ろに配分しやすいジオメトリーもそういった乗り味に大きく寄与しているのだと思います。前後の荷重移動がやりやすいので、例えば丸太を越えるようなシーンで、前後に抜重する際も非常に軽快ですね。

アクション面での機敏さだけでなく、走行性能という面でもキビキビと良い走りを見せてくれます。特に、加速やコーナーなど、バイクを積極的に動かすようなシーンではとてもいいレスポンスを返してくれます。安定感があるので、ハイスピードでグラベルに突っ込んでいっても全然不安感が無いですね。オフロードに慣れていない人が、グラベルバイクに興味が出てきて検討するバイクとしては非常に良い選択となるでしょう。

「ちょっと難しいシングルトラックも走ってみたくなる」高木三千成(シクロワイアード編集部)「ちょっと難しいシングルトラックも走ってみたくなる」高木三千成(シクロワイアード編集部)
ジャイアントのグラベルカテゴリーではレースバイクとして位置づけられていますが、いわゆるロードレーサーとは異なる乗り味なのは間違いありません。他のブランドでは、もっとロードレーサー的なフィーリングを優先したモデルも出ていますし、実際今年のグラベル世界選手権では、エンデュランスロードで出場した選手も多かったですから、そういったカテゴリーのグラベルレーサーと比べると、少し土俵が違うように感じました。

それは想定しているコースの違いも大きいでしょう。舗装路を軽快に移動して、グラベルを繋いでいくような乗り方よりも、このバイクはよりグラベルの比率が多いライドで使いたいですね。それも、ちょっと難しいシングルトラックとかが混ざっていると楽しいでしょうね。

フレームやフォークにもたくさんマウントが用意されていますし、拡張性という面でも、アドベンチャーバイク的な使い方も視野に入ると思います。標準ではD形断面のD-Fuseポストがついていますが、真円ポストも使用できる設計になっているのでドロッパーを入れると、このバイクのポテンシャルを発揮できそうです。レースでも、ツーリングでも、色んなグラベルの楽しみ方をカバーできる守備範囲の広い一台でした。

ジャイアント REVOLT ADVANCED PRO1 ジャイアント REVOLT ADVANCED PRO1  photo:Makoto AYANO/cyclowired.jp
ジャイアント REVOLT ADVANCED PRO 1
フレーム:Advanced-Grade Composite OLD142mm,CONTACT SLR D-FUSE Composite Seat Post
フォーク:Advanced SL-Grade Composite,Full Composite OverDrive Column 12mm Axle
コンポーネント:SRAM RIVAL eTap AXS
ホイール:GIANT CXR 1 Hookless Carbon
タイヤ: CADEX AR TUBELESS 700x40C
価格:803,000円(税込)



インプレッションライダーのプロフィール

磯部聡(シクロワイアード編集部)磯部聡(シクロワイアード編集部) 磯部聡(シクロワイアード編集部)

CWスタッフ歴12年、参加した海外ブランド発表会は20回超を数えるテック担当。ロードの、あるいはグラベルのダウンヒルを如何に速く、そしてスマートにこなすかを探求してやまない。



高木三千成(シクロワイアード編集部)高木三千成(シクロワイアード編集部) 高木三千成(シクロワイアード編集部)

学連で活躍したのち、那須ブラーゼンに加入しJプロツアーに参戦。東京ヴェントスを経て、さいたまディレーブでJCLに参戦し、チームを牽引。シクロクロスではC1を走り、2021年の全日本選手権では10位を獲得した。

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