2022/12/29(木) - 12:12
2022年も残すところあと3日。海外ロードレースを振り返るプレイバックシリーズ前編は、ポガチャルの総合優勝で幕開けた2月のUAEツアーから、モホリッチのドロッパーシートポストが話題となったミラノ〜サンレモ、ヒンドレーが豪州人初制覇した5月のジロ・デ・イタリアまでを振り返ります。
例年ワールドツアーの初戦を飾ってきたツアー・ダウンアンダーが2年連続の中止となった2022年は、同じオーストラリアで開催されるカデル・エヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースも中止に。そのため今年もアラブ首長国連邦を舞台としたUAEツアーでシーズンが幕開けた。
ポガチャルが最高の滑り出しを見せた序盤戦
UAEツアー初日を制したヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
序盤好調のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)はツールではなくジロへ photo:CorVos
ジャネッティチーム代表やチームメイトに囲まれて勝利を喜ぶタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
UAEツアー初日を制したのは今シーズンはツール・ド・フランス最終ステージを含む9勝をマークし、世界最速スプリンターの呼び声高いヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)。2日目は昨年完全復活を遂げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)が幸先良い勝利を挙げ、総合優勝は来年チームメイトとなるアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)との激戦の末、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が大会2連覇を飾った。
ポガチャルはその後ストラーデビアンケを初制覇し、直後のティレーノ〜アドリアティコでも総合優勝するなど手のつけられない強さを発揮。ツール・ド・フランス3連覇に向けてこれ以上ないスタートを切った。
また、2月下旬はロシアによるウクライナ侵攻が自転車界にも波及した。UCI(国際自転車競技連合)の措置によりロシア籍のプロチーム「ガスプロム・ルスヴェロ」が事実上解散に追い込まれるなか、ウクライナ出身のマーク・パデュン(EFエデュケーション・イージーポスト)がグラン・カミーニョ(UCI2.1)の最終ステージで区間優勝。「母国の状況を考えると無邪気に喜ぶことはできないが、ウクライナを自転車選手という立場から励ましたい」と心の内を語った。
また、ロシア籍だったパヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ)は国籍をフランスに変更している。
モホリッチのドロッパーシートポストが驚かせたミラノ〜サンレモ
ミラノ〜サンレモ初制覇を遂げたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
ロンド・ファン・フラーンデレンを制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
アムステルゴールドレースで2度目の優勝を達成したミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
3月に入りいよいよクラシックシーズンが幕開けするなか、世界中のレースファンのみならずライダーたちの耳目も集めたのはマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)が初制覇したミラノ〜サンレモだろう。最後の”ポッジオ”の下りで飛び出したモホリッチは、自身が「速いし、安定するし、ミスを防ぐことに繋がる」というドロッパーポスト(乗車しながらサドルの高さを変更できるシートポスト)を導入し、ロードバイクに新たな可能性を提示した。
そして2021年の春から悩まされている背中の怪我から復活したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)がロンド・ファン・フラーンデレンを制し、アムステルゴールドレースはブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン)とハンドルを投げあったミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)が写真判定の結果、2度目の勝利を掴み取った。
しかしクフィアトコフスキはこの後のシーズンをコロナ感染や怪我に悩まされ「過去最悪のシーズンだった」と語るようにツール出場を回避している。
イネオスの組織力が光ったパリ〜ルーベ
両手を広げ勝利を喜ぶディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
石のトロフィーを手にしたディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
「北のクラシック」の最終戦であるパリ〜ルーベはファンデルプールとワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)のライバル対決が注目された。新城幸也が初出場したものの落車リタイアとなったレースはイネオス・グレナディアーズが展開を作り、残り20km地点での単独アタックを成功させたディラン・ファンバーレ(オランダ)が第119代王者に輝いた。
ちなみにファンバーレは来年ユンボ・ヴィスマに移籍。この大会を2位で終えたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)との共闘に注目が集まる。
ギルマイが輝き、ヒンドレーが嬉し涙を流したジロ
昨年ツールのマイヨジョーヌに続く、マリアローザに袖を通したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
集団スプリントでファンデルプールを下したビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:RCS Sport
10日間に渡りマリアローザを着用したフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) photo:CorVos
ファンデルプールが初日を制し、マリアローザに袖を通したジロ・デ・イタリア。序盤はカヴェンディッシュやアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)によるスプリントバトルに湧き、第10ステージではファンデルプールとの一騎打ちを制したビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が、アフリカ出身黒人選手初のグランツール区間勝者に輝くメモリアルなジロ前半戦となった。
ファンデルプールからフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)、そしてリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)へと渡ったマリアローザ(総合首位)を巡る争いは、世界遺産ドロミテを舞台とする第20ステージに持ち込まれた。第19ステージ終了時点で総合首位カラパスとジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)のタイム差は僅か3秒。アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が逃げ切り勝利を決めるなか、カラパスがボーラの猛攻に屈し、ヒンドレーが総合首位に躍り出た。
第105代ジロ総合覇者に輝いたジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sport
最終第21ステージの個人タイムトライアルでリードを守ったヒンドレーが総合優勝。最終個人TTで逆転負けした2020年大会の悪夢を払拭し、ヒンドレーはオーストラリア人として初めてマリアローザとトロフェオセンツァフィーネを受け取った。
6〜10月のプレイバック後編はこちら。
例年ワールドツアーの初戦を飾ってきたツアー・ダウンアンダーが2年連続の中止となった2022年は、同じオーストラリアで開催されるカデル・エヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースも中止に。そのため今年もアラブ首長国連邦を舞台としたUAEツアーでシーズンが幕開けた。
ポガチャルが最高の滑り出しを見せた序盤戦
![UAEツアー初日を制したヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/02/21/corvos00033966-076.jpeg)
![序盤好調のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)はツールではなくジロへ](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/02/22/corvos00033976-063.jpeg)
![ジャネッティチーム代表やチームメイトに囲まれて勝利を喜ぶタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/02/26/corvos00033991-020.jpeg)
UAEツアー初日を制したのは今シーズンはツール・ド・フランス最終ステージを含む9勝をマークし、世界最速スプリンターの呼び声高いヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)。2日目は昨年完全復活を遂げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)が幸先良い勝利を挙げ、総合優勝は来年チームメイトとなるアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)との激戦の末、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が大会2連覇を飾った。
ポガチャルはその後ストラーデビアンケを初制覇し、直後のティレーノ〜アドリアティコでも総合優勝するなど手のつけられない強さを発揮。ツール・ド・フランス3連覇に向けてこれ以上ないスタートを切った。
また、2月下旬はロシアによるウクライナ侵攻が自転車界にも波及した。UCI(国際自転車競技連合)の措置によりロシア籍のプロチーム「ガスプロム・ルスヴェロ」が事実上解散に追い込まれるなか、ウクライナ出身のマーク・パデュン(EFエデュケーション・イージーポスト)がグラン・カミーニョ(UCI2.1)の最終ステージで区間優勝。「母国の状況を考えると無邪気に喜ぶことはできないが、ウクライナを自転車選手という立場から励ましたい」と心の内を語った。
また、ロシア籍だったパヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ)は国籍をフランスに変更している。
モホリッチのドロッパーシートポストが驚かせたミラノ〜サンレモ
![ミラノ〜サンレモ初制覇を遂げたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/03/20/corvos00034062-148.jpeg)
![ロンド・ファン・フラーンデレンを制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/04/04/probike-fuji-1-1.jpeg)
![アムステルゴールドレースで2度目の優勝を達成したミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/04/11/agr-o634jpg0.jpeg)
3月に入りいよいよクラシックシーズンが幕開けするなか、世界中のレースファンのみならずライダーたちの耳目も集めたのはマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)が初制覇したミラノ〜サンレモだろう。最後の”ポッジオ”の下りで飛び出したモホリッチは、自身が「速いし、安定するし、ミスを防ぐことに繋がる」というドロッパーポスト(乗車しながらサドルの高さを変更できるシートポスト)を導入し、ロードバイクに新たな可能性を提示した。
そして2021年の春から悩まされている背中の怪我から復活したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)がロンド・ファン・フラーンデレンを制し、アムステルゴールドレースはブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン)とハンドルを投げあったミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)が写真判定の結果、2度目の勝利を掴み取った。
しかしクフィアトコフスキはこの後のシーズンをコロナ感染や怪我に悩まされ「過去最悪のシーズンだった」と語るようにツール出場を回避している。
イネオスの組織力が光ったパリ〜ルーベ
![両手を広げ勝利を喜ぶディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/04/18/corvos00034154-577.jpeg)
![石のトロフィーを手にしたディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/04/18/corvos00034154-619.jpeg)
「北のクラシック」の最終戦であるパリ〜ルーベはファンデルプールとワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)のライバル対決が注目された。新城幸也が初出場したものの落車リタイアとなったレースはイネオス・グレナディアーズが展開を作り、残り20km地点での単独アタックを成功させたディラン・ファンバーレ(オランダ)が第119代王者に輝いた。
ちなみにファンバーレは来年ユンボ・ヴィスマに移籍。この大会を2位で終えたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)との共闘に注目が集まる。
ギルマイが輝き、ヒンドレーが嬉し涙を流したジロ
![昨年ツールのマイヨジョーヌに続く、マリアローザに袖を通したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/05/07/giro-22-1-100109jpg.jpeg)
![集団スプリントでファンデルプールを下したビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/05/18/282095463101589635248432475040513881112543733n.jpeg)
![10日間に渡りマリアローザを着用したフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/05/18/giro-102554jpg.jpeg)
ファンデルプールが初日を制し、マリアローザに袖を通したジロ・デ・イタリア。序盤はカヴェンディッシュやアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)によるスプリントバトルに湧き、第10ステージではファンデルプールとの一騎打ちを制したビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が、アフリカ出身黒人選手初のグランツール区間勝者に輝くメモリアルなジロ前半戦となった。
ファンデルプールからフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)、そしてリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)へと渡ったマリアローザ(総合首位)を巡る争いは、世界遺産ドロミテを舞台とする第20ステージに持ち込まれた。第19ステージ終了時点で総合首位カラパスとジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)のタイム差は僅か3秒。アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が逃げ切り勝利を決めるなか、カラパスがボーラの猛攻に屈し、ヒンドレーが総合首位に躍り出た。
![第105代ジロ総合覇者に輝いたジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2022/05/30/285141925101589842470132474084647029494155001n0.jpeg)
最終第21ステージの個人タイムトライアルでリードを守ったヒンドレーが総合優勝。最終個人TTで逆転負けした2020年大会の悪夢を払拭し、ヒンドレーはオーストラリア人として初めてマリアローザとトロフェオセンツァフィーネを受け取った。
6〜10月のプレイバック後編はこちら。
2022年シーズン男子主要レース結果一覧【1月〜5月】
2月20日〜29日 | UAEツアー | 総合優勝:タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
3月5日 | ストラーデビアンケ | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
3月6〜13日 | パリ〜ニース | 総合優勝:プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) |
3月7〜13日 | ティレーノ〜アドリアティコ | 総合優勝:タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
3月19日 | ミラノ〜サンレモ | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) |
4月3日 | ロンド・ファン・フラーンデレン | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) |
4月10日 | アムステルゴールドレース | ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ) |
4月17日 | パリ〜ルーベ | ディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) |
4月20日 | ラ・フレーシュ・ワロンヌ | ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) |
4月24日 | リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) |
5月6日〜29日 | ジロ・デ・イタリア | 総合優勝:ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) |
text:Sotaro.Arakawa
Amazon.co.jp
Choice GOLDEN WHEY (ゴールデンホエイ) ホエイプロテイン【鮮度を保つ真空パック】 [ 乳酸菌ブレンド/人工甘味料不使用 ] GMOフリー タンパク質摂取 グラスフェッド (プロテイン/国内製造) 天然甘
CHOICE NUTRITION ( チョイス ニュートリション )
¥5,980 (¥5,980 / 個)
Choice GOLDEN ISOLATE (ゴールデンアイソレート) ホエイプロテイン【鮮度を保つ真空パックにリニューアル】 [ 乳酸菌ブレンド/人工甘味料不使用 ] GMOフリー 天然甘味料 ステビア タンパク質 乳酸
CHOICE NUTRITION ( チョイス ニュートリション )
¥6,980 (¥6,980 / 個)
チョイス SILVER WHEY (シルバーホエイ) ホエイプロテイン 抹茶 (1.05kg) GMOフリー/人工甘味料不使用/粉末 ドリンク グラスフェッド プロテイン
CHOICE NUTRITION ( チョイス ニュートリション )
¥4,980 (¥4,980 / 個)