瀬戸内地域とその周辺地域を、世界一のサイクリングエリアにしたいという思いを込めて始動したプロジェクト「Setouchi Vélo(せとうちヴェロ)」が、Setouchi Vélo来島海峡会議で正式発表され、協議会も設立された(記事前編参照)。後編ではその具体的な内容について見ていこう。



現役選手でありながら、社長業、アドバイザー、タレントもこなすMTBのプロライダー門田基志氏(TEAM GIANT) 現役選手でありながら、社長業、アドバイザー、タレントもこなすMTBのプロライダー門田基志氏(TEAM GIANT) photo:Shiho DOHI
Setouchi Véloの設立、推進に欠かせない人物が、MTBのプロライダー門田基志氏(TEAM GIANT)だ。今回のSetouchi Véloだけでなく、愛媛県自転車新文化推進スーパーバイザーを務めたり、何より今治出身今治在住として、自転車イベントの企画進行や映像などでの情報発信、自転車安全講習の実施などに取り組んでおり、「この男なくしてはしまなみ海道なし」と言っても過言ではないほどの存在だ。

Setouchi Véloを牽引するにあたり、門田氏の頭にイメージされていたのは、ヨーロッパの広域サイクリングルート「ユーロヴェロ」の国境なきサイクリングワールドだ。2018年に実際にユーロヴェロを視察した門田氏は、Setouchi Véloでも県境のないサイクリングルートを目指すという。

Setouchi Vélo協議会設立総会でヨーロッパの広域サイクリングルート「ユーロヴェロ」について特別講演をした門田氏Setouchi Vélo協議会設立総会でヨーロッパの広域サイクリングルート「ユーロヴェロ」について特別講演をした門田氏 photo: Setouchi Vélo
「サイクリストにとっては、道は1本です。しまなみ海道、ゆめしま海道、さざなみ海道、とびしま海道など、しまなみ海道周辺には様々なサイクリングルートがありますが、サイクリストはそれを一筆書きで走ります。そこに境目があってはならない。そして、どのルート上にいても、同様の案内板やルートラインがあり、同レベルのサービスが受けられるように。Setouchi Véloはそれを目指さなければならない」と門田氏。

しかし、折しも各自治体が自転車施策を立ち上げている昨今。会議を重ねて決めたピクトやルートラインの色などを、自治体を超えて統一するのは難しいのではないか。門田氏は続ける。「実はすでに、しまなみ海道周辺はほぼ同じピクトが採用されており、ルートラインもブルーで引かれています。

また、台湾には外環を一周するサイクリングルートがありますが、あれは台湾の方がしまなみ海道に視察に来られ、整備を進められました。なので、台湾一周サイクリングルートのピクトやサインなどはしまなみ海道とよく似ています。これを例にとっても、このSetouchi Véloの取り組みは、世界標準になる可能性だってあると思うんですよ」

MTBのジャージ姿とは違い、パリッとしたスーツ姿で登壇した門田氏。県知事をはじめとした各界の重鎮たちが耳を傾けるMTBのジャージ姿とは違い、パリッとしたスーツ姿で登壇した門田氏。県知事をはじめとした各界の重鎮たちが耳を傾ける photo: Setouchi Vélo
現在、Setouchi Véloが包括するサイクリングルートはSetouchi Véloの公式サイトにある84ルート。地図を見ても一目瞭然だが、今は各ルートが独立している状態だ。これを一筆書きで結び、サイクリストが好きなルートを幾通りも組み合わせられるようにするのが、Setouchi Véloの使命であり、それがキャッチフレーズの「one setouchi,each story.」(ひとつの瀬戸内、それぞれのストーリー。)に繋がる。そしてゆくゆくは、日本中のルートが、ひとつになること……それがサイクリストにとってイチバンと言えよう。門田氏もそれを目指しているという。

また今回のSetouchi Véloを民間側で牽引していくのが本州四国連絡高速道路株式会社(以下、本四高速)だ。「高速道路の会社が自転車?」と思われがちだが、しまなみ海道を走るときにお世話になっている橋は、この本四高速の管理下にあるのだ。

橋ができた当初は徴収していた自転車の通行料も、あるときから無料化して以来、サービス延長、延長を重ね、もはや料金が必要だということを忘れてしまうほどになってしまった(無料化ありがとうございます!)。つまり、高速道路の会社もサイクリストウェルカムの姿勢なのである。

来島海峡大橋の主塔上部。サイクリングの途中にこんなアクティビティを組み込めたら、素晴らしい思い出が1つ増えることだろう来島海峡大橋の主塔上部。サイクリングの途中にこんなアクティビティを組み込めたら、素晴らしい思い出が1つ増えることだろう photo: Setouchi Vélo
そして、Setouchi Véloの推進と同時に本四高速が力を入れていくのが、橋の塔頂体験。普段は登ることができない橋の主塔に登り、橋を上から見下ろしたり、360度の多島美を楽しんだりできる体験型観光パッケージだ。これは国土交通省が推進している「インフラツーリズム」のひとつで、既存のインフラを観光資源として活用しようという流れに沿っている。

他のインフラでもダム放流見学や空港見学などがなじみ深いだろう。普段、どこにサイクリングへ出かけるかを決める際、「走る以外に何ができるか?」も重要になるが、しまなみ海道を走れば、海の上を走れるだけでなく、主塔に登るというさらなる異次元の体験もできるというわけだ。

海の上を走れるしまなみ海道というだけでも異次元の体験であるのに、その橋を上から臨めるとは! 瀬戸内の多島美を楽しむ最上級の経験だ海の上を走れるしまなみ海道というだけでも異次元の体験であるのに、その橋を上から臨めるとは! 瀬戸内の多島美を楽しむ最上級の経験だ photo: Setouchi Vélo
その幅広い体験を老若男女に味わってもらうために、このSetouchi Véloではe-bikeの活用を提言している点にも触れておきたい。海外では、サイクリングを純粋に楽しむ手段として、もう10年以上前からe-bikeがスタンダードになっている。登坂の苦しみが軽減されるのだから、MTBのe-bikeでアルプス山脈のトレイルライドを実現させることだって可能だ。

しまなみ海道は75kmほどで尾道~今治間を走ることができるが、これがe-bikeで行けるなら、より多くの年代の人がその素晴らしい体験を受け取ることができるだろう。ただ、国内でのe-bikeのアシスト制限は海外のそれより厳しい。ある程度のスピードと登坂力をもう少し得ることができれば、健脚サイクリスト並みの走りを楽しむことができるだろう。その制限については中村時広愛媛県知事も指摘するところで、今後の課題となりそうだ。

Setouchi Véloトライアルライドの前には、e-bikeの基本的な操作説明と、安全に乗るためのレクチャーがおこなわれた Setouchi Véloトライアルライドの前には、e-bikeの基本的な操作説明と、安全に乗るためのレクチャーがおこなわれた photo: Setouchi Vélo
様々な魅力と夢が詰まったSetouchi Vélo。これを夢物語で終わらせないよう、先述の門田氏をはじめとするサイクリストが、現在、Setouchi Vélo包括ルートのトライアルライドに出かけている。当サイトでも前編後編と2回に渡って実走レポートをしたが、コースの問題点やどこに何が必要かなど、実際に走って体感して、中村時広愛媛県知事の言う「磨き込み」をしている。この点を見ても、Setouchi Véloがどれだけ骨太なプロジェクトかがうかがえる。ぜひ注目していきたい。

text&photo:Shiho DOHI
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