ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)がCX復帰した「コッペンベルグクロス」。男子エリートレースでラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が今季待望の勝利を挙げた。



最大勾配22%のコッペンベルグを毎周回登る過酷なコースレイアウト最大勾配22%のコッペンベルグを毎周回登る過酷なコースレイアウト photo:CorVos
UCIワールドカップとスーパープレスティージュと並ぶシクロクロス3大シリーズの一つ「X2Oバドカマートロフェー」が開幕。着順によるポイントではなく、フィニッシュタイムの累積で総合ランキングを決める戦いであり、今年は11月1日のコッペンベルグクロスに始まり、2月19日のブリュッセル自由大学シクロクロスで終わる合計8戦が用意されている。
X2Oバドカマートロフェー2022-2023レースカレンダー
第1戦 11月1日 オウデナールデ/コッペンベルグクロス(ベルギー)
第2戦 11月26日 コルトレイク/アーバンクロス(ベルギー)
第3戦 1月1日 バール/GPスヴェンネイス(ベルギー)
第4戦 1月3日 へレンタルス(ベルギー)
第5戦 1月5日 コクサイデ/フラームスドゥイネンクロス(ベルギー)
第6戦 1月28日 ハンメ/フランドリアンクロス(ベルギー)
第7戦 2月12日 リール/クワラテンクロス(ベルギー)
第8戦 2月19日 ブリュッセル/ブリュッセル自由大学シクロクロス(ベルギー)
2日前にマースメヘレンでのUCIワールドカップ第4戦を走り終えた選手たちは、その足でロンド・ファン・フラーンデレンでお馴染みのオウデナールデへと移動。悪名高き石畳の激坂コッペンベルグ(登坂距離500m/最大勾配22%)を組み込んだ名物レース「コッペンベルグクロス」へと挑んだ。

フェランプレヴォがCX復帰した女子エリート:ファンエンペルが独走勝利

絶好調フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が再び勝利絶好調フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が再び勝利 photo:CorVos
この日は3年ぶり(本気で取り組むシーズンとしては5年ぶり)のシクロクロス参戦となったポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)が 新規加入したイネオス・グレナディアーズジャージ姿を初披露。今年MTBで世界選手権3冠、さらにグラベル世界選手権でも優勝し、世界選手権合計4冠というオフロード界最強女子選手のシクロクロス復帰は大きな注目を集めた。

レースは序盤からデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)らのペースアップによって先頭グループが絞られ、絶好調フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)とシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が追従。登坂力がモノを言うコースで、すぐさまファンエンペルが独走体制を築き上げた。

チェーントラブルに見舞われたバイクを担いでフィニッシュするポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)チェーントラブルに見舞われたバイクを担いでフィニッシュするポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
3大シリーズ全てで個人ランキング首位に立ったフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)3大シリーズ全てで個人ランキング首位に立ったフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos
「あんなに早く一人になるとは考えていなかったけれど、脚の感触が良かった。土曜日のヨーロッパ選手権に向けて良いトレーニングレースになった」と言うファンエンペルは、ライバルのパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)不在のレースで難なく勝利。2位はベッツェマ、3位はファンアンローイ。

ほぼ最後尾、44番手からスタートしたフェランプレヴォは一気に7番手までポジションを上げたものの、合計3回ものチェーントラブルに見舞われ、最後はコッペンベルグを歩いて12位フィニッシュ。「CXバイクに4日間しか乗ってなかったし、シューズも石畳で滑ってうまく歩けなかったけれど、あくまで目標は2月の世界選手権。色々なチェックができて良かった」と話している。



男子エリート:イゼルビットを下し、ファンデルハールが今季3大シリーズ初勝利

先頭グループを組むイゼルビット、ファントーレンハウト、ファンデルハール先頭グループを組むイゼルビット、ファントーレンハウト、ファンデルハール photo:CorVos
ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)不在の男子エリートレースは、今季(レース外コメントも含めて)拮抗した戦いを繰り広げているラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)とエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が再び接戦を繰り広げた。

互いに激しいアタック合戦を仕掛けるうちに先頭グループが絞り込まれ、マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) がアタックして独走に持ち込む。2対1と劣勢になったファンデルハールはこの動きを「マイケルより僕の方が今日は脚があると思っていた。エリのカウンターアタックを防ぐためにもすぐ彼を捉えたくなかった」と見送り、冷静にレースを組み立てた。

ファンデルハールはコッペンベルグでファントーレンハウトを捉えたものの、2番手走行中の下りコーナーでタイヤを滑らせて転倒。しかし集中力を切らさず追走し、フィニッシュラインが頂上に待つ最後のコッペンベルグでファントーレンハウトを追い抜くと共にイゼルビットを突き放した。

ライバル2人を引き離してフィニッシュするラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)ライバル2人を引き離してフィニッシュするラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos
今季初勝利を挙げたラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)今季初勝利を挙げたラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos
「とても幸せな気分だ。キャリアで一度このレースを勝っておきたかったから」と喜ぶファンデルハールにとって今季の3大シリーズ戦初勝利。大きく助走をつけ、2連覇が期待される今週末のヨーロッパ選手権に挑むこととなった。「このジャージを着る最後のレースで勝てたことを誇りに思う。2連覇できるよう全力を尽くしたい」と加えている。
X2Oバドカマートロフェー2022-2023第1戦男子エリート結果
1位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 1:03:30
2位 エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:05
3位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:11
4位 イェンス・アダムス(ベルギー) +0:34
5位 ピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +1:01
6位 ランダー・ルークス(ベルギー、デスハフト・ヘンス・マース) +1:18
7位 ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +1:26
8位 トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) +1:48
9位 トーマス・メイン(イギリス、ホープファクトリーレーシング) +2:13
10位 ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) +2:23
X2Oバドカマートロフェー2022-2023第1戦女子エリート結果
1位 フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 45:19
2位 デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:52
3位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +1:14
4位 クララ・ホンシンガー(アメリカ、EFエデュケーション・ティブコSVB) +2:04
5位 マリー・シュライバー(ルクセンブルク、トルマンスシクロクロスチーム) +2:44
6位 アニック・ファンアルフェン(オランダ、777) +3:10
7位 イザベラ・ホルムグレン(カナダ) +4:36
8位 キオナ・クラッベ(ベルギー、クレラン・フリスタッズ) +4:39
9位 アバ・・ホルムグレン(カナダ) +4:41
10位 エラ・マクリーンホーエル(イギリス) +4:43
text:So Isobe