ペイラギュードの山岳個人タイムトライアルで、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が圧巻の走り。ヴィンゲゴーを36秒上回る驚異的なタイムで区間4勝目を飾り、総合優勝に向けたリードを4分7秒まで拡大させた。

出走前に談笑する選手たち photo:A.S.O.

第13ステージ ルダンヴィエル〜ペイラギュード image:A.S.O. 7月18日(金)第13ステージ
ルダンヴィエル〜ペイラギュード(個人TT)
距離:10.9km
獲得標高差:650m
天候:晴れ
気温:24度
ツール・ド・フランスはピレネー山脈での戦い2日目。第13ステージの距離はわずか10.9kmながら、1級山岳ペイラギュード(距離8km/平均7.9%)をひたすら登り続ける、過酷な山岳個人タイムトライアルだ。平坦区間はスタートから2.9kmで終わり、すぐに平均勾配8.1%の登坂が始まる。フラムルージュ(残り1km地点)をくぐると、2つのヘアピンカーブを経て高原飛行場の滑走路へ。そしてフィニッシュ手前には、最大16%の激坂が選手たちを待ち構える。
出発地点であるルダンヴィエルの追い風に押されて飛び出したのは、171名の選手たち。総合最下位のマッテオ・ヴェルシェ(フランス、トタルエネルジー)から順にスタートし、序盤の出走組ではレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット)が好タイムを記録する。しかし、TTオーストラリア王者であるルーク・プラップ(ジェイコ・アルウラー)が走り出すと、ノーマルヘルメットにロードバイクという選択で24分58秒の暫定トップタイムを叩き出した。

ステージ5位:ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

ステージ9位:レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.
平均時速26.2km/hを維持したプラップのタイムには、繰り下げでマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着るレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)も23秒及ばない。そしてプラップは総合上位勢が登場するまで、長らくホットシートの主となった。
アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)がトップタイムに17秒迫る好走を見せ、いよいよ総合上位勢が続々と走り出す。なかでも前日に失速し、総合5位から10位まで順位を落としたマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)は、1級山岳ペイラギュードに設定された2つの中間計測(4km、7.6km)でトップタイムをマーク。プラップより僅か4秒遅れながらも最終的に区間6位に入り、復調をアピールした。

ステージ3位:プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

ステージ4位:フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
そして、ついにプラップのタイムを更新したのはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)だった。総合は7分30秒遅れの7位と遅れている東京五輪TT金メダリストは、ノーマルヘルメットにTTバイクを選択。第2計測で暫定トップに立つと、最後までペースを落とすことなく、プラップを37秒も上回る24分20秒の最速タイムでフィニッシュした。
その後もオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)やケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)がトップ10に入る走りを見せるなか、総合4位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はログリッチに36秒と迫る好タイムをマーク。そしていよいよ、総合3位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がスタートした。
ログリッチと同じノーマルヘルメット&TTバイクで勢い良く走り出した現TT世界王者は、第1計測のトップタイムを10秒も更新。しかし本格的な登りが始まると失速し、ギヤチェンジに苦戦する場面も。ジャージのジッパーを下げて懸命にリズムを取り戻そうとしたが、「木曜は良い日ではなかったが、今日はさらに悪かった」とレース後に語ったように、最後まで苦しい表情のままだった。

ステージ2位:ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

フィニッシュ手前でエヴェネプールを追い抜いたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.
対照的に、圧巻の走りを見せたのが総合2位から巻き返しを狙うヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)だった。特徴的なフォルムのTTヘルメットとTTバイクでスタートすると、第2計測を暫定トップタイムで通過。軽快なダンシングを織り交ぜて終盤の激坂を駆け上がり、フィニッシュ手前50mで先行するエヴェネプールを追い抜くと、ログリッチのタイムを36秒更新するトップタイムを叩き出した。
しかし、この日の主役はマイヨジョーヌだった。最終出走者のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)は、「これまでの感覚を変えたくなかった」と、ヴィンゲゴーとは対照的にノーマルヘルメットにロードバイクをチョイス。第1計測はエヴェネプールの最速タイムを4秒更新し、勾配と暑さを感じさせない軽やかなペダリングで、残り3.3km地点の第2計測ではヴィンゲゴーを23秒も上回った
「フィニッシュ地点のタイム表示が背中を押してくれた」と語る通り、ラストの激坂でさらに加速。ヴィンゲゴーのタイムを36秒も更新する、23分フラットという驚異的なタイムでフィニッシュラインを駆け抜け、ガッツポーズを見せた。

圧巻のタイムを叩き出したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

ステージ4勝目を手に入れたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
前日に続く2連勝で今大会4勝目を飾ったポガチャルは、「昨年の12月からこのTTを懸念していたのでとても嬉しい。可能な限り強くペダルと踏み続け、最後は脚がなくなる直前まで追い込んだ。作戦は”最初から最後までフルガス(全力)”だったので、一つ目の中間計測から無線は外していた」と、レースを振り返った。
一方、3分31秒だった差が4分7秒まで拡大した総合2位ヴィンゲゴーは、「キャリア最高の走りの一つ。残念な結果に終わった前日とは違い、今日は全力を出し切れた。ただ、今日は彼(ポガチャル)が最も強く、誰もよりも勝者にふさわしい」とライバルを称賛。また総合3位のエヴェネプールとの差は7分24秒まで広がり、ポガチャルが第13ステージにして総合優勝をまた大きく引き寄せた。

ステージ2位だったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

マイヨジョーヌのリードを拡大したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

苦しみながらもマイヨブランを守ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.


ルダンヴィエル〜ペイラギュード(個人TT)
距離:10.9km
獲得標高差:650m
天候:晴れ
気温:24度
ツール・ド・フランスはピレネー山脈での戦い2日目。第13ステージの距離はわずか10.9kmながら、1級山岳ペイラギュード(距離8km/平均7.9%)をひたすら登り続ける、過酷な山岳個人タイムトライアルだ。平坦区間はスタートから2.9kmで終わり、すぐに平均勾配8.1%の登坂が始まる。フラムルージュ(残り1km地点)をくぐると、2つのヘアピンカーブを経て高原飛行場の滑走路へ。そしてフィニッシュ手前には、最大16%の激坂が選手たちを待ち構える。
出発地点であるルダンヴィエルの追い風に押されて飛び出したのは、171名の選手たち。総合最下位のマッテオ・ヴェルシェ(フランス、トタルエネルジー)から順にスタートし、序盤の出走組ではレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット)が好タイムを記録する。しかし、TTオーストラリア王者であるルーク・プラップ(ジェイコ・アルウラー)が走り出すと、ノーマルヘルメットにロードバイクという選択で24分58秒の暫定トップタイムを叩き出した。


平均時速26.2km/hを維持したプラップのタイムには、繰り下げでマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着るレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)も23秒及ばない。そしてプラップは総合上位勢が登場するまで、長らくホットシートの主となった。
アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)がトップタイムに17秒迫る好走を見せ、いよいよ総合上位勢が続々と走り出す。なかでも前日に失速し、総合5位から10位まで順位を落としたマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)は、1級山岳ペイラギュードに設定された2つの中間計測(4km、7.6km)でトップタイムをマーク。プラップより僅か4秒遅れながらも最終的に区間6位に入り、復調をアピールした。


そして、ついにプラップのタイムを更新したのはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)だった。総合は7分30秒遅れの7位と遅れている東京五輪TT金メダリストは、ノーマルヘルメットにTTバイクを選択。第2計測で暫定トップに立つと、最後までペースを落とすことなく、プラップを37秒も上回る24分20秒の最速タイムでフィニッシュした。
その後もオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)やケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)がトップ10に入る走りを見せるなか、総合4位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はログリッチに36秒と迫る好タイムをマーク。そしていよいよ、総合3位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がスタートした。
ログリッチと同じノーマルヘルメット&TTバイクで勢い良く走り出した現TT世界王者は、第1計測のトップタイムを10秒も更新。しかし本格的な登りが始まると失速し、ギヤチェンジに苦戦する場面も。ジャージのジッパーを下げて懸命にリズムを取り戻そうとしたが、「木曜は良い日ではなかったが、今日はさらに悪かった」とレース後に語ったように、最後まで苦しい表情のままだった。


対照的に、圧巻の走りを見せたのが総合2位から巻き返しを狙うヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)だった。特徴的なフォルムのTTヘルメットとTTバイクでスタートすると、第2計測を暫定トップタイムで通過。軽快なダンシングを織り交ぜて終盤の激坂を駆け上がり、フィニッシュ手前50mで先行するエヴェネプールを追い抜くと、ログリッチのタイムを36秒更新するトップタイムを叩き出した。
しかし、この日の主役はマイヨジョーヌだった。最終出走者のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)は、「これまでの感覚を変えたくなかった」と、ヴィンゲゴーとは対照的にノーマルヘルメットにロードバイクをチョイス。第1計測はエヴェネプールの最速タイムを4秒更新し、勾配と暑さを感じさせない軽やかなペダリングで、残り3.3km地点の第2計測ではヴィンゲゴーを23秒も上回った
「フィニッシュ地点のタイム表示が背中を押してくれた」と語る通り、ラストの激坂でさらに加速。ヴィンゲゴーのタイムを36秒も更新する、23分フラットという驚異的なタイムでフィニッシュラインを駆け抜け、ガッツポーズを見せた。


前日に続く2連勝で今大会4勝目を飾ったポガチャルは、「昨年の12月からこのTTを懸念していたのでとても嬉しい。可能な限り強くペダルと踏み続け、最後は脚がなくなる直前まで追い込んだ。作戦は”最初から最後までフルガス(全力)”だったので、一つ目の中間計測から無線は外していた」と、レースを振り返った。
一方、3分31秒だった差が4分7秒まで拡大した総合2位ヴィンゲゴーは、「キャリア最高の走りの一つ。残念な結果に終わった前日とは違い、今日は全力を出し切れた。ただ、今日は彼(ポガチャル)が最も強く、誰もよりも勝者にふさわしい」とライバルを称賛。また総合3位のエヴェネプールとの差は7分24秒まで広がり、ポガチャルが第13ステージにして総合優勝をまた大きく引き寄せた。



ツール・ド・フランス2025第13ステージ
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 23:00 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:36 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:20 |
4位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:56 |
5位 | ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +1:58 |
6位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | + 2:02 |
7位 | オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) | + 2:06 |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG) | +2:15 |
9位 | レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:21 |
10位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +2:22 |
11位 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) | +2:35 |
12位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +2:39 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 45:45:51 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +4:07 |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +7:24 |
4位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +7:30 |
5位 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) | +8:11 |
6位 | オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) | +8:15 |
7位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +8:50 |
8位 | トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | +10:36 |
9位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +11:43 |
10位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +14:15 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 231pts |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 203pts |
3位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | 173pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 37pts |
2位 | レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 27pts |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 27pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 45:53:15 |
2位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:06 |
3位 | オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) | +0:47 |
チーム総合成績
1位 | ヴィスマ・リースアバイク | 137:47:08 |
3位 | UAEチームエミレーツXRG | +18:21 |
2位 | アルケア・B&Bホテルズ | +29:58 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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