Jプロツアー第17戦「かすみがうらロードレース」は、完走率3割のサバイバルレースをホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が制し、昨年3月以来1年半ぶりの優勝を決めた。女子は福山舞(湾岸サイクリング・ユナイテッド)が優勝した。



かすみがうら市歴史博物館前をスタートかすみがうら市歴史博物館前をスタート photo:Satoru Kato
2022年シーズンのJプロツアーは、今大会を含め残すところあと2戦。第17戦かすみがうらロードレースは、今季最後のロードレースとなる(最終戦は今治クリテリウム)。

前日に行われたタイムトライアルに引き続き、広大な霞ヶ浦の湖畔を走る1周4.8kmの公道コースは、およそ8割が平坦路。急激に狭まるコース幅や直角コーナーの連続など、減速と加速を繰り返すクリテリウムのような走りを求められ、引き伸ばされた集団後方では中切れに遭う可能性も高くなる。一方で、残り500mから始まる短距離の登り区間は斜度がきつく、最後の勝負所にもなる。

コース唯一の登り区間 雑木林の中は日中でも薄暗いコース唯一の登り区間 雑木林の中は日中でも薄暗い photo:Satoru Kato
今年は対岸が見通せる天気となった霞ヶ浦今年は対岸が見通せる天気となった霞ヶ浦 photo:Satoru Kato
初開催の昨年は終日雨で冬のような寒さの中でのレースとなったが、今回は秋晴れ。雲が多めながらも日中の最高気温は20℃を超え、暑さを感じる1日となった。

スタート直後から7名が先行スタート直後から7名が先行 photo:Satoru Kato5周目 先行する7名に追走集団が追いつく5周目 先行する7名に追走集団が追いつく photo:Satoru Kato

25周120kmのレースは、スタート直後に7名の集団が先行。これを14名の集団が追走し、その後方は分断された集団が続いていく。5周目には追走集団が先行する7名に合流し、20名の先頭集団が形成される。後方集団との差は50秒まで開くも、その後30秒まで縮まる。差が縮まった後方集団からの合流を嫌ってか、先頭集団から9名が先行する場面もあったものの10周目までに吸収され、後方からの合流とあわせて30名ほどの集団が再構成される。この時点でコースに残ったのはスタートした人数の約半数まで絞られる。

レース中盤、後方からの合流で30名ほどになった集団レース中盤、後方からの合流で30名ほどになった集団 photo:Satoru Kato
レース中盤、登りでアタックする入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)レース中盤、登りでアタックする入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Satoru Katoレース中盤、小森亮平(マトリックスパワータグ)と岩田聖矢(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先行レース中盤、小森亮平(マトリックスパワータグ)と岩田聖矢(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先行 photo:Satoru Kato

13周目、昨年大会優勝の入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)が単独先行するも14周目に入るまでに吸収。15周目に入ると小森亮平(マトリックスパワータグ)と岩田聖矢(弱虫ペダルサイクリングチーム)の2名が先行するが、17周目までに愛三工業レーシングチームがコントロールする集団が吸収する。

レース後半以降は愛三工業レーシングチームが集団コントロールレース後半以降は愛三工業レーシングチームが集団コントロール photo:Satoru Kato
残り5周、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が単独先行残り5周、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が単独先行 photo:Satoru Kato残り3周、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)と寺田吉騎(LEOMO Bellmare Racing Team)が先行残り3周、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)と寺田吉騎(LEOMO Bellmare Racing Team)が先行 photo:Satoru Kato

残り5周となる21周目、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が単独で飛び出し、集団に30秒ほどの差をつけて先行する。マンセボが残り3周で吸収されると、そのカウンターで冨尾大地(シエルブルー鹿屋)が飛び出しをきっかけに、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)と寺田吉騎(LEOMO Bellmare Racing Team)が先行。トリビオと寺田は10秒ほどの差をつけるものの、最終周回を前に吸収される。

全ての逃げを吸収して最終周回に入った先頭集団全ての逃げを吸収して最終周回に入った先頭集団 photo:Satoru Kato
最終周回 渡邊翔太郎(愛三工業レーシングチーム)がアタック最終周回 渡邊翔太郎(愛三工業レーシングチーム)がアタック photo:Satoru Kato
ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が優勝ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が優勝 photo:Satoru Kato
ここまで先頭に残ったのは20名足らず。最後の逃げ切りを狙ってアタックが繰り返されるも、勝負を決定づける動きにはならない。残り1kmを過ぎても集団は大きく崩れず、残り500mからの登り区間へ。そしてホームストレートに先頭で姿を現したのはトリビオ。山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)以下バラバラになった後方をよそに、数十mを残して勝利を確信し、両腕を天に突き上げてフィニッシュした。

表彰式表彰式 photo:Satoru KatoU23リーダーは山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が維持U23リーダーは山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が維持 photo:Satoru Kato

「昨年3月の広島での天気の悪いレース以来の優勝。今シーズン後半は調子が良かったが、なかなか勝てなかったから嬉しい」と言うトリビオ。「シーズン最後のレースだから、みんな勝ちたがっていて、とても厳しいレースで最後までキツかった。調子は悪くないけれど、勝つのは難しいと感じた。でもパコ(マンセボ)が最後の場面でアシストしてくれたおかげで勝つことが出来た。今シーズンは今治クリテリウムとツール・ド・おきなわが残っているが、チームのみんなで頑張りたい」と、日本語を交えて語った。
Jプロツアー第17戦 かすみがうらロードレース結果(120km)
1位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) 2時間46分5秒
2位 山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +0秒
3位 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム) +1秒
4位 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) +2秒
5位 中井唯晶(シマノレーシング) +3秒
6位 入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム) +3秒
Jプロツアーリーダー 小林海(マトリックスパワータグ)
U23リーダー 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)



女子 福山舞が優勝 植竹海貴が2度目の総合優勝

女子 残り3周、中原恭恵(AVENTURA VICTORIA RACING)と廣瀬博子(サイタマサイクルプロジェクト)が先行女子 残り3周、中原恭恵(AVENTURA VICTORIA RACING)と廣瀬博子(サイタマサイクルプロジェクト)が先行 photo:Satoru Kato女子 最終周回までに残った6名女子 最終周回までに残った6名 photo:Satoru Kato

女子 福山舞(湾岸サイクリング・ユナイテッド)が優勝女子 福山舞(湾岸サイクリング・ユナイテッド)が優勝 photo:Satoru Kato
今シーズン最終戦となった女子のレースは10周48km。全日本選手権と日程が重なったこともあり、8名の出走となった。レース前半はゆっくりとしたペースで進行。7周目の中間スプリントをきっかけに中原恭恵(AVENTURA VICTORIA RACING)が飛び出すも、最終周回までに6名の集団にまとまる。最後は福山舞(湾岸サイクリング・ユナイテッド)が抜け出して優勝した。

年間総合順位は、植竹海貴(Y's Road)の2年連続優勝が確定した。(植竹は今大会出場せず)

女子 表彰式女子 表彰式 photo:Satoru Kato
女子 結果(48km)
1位 福山 舞(湾岸サイクリング・ユナイテッド) 1時間24分45秒
2位 岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン) +1秒
3位 廣瀬博子(サイタマサイクルプロジェクト) +2秒
Jフェミニンツアー総合優勝 植竹海貴(Y's Road)



2022年シーズン最終戦を迎えたJエリートツアー、Jユースツアー

Jエリートツアー(E1、E2、E3)と、Jユースツアーは今大会が2022年シーズン最終戦となり、年間総合表彰式が行われた。E1は小林亮(soleil de lest)、ユースのY1クラスタは中尾涼介(VC AVANZARE)がそれぞれ総合優勝に輝いた。

E1優勝 高岡亮寛(Roppongi Express)E1優勝 高岡亮寛(Roppongi Express) photo:Satoru KatoE1 表彰式E1 表彰式 photo:Satoru Kato

Jエリートツアー総合優勝 小林亮(soleil de lest)Jエリートツアー総合優勝 小林亮(soleil de lest) photo:Satoru Kato
Y1優勝 中尾涼介(VC AVANZARE)Y1優勝 中尾涼介(VC AVANZARE) photo:Satoru KatoY1 表彰式Y1 表彰式 photo:Satoru Kato

Y1 中尾涼介(VC AVANZARE)が総合優勝Y1 中尾涼介(VC AVANZARE)が総合優勝 photo:Satoru Kato


text&photo:Satoru Kato

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